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海外留学〜フルオラスケミストリーに関する研究〜 1/1

 

名前 Mさん
年齢 38
所属 大学助手

University of Pittsburgh (Research Associate)

研究分野 有機合成
最終学歴 修士卒(論文博士)
趣味・特技 子供と遊ぶこと、映画鑑賞
格言 Chance favors the prepared mind. (by Pasteur)

 

今回は、現在(2004年11月)ピッツバーグ大に博士研究員として留学していらっしゃるMさんにお話を聞いてまいりました。といってもさすがになかなかいけないため、メールでお話を頂きました。Mさんは現在フルオラスケミストリーに関しての研究を行っています。研究や留学先での出来事、目標やアドバイスを聞いてまいりました。

 

インタビュー内容

この道を選んだ理由

研究に関して

留学先環境・生活(次ページ)

夢と目標(次ページ)

 

ブレビ:それでは始めさせていただきます。雑談のような感じで自由にお話していただければ幸いです。 まずは、本題に入る前に、簡単に趣味から教えていただきますか?

 

Mさん :結婚する前は合コンが趣味でしたが(笑)、今は「子供と遊ぶこと」が趣味ですかね。昨年、妻がアメリカで第三子を出産しましたので、毎日この子と遊ぶことが一番楽しい時間です。赤ん坊はおもしろいですよ。小熊のぬいぐるみを持って「キャッキャッ」言ってかわいがっているので、「かわいいとこあるやんけ。この子も女の子なんやなー」と関心していると、その直後に小熊に「ガブッ」いうて噛み付いてますからね。

 

ブレビ: それはおめでとうございます!子供ってかわいいですよね。

 

Mさん :あとは趣味と呼べるほどではありませんが、映画鑑賞でしょうか。こちらで最近見た映画は「Hulk」、「Finding Nemo」、「Holes」、「Shrek 2」、「Spiderman 2」、「Last Samurai」などなどです。こちらでは日本での公開よりも早く見ることが出来ます。 いつも子供たち(長男と長女)と見に行きますので子供用の映画が多いのですが、こういったアクション映画の方が英語の聞き取りに関係なくストーリーがよくわかって私にはよかったです(情けない…)。

 

ブレビ: そうですか。向こうの映画は日本より安いって良く聞きますよね。それではそろそろ本題に入ってインタビューしたいと思います。よろしくお願い致します。
 

 

ブレビ: まず最初にお聞きしたいのですが、大学時代はどのような研究をなさっていたのですか?

Mさん :大学時代は理学部に属しており天然物合成に携わっていました。と言いましても私の場合、非天然型の異性体を合成し、他の研究機関との共同研究によりその生理活性相関を調べたりしていました。当時の私は大変出来の悪い学生でしたが、実験だけは好きでしたね。その後の私の経歴はちょっと変わってまして、学位研究では薬学部、企業ではプロセス及び創薬研究部、助手時代には工学部に籍を置き有機化学と付き合ってきました。

 

研究機関、学部間を超えて様々な研究環境を経験できたことや、多くの優秀な共同研究者に知り合えたことは、私にとってかけがえの無い財産となっています。
 

ブレビ:人とのつながりや、多くの経験というのは非常に重要ですよね。一度企業に入られたとおっしゃっていましたが、なぜまたアカデミックに戻ろうと思われたのですか?

Mさん : そうですね、企業での研究が面白くなくてアカデミックに行ったわけではありません。むしろ企業での研究はとても面白かったですね。

 

 私がいた製薬会社では「画期的な新薬を合成し、世の中に貢献する」という明確な目的のもとに日々研究活動が行われていました。企業という性格上当然「利潤追求」が付いてまわりますが、そのゴールに対してはみな共通のモチベーションを共有し、とても良い雰囲気で研究は進められていたように思います。

 私自身もそのような研究環境にとても満足していましたし、やりがいもありました。自分の合成した薬が年間数百万人という命を救ったとしたら、これほど合成者冥利につきることはありませんからね。

 

 でもそのうち、基礎的な素反応等で偶然発見してしまう興味深い現象にも惹かれるようになりました。どうしてこんな現象が起きるのだろうとか考えると、突っ込んで調べてみたくなるのですが、企業ですから新発見だけで終わる研究は受け入れられません。 そんな時に私の尊敬する学位研究時代の恩師の先生から「大学でやってみないか?」とお誘いをいただきましたので、その先生のご紹介でアカデミックに戻ることになりました。その際、 快くアカデミックに移ることを許可して下さった会社の上司の方々にはとても感謝しています。


 

ブレビ:そうなんですか。私もよく変な反応がいってしまうとそっちの方が気になってしまいます。おかげで研究は進みませんが(苦笑)。

 

 

ブレビ: それでは、現在のことについて聞かせてください。現在のご研究はどのようなことをなさっているのですか?

Mさん :現在はCurran教授の下でフルオラスケミストリーに関する研究を行っています。フルオラスケミストリーはご存知のように液層でのコンビナトリアルケミストリーを可能にする面白いテクニックです。これまでにいくつかテーマを片付けましたが、ここ最近はフルオラスルテニウムカルベン錯体のケミストリーをやっています。フルオラス触媒のメタセシス反応への応用とフルオラス性を利用した触媒回収及びリサイクル反応などです。
 

ブレビ: そうですか。フルオラスケミストリーに関しては近年、グリーンケミストリー指向型の反応開発において、フッ素系溶媒の特性を利用して反応後の触媒等の分離や回収、精製技術などに応用した報告例が多くなされていますよね。よろしければ読者の方にもわかるように簡単に説明していただけますか?またフッ素を含む化合物の取り扱いについて、利点と欠点について教えてください。
 

Mさん :わかりました。フッ素を含む化合物を取り扱う利点は容易な分離精製能にあります。含フッ素化合物は有機溶媒にも水にも混ざりにくいという性質を持っています。ちょっと話は違いますが、テフロン加工なんかはこのフッ素の性質をうまく利 用したいい例ですよね。例えばターゲットとなる化合物にこのフッ素のタグを付けてやれば、フルオラス溶媒を用いる抽出操作や、フルオラスシリカゲルカラムクロマトで簡単にタグなしの化合物群と分離することが出来ます。タグの長さをかえてやれば背の低い順に(タグの短い順に)整列してくれますので、これらのフルオラス混合物さえも容易に分離することもできます。 もうお気づきかもしれませんが、このフルオラスタグの性質を利用すれば液層でコンビナトリアルケミストリー的な反応にも応用可能です。

 図1 フルオラスミクスチャー合成

実際、フルオラスミクスチャー合成という概念を用いた反応を Curran 教授は報告しています。(図1)

 

欠点は分子中のフッ素の含有量が増えすぎますと有機溶媒に解けにくくなり、適当な反応溶媒が見つけにくくなることがあります。

 

ブレビ: わかりやすいご説明ありがとうございました。それでは現在の研究を行っていて大変であったことを教えていただけますか?

 

Mさん :現在の研究で大変であったというか、今も苦労していることは、やはり溶解性の問題ですね。フルオラスタグを有するルテニウムカルベン錯体の合成を試みていますが、分子量に対してフッ素数をうまく制御しないと溶解度の問題でリガンド交換反応がなかなか進行しません。これからも苦労したいと思います (泣)。


ブレビ:きれいに見える研究でも多くの苦労があるのですね。触媒にフルオラスタグを入れると反応性は落ちてしまうのですか?また、多数のフッ素を有する基質やフルオラス溶媒中での反応性はどうなのでしょう?反応の加速効果などが見ら

れるのでしょうか?

 

Mさん :そうですね、反応性がほとんど変わらないようなタグの選択をすることで溶解度に関する問題点は克服することが出来ます。それからご指摘のようにフルオロフォビック効果を利用して反応加速させることも知られています。

 

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