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研究用試薬、化学品、医薬品原薬および中間体の合成、販売(東京化成工業)

 

 

名前 横洲(Y)さん 鳥海(T)さん 関(S)さん
年齢 40代 20代 50代
所属 試薬開発部

試薬開発部部長

技術調査本部

技術調査本部 

技術管理本部

総合企画室課長

格言 努力は後からついてくる 塵も積もれば山となる 何事も誠実に取り組む

 

 今回は東京化成工業にお邪魔させていただいて、3人の方にお話を聞いてまいりました。合成部門出身で、現在は調査部の仕事をなさっているさん、入社1年目の調査部門のさん、ホームページ企画等をなさっているさんです。主にこの道を選んだ理由、仕事の内容、東京化成工業の方向性、成功と失敗、化学とコンピューターについて、目標やアドバイス等のお話を聞きました。

 みなさんとてもいい方で、会社のよい雰囲気を感じることが出来ました。参考になる話を多くいただいたので読んでみてください。

 

インタビュー内容

この道を選んだ理由、仕事に関して

会社の方向性

成功と失敗

化学とコンピュータ

目標、アドバイス

 

:それではインタビューを始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。まず、みなさんのお仕事を簡単に教えていただきますか?

 

この道を選んだ理由、仕事に関して

 

:はい。私は、以前は研究所の方で合成の仕事をしてきましたが、現在は調査部門と製品開発部門のマネージャーをしています。

 

:よろしくお願いします。私は、Yの下で調査の仕事をしております。

 

B:Yさんは大学の研究室は有機合成ですか?

 

:いや、分析化学が専門でした。研究室は有機試薬を合成し、それを用いていろいろな無機物を分析していたのですが、その中で私はNiを定量する試薬を合成していました。当社もいろんな分析試薬を作っているので、そういう仕事も面白そうかなと考えて受けてみました。最初は純粋な合成に入っていくのが大変でした。

 

:技術を必要としますからね。

 

:そうですね。最初は上司に教わりました。それから合成の研究室出身の新入社員からも技術的なことを教わることもありました。また大学の研究室へお邪魔して仕事することがありました。一番覚えているのは東京大学の物性研にある有機物の超伝導体に関する研究室にお邪魔したときです。色々な化合物の合成法を教えていただき、それらを上市する事が出来ました。その時、興味深い技術も一緒に学ぶことができました。今は現場を離れていますが、例えば厳密な条件下で錯体等を取り扱う実験ですと多少不安はあるかもしれませんが、通常のアルゴン下、無水条件での実験程度
ならば問題なくやれています。

 

:貴社では今はどんな方が入社されているのですか?やはり大学院卒が多いのでしょうか?

 

:そうですね。院卒、合成系の方が多く入社しています。

 

:今は、マネジメントのお仕事をされているようですが、実験と今の仕事はどうですか?

 

:担当部署の仕事全体をマネジメントする事は非常に大事で、やりがいのある仕事です。今ではできませんが、現場で実験するのは好きでした。何が一番面白いかというと苦労して目的物が出来たときが、とても楽しいですね。

 

:そうですね。私達もそうです。

 

:そうですよね。最初は分析化学の研究室から来ても、合成することが好きだったので、どんどん吸収できたと自分では思っています。今でもデスクワークよりは実験の方が面白いと感じることもあります。部下の仕事がうまくいっていないと手を出したくなりますね(笑)

 

:手を出したくても出せないんですよね。

 

:そうですね。手を出してはだめなんですよ(笑)

 

:(笑)それでは、Yさんの下でテーマに沿って合成の研究者が研究をしているということですね。

 

:そうですね。

 

:合成のテーマというか方向性というのはどのように決定するのでしょうか?

 

:当社はいろいろな分野で使用される試薬を提供することを仕事にしています。。そのため基本的には新しく開発された汎用性の高い化合物や優れた試薬を多くの研究者に提供する事を第一に考えています。よい試薬を提供するという考え方です。

 

:それでは情報ということがとても大切になってきますね。新しい情報はどのように得るのでしょうか?その情報を収拾するという仕事もあるのですか?

 

:新着雑誌を読むのはもちろんのことですが、様々なシンポジウムや学会にも参加します。そのために調査部というセクションがあります。

 

:調査をしたものだけ合成しているのですか?合成の方と仕事が完全に分離しているということですか?

 

:もちろん合成の担当者も仕事上いろいろな試薬を使用しますし、文献を読む機会も多く、また様々なシンポジウムや学会に参加しているので、そういう機会に得た情報を調査部にフィードバックしてもらっています。

 

:わかりましたありがとうございます。それではさんは大学時代はどのような研究をなさっていたのですか?

 

:私は有機合成の研究室でした。糖の誘導体を合成し、構造と甘味度との構造活性相関と分子認識機構を解析する研究を行っていました。合成した化合物の中にはショ糖の約800倍の甘味度を示すものもありました。

 

:その甘味の強さというものはどのように測定するのですか?

 

:甘味の強さを示す甘味度はショ糖を1として、それと一定の濃度のショ糖溶液と同等の甘味を示す試料溶液の濃度を求めて、倍率で表します。心理学的テストなので、人間の舌で測定していました。一人では信頼できる測定ができないので測定の精度を上げるために何人かで(笑)

 

:そうなんですか(笑)。専用の機械かなにかで測定するものだと思っていました。

 

:受容体も受容機構の解明もまだなので、信頼性のあるセンサーは今のところ無いようです。

 

:なかなかおもしろいですね。私は糖が10個くらい結合したものをみると、気持ちが悪くなってきます。(苦笑)実際合成している段階ではどこにどう活性があるのかがわからないので。なかなか普通の分子よりとっつきにくいところがあります。

:他からもよくそのようにいわれますね。私が学生時代に扱っていたものは単糖類と二糖類でしたので、私も大きな分子はちょっと退いてしまいます。(笑)

 

:(笑)ちょっと安心しました。それでは貴社を志望した理由を教えていただけますか?

 

:B&Bさんも、もし当社の試薬を使われていているなら親しみがあると思うのですけれども、私の研究室でも当社の試薬が多く使われていたので親しみがあって当社を受けてみました。

 

:私達も貴社の試薬はよく使用させていただいてます。確かに試薬会社は親しみがわきますね。この試薬はココがいい・・等。わかりました。それでは現在の所属は調査部ということですが、具体的にはどのようなお仕事をなさっているのでしょう?

 

:合成試薬についての調査を行っています。また、学生のときに糖関連の研究をしていたので、糖関連の試薬にも興味を持っています。

 

:そうですか。それではその調査の方法、情報の収集法について教えていただけませんか?

 

:そうですね。文献等から手に入れる情報、学会等で聴講し得る情報、インターネットで得る情報と様々な方法で情報を得ています。調査方法はどれとは決まっていないので、様々な手段を使っています。

 

会社の方向性

 

:先ほども述べましたが、私達も研究室でよく貴社の試薬を使用させていただいているのですが、独自性という点では試薬というものはなかなかだせない分野だと思うのですけれども、貴社が力をいれているところというのはどんなところになるのでしょうか?

 

:当社はご存知の通り有機化学薬品がメインです。特殊な有機化合物およびオリジナリティのある有用な物質を試薬として製造しています。他社の製品を販売するのではなく自社ですべて合成しているので、品質も保証しています。

 

:試薬という性質から、かなり他社とも重なる部分があると思うのですが、他社で販売していない、量を提供しきれていないものをすばやく合成して提供できればと考えています。

 

:他には、有機化学品の受託製造サービスを行っています。研究開発支援の一環として実施しています。品質の面からも当社は分析関連の機器も充実していますし、合成の能力も高いと考えています。

 

:現在、医薬品中間体等のアウトソーシングが話題になっていますけれども、その点においても考えておられるのでしょうか?

 

:そうですね。当社には約半世紀近く試薬を作ってきているという実績とその合成のノウハウ
がありますので、その技術を使って、アウトソーシングに対応できます。

 

:例えば合成方法が確立されていない化合物も合成できるのですか?


:そのような場合もありますし、秘密保持契約を結んで、ある合成ルートで合成することもあります。

 

:実際、医薬品中間体だけでなく、最近は機能性材料もアウトソーシングの対象として注目されているので「はないでしょうか。」例えばA社から、ある合成ルートでBという化合物を依頼された時に、当社で合成する場合に不具合があれば、他の合成ルートを考えたりしています。

 

:有機化学的な合成手段の他に、微生物による発酵法、酵素等を使った製造も行っています。

 

:そういった部門があるのですか。

 

:そうですね。工場に生化学部門があります。これから更に力を入れてバイオ分野も大いに利用していこうと考えています。

 

:キラル化合物を作るにしても、そのような生体触媒的なものは欠かせないものとなっていますので、合成の一手段として積極的に利用しています。

 

:わかりましたありがとうございます。それでは一般的な話としまして、通常試薬を購入するときに直接試薬会社からというわけではなく中間の問屋を通しますよね。この辺はどのような理由があるのですか?

 

やはり流通の問題といたしまして、日本の流通業界はアメリカのようにダイレクトにというわけにはなかなかいかず、いわゆる中間の卸のようなものがあって、そこでは代金の回収だとか輸送費の点で有利なところがあります。全国ネットでやるとすれば、我々がそれぞれの地域で営業活動を行うことが難しいものですから、地域の取扱店の
方にお願いしているということもあります。ですから、物流と人的な面での経費のメリットということからそのようにさせていただいております。しかし、段々と時代が移ってきており、流通問題は検討しているところです。

 

:Sさんのお考えでは変わっていくと思われますか?

 

:そうですね。近い将来現在のような流通形態は変わって行くでしょう。

 

:貴社のホームページは私は大変充実しているように思われるのですが、そこで直接試薬を販売ということは考えていないのでしょうか?

 

:ありがとうございます。実際将来的にはそのように考えております。エンドユーザーの方にも直接当社の製品在庫を開示できるようにもしたいですし、インターネットから注文を受けることができるようにしなければならないと考えています。それは決済の問題や流通コストの問題を解決してからということですけれども。

 

:海外では、その分野は非常に進んでいて、その分野だけでビジネスとなっていますよね。

東京化成ホームページ

 

:そうですね。当社でもアメリカでは直接販売となっています。理由として、アメリカではコストが非常に安いんですね。しかし、現在の日本では少量のものですと輸送費の方が高くつく場合もあり、ビジネスとしては成り立たないところもあります。

 

:話は変わりますが、当社のホームページは他と比べても充実していると思われますか?

 

:そうですね。貴社のサイトは、寄稿論文や、TCIメールケミカルスノートなど、役に立つ情報がかなり多くあり、毎週見させていただいています。

 

:ありがとうございます。現在TCIメールについては主に調査部で担当しています。

 

:そうなのですか。もう110号ですからすごいですよね。これからも読ませていただきます。

TCIメール

 

成功と失敗

    

:それでは、仕事をなさってきてよかった、面白かったということはどんなところでしょうか?

 

:やはり新製品を企画して、製品として上市することですね。
試薬カタログは2年ごとの発行ですので、その間先ほどお話したTCIメールや、ジャーナル等の広告媒体へ新製品の広告を出します。その内容や製品について、時々反響があるんですね。その時には、更にその内容について調査を行います。一方、合成の担当をしているときには、それとは違った楽しみがありました。文献通りにうまく合成できない事もたまにはありますよね。そういうときに自分でルートなども考えて合成し、好結果が得られた時などはうれしいですよね。

 

:まだ入社して一年も経っていないので、まだ忙しくなかなか楽しみを見つけるのは難しいですが、さんと同じ様に自分の書いた広告やTCIメールが発行されたりするとうれしいです。

 

:Tさんには入社して、すぐ7月号くらいから書いてもらっていますよ。

 

:そうですか。それはすごいし、面白いですね。

 

:逆に、失敗したなあということはありますか?

 

:仕事が増えてくるのに従って、全体を把握するのが大変で困ったことがありました。それは先輩方のフォローで事なきを得ました。具体的にはいえないですけれども(笑)

 

:(笑)

 

:私は失敗というのをあまり思い出さないのですが、あまり引きずらないタイプなのですかね(笑)。やはり調査部はまだ関わって間もないので少ないですが、合成を長くやっていますと危ない場面というのは何度かありましたね。
あまり笑って話せる内容ではないかもしれないですけれど。幸い大きな事故にはなりませんでしたが、危険性については、
部下には口うるさく言うように心がけています。

 

化学とコンピュータ

 

:現在、会社内で研究部門その他でつかわれているコンピュータはWinidows、Mackintoshのどちらですか?

 

:ほとんどがWindowsですね。2〜3年位前に会社で新しくLANを組むときにすべてWindowsに変わりました。Macが使われている分野は当社では広告関連の一部だけではないでしょうか。

 

:用途はどのように使われていますか?

 

:報告書の作成はもちろん、新しい試薬を作る際に仕事の流れをデータ化して、検索できるようにしています。例えば誰が企画し、どのようなルートで誰が合成し、いつから販売されたかということです。また、合成部門で行った仕事の反応式で検索できるように現在構築しているところです。

 

:原材料および製品の在庫管理、MSDSの作成も専門の部署で行っています。

 

:調査する際の文献検索にも必要ですし、特許検索もインターネット上できるので多用していますね。

 

:また、調査部門では調査した化合物に関して、その内容をデータベース化するようにしています。

 

目標とアドバイス

 

:最後にこれから何か目標や夢がありましたら教えてください。

 

:私は最近調査部の責任者になりましたので、これから先当社にとってどういう方面に注目して仕事を進めていけばよいのかをつかめればと考えています。
そのために色々な所を訪問し、情報を得て先を見据えていければと思っています。それと、部下に若い人たちがたくさんおりますので、のびのびと、また一生懸命仕事に打ち込める環境をつくれたらとも考えています。

 

:3年間大学で研究をしてまいりましたが、本当にまだまだ知らないことが多いのだなということを当社に入社して実感していています。化学、生物、物理というものは分野に境界がないですよね。だから、これからその分野にとらわれず幅広く知識を得ていきたいと思っています。

 

:今、私は広告関係のことを管理しているのですが、広告で当社の製品をどのようにアピールしていこうかなということを考えています。ホームページ関連もここ最近勉強していろいろ聞いてやっとわかってきたので、うまく伝えることができたらと考えています。また、バイオ関連の、試薬がうまく製品化されてより多く世の中に出て行けばいいなと考えています。

:御社のホームページの方は先ほどいった試薬販売の件でも非常に期待しています。ぜひ頑張ってください。それでは今後化学を学ぶ、仕事としていこうと考えている方になにかアドバイスのようなものがありましたら教えてください。

 

:なかなか難しいですが、先ほどが言ったように、合成するにしても様々な知識が必要ですよね。ですから地道に勉強していく姿勢というのはすごく大事なことだと思います。その中でも、自分の研究している、実験しているひとつひとつというものは非常に印象深いと思うので、それを大事にしてもらいたいと思います。
また、自分一人の研究で得られる知識はそれほど多くないと思いますので、例えば同じ研究室の他の方の仕事にも目を向けていって、少しずつ知識を増やしていけば、面白い仕事、テーマに出会えるんじゃないかと思います。

 

:化学が好きで勉強していますが、難しい英語の文献をみると止まってしまうことがあるんですね(笑)。ですから、英語に関して抵抗がないようにする事と自分にとって大きなプラスになると思います。

 

:私はいろいろなことに興味を持っていて欲しいと思います。会社に入ったら様々なことをやらなくてはいけないので自分の研究と分野が違うからと避けたりしないで、好奇心を持って取り組んでいれば、会社に入ってもがんばることが出来ると思います。

 

:Yさん、Tさん、Sさん参考になるお話をありがとうございました。それではこれで終わりにしたいと思います。

 

 ご協力いただいた3人、またこのような機会を与えてくださった、東京化成工業株式会社に感謝いたします。

同社の発行しているTCIメールは非常に参考になる内容を無料で出版していますので、ぜひご覧になってください。 

 

※インタビューさせていただいた内容を、こちらで編集・構成いたしました。それをご本人に公開の許可をいただきました。

※仕事の内容につきましてはインタビュー時点の内容です。

※挿絵についてはこちらで挿入させていただいたものです。内容とは直接関係ない部分もあります。