[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

【書籍】合成化学の新潮流を学ぶ:不活性結合・不活性分子の活性化

[スポンサーリンク]

4月30日に化学同人からCSJカレントレビューの第5弾が発売になりました。今回は最近の合成反応の新潮流である不活性結合・不活性分子の活性化 (CSJカレントレビュー)がテーマ。

ポストクロスカップリング、逆合成を変える可能性がある不活性結合の活性化反応。この化学者のつぶやきでもいくつかこれらの研究に関連した記事を紹介してきました(下記参照)。

関連記事

  1. C-H活性化触媒を用いる(+)-リゾスペルミン酸の収束的合成
  2.  Keith Fagnou Organic Chemistry Symposium
  3. コンプラナジンAの全合成
  4. 芳香族フッ素化合物の新規汎用合成法
  5. 【追悼企画】カナダのライジングスター逝く
  6. C-H結合活性化を経るラクトンの不斉合成
  7. C-CN結合活性化を介したオレフィンへの触媒的不斉付加
  8. 位置選択的C-H酸化による1,3-ジオールの合成
  9. ボリルアジドを用いる直接的アミノ化
  10. C-H酸化反応の開発
  11. 複雑化合物合成にも適用可能なC-H酸化反応
  12. アレーン類の直接的クロスカップリング
  13. 複雑分子を生み出す脱水素型ディールス・アルダー反応
  14. 炭素原子のまわりにベンゼン環をはためかせる
  15. 不活性第一級C–H結合の触媒的官能基化反応
  16. 遷移金属を用いない脂肪族C-H結合のホウ素化
  17. 触媒的C-H酸化反応 Catalytic C-H Oxidation
  18. 超原子価臭素試薬を用いた脂肪族C-Hアミノ化反応
  19. 炭素-炭素結合活性化反応 C-C Bond Activation
  20. ベンゼン環が壊れた?!ー小分子を活性化するー
  21. コラニュレンの安定結合を切る
  22. カルベンで炭素ー炭素単結合を切る
  23. スターバースト型分子、ヘキサアリールベンゼン合成の新手法

(13以降は後日追記 2015年7月)

また、最近英語で秀逸な総説や書籍が多数出版されていますが、なかなか日本語で読めるものはありませんでした。今回の書籍はそんなアツイ分野を一冊にまとめたもの。日本のこの分野における第一線の研究者たちの総説に加え、座談会、研究の歴史、革新的論文からみる実験データ、研究風景、学会、研究会・シンポジウムの内容と盛り沢山。

企画・編集を行なったのは本年度から始動した新学術領域「直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発」(略称:分子活性化)の代表である大阪大学茶谷直人教授と京都大学村上正浩教授、東京工業大学岩澤伸治教授です。

200ページ超で3990円となかなかよいお値段ですが、充分元がとれる内容だと思います。個人的には「活性化」という言葉があまり好きではないのですが、分子の好きな部分を自在に炭素炭素結合形成および官能基化できる可能性を有しているこの分野、注目しています。筆者も公募班として本学術領域に参加していますので、分野を盛り上げるための一助となればと思っています。

ちなみに、この書籍もちろんAmazonでも購入できますが、日本化学会の会誌「化学と工業」5月号に同封されていました、「日本化学会院限定特別割引販売のご案内」を利用すれば、790円引きの3200円で購入できるそうです。通常日本化学会でのホームページでも申込書がダウンロードできますが、まだ新しい書籍だからなのか現在(2011.5.9)ところこの書籍の申込書はオンラインでは手に入れることができません。ぜひ同封の申込書で購入してみてください。

 

関連書籍

 

 

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 合成ルートはどれだけ”良く”できるのか?…
  2. 液体中で高機能触媒として働くペロブスカイト酸化物の開発
  3. (+)-ゴニオトキシンの全合成
  4. 化学構造式描画のスタンダードを学ぼう!【基本編】
  5. タンパク質リン酸化による液-液相分離制御のしくみを解明 -細胞内…
  6. 単分子レベルでの金属―分子接合界面構造の解明
  7. テクノシグマのミニオイルバス MOB-200 を試してみた
  8. 湿度によって色が変わる分子性多孔質結晶を発見

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. NHC (Bode触媒2) と酸共触媒を用いるα,β-不飽和アルデヒドとカルコンの[4+2]環化反応
  2. 求電子的フッ素化剤 Electrophilic Fluorination Reagent
  3. ルステム・イズマジロフ Rustem F. Ismagilov
  4. フッ素のゴーシュ効果 Fluorine gauche Effect
  5. 経験の浅い医療系技術者でも希望にかなう転職を実現。 専門性の高い職種にこそ求められる「ビジョンマッチング」
  6. マクマリーを超えてゆけ!”カルボニルクロスメタセシス反応”
  7. 「溶融炭酸塩基の脱プロトン化で有用物質をつくる」スタンフォード大学・Kanan研より
  8. モリブデンのチカラでニトロ化合物から二級アミンをつくる
  9. 【ケムステSlackに訊いて見た④】化学系学生の意外な就職先?
  10. ポンコツ博士の海外奮闘録XX ~博士,日本を堪能する② プレゼン編~

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年5月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

ニキビ治療薬の成分が発がん性物質に変化?検査会社が注意喚起

2024年3月7日、ブルームバーグ・ニュース及び Yahoo! ニュースに以下の…

ガラスのように透明で曲げられるエアロゲル ―高性能透明断熱材として期待―

第603回のスポットライトリサーチは、ティエムファクトリ株式会社の上岡 良太(うえおか りょうた)さ…

有機合成化学協会誌2024年3月号:遠隔位電子チューニング・含窒素芳香族化合物・ジベンゾクリセン・ロタキサン・近赤外光材料

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年3月号がオンライン公開されています。…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part3

日本化学会年会の付設展示会に出展する企業とのコラボです。第一弾・第二弾につづいて…

ペロブスカイト太陽電池の学理と技術: カーボンニュートラルを担う国産グリーンテクノロジー (CSJカレントレビュー: 48)

(さらに…)…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part2

前回の第一弾に続いて第二弾。日本化学会年会の付設展示会に出展する企業との…

CIPイノベーション共創プログラム「世界に躍進する創薬・バイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第104春季年会(2024)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界に躍進…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part1

今年も始まりました日本化学会春季年会。対面で復活して2年めですね。今年は…

マテリアルズ・インフォマティクスの推進成功事例 -なぜあの企業は最短でMI推進を成功させたのか?-

開催日:2024/03/21 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

分子のねじれの強さを調節して分子運動を制御する

第602回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科 塩谷研究室の中島 朋紀(なかじま …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP