[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

東レ先端材料シンポジウム2011に行ってきました

[スポンサーリンク]

 

9月14、15日に東京国際フォーラムで行われた東レ先端材料シンポジウム2011に行ってきました(図:東レ先端材料シンポジウムホームページより引用)。実際に行ったのは9月14日で、この日には以下4人の巨匠による講演がなされました。

京都大学教授/iPS細胞研究所所長 山中伸弥先生

東京大学大学院教授 相田卓三先生

カリフォルニア工科大学教授 ロバート・H・グラブス先生

フロリダ大学教授 サー・ハロルド・W・クロトー先生

これだけの巨匠の講演を無料で聞くことができるというのですから行かない手はありません!

ちなみに、同時通訳レシーバーを借りることができ、英語が得意でない私は、グラブス先生、クロトー先生の講演を同時通訳による日本語で聞かせていただきました。

太陽は毎日、昇っては沈んでいきます。そうなんです。太陽は地球の周りをグルグル回っているのです。

 

なんてことを言ったらあなたは笑うことでしょう。そして、こう言うでしょう。

「何を言っているのだ。地球が太陽の周りを回っているからそのように見えるだけだ」と。

 

では、太陽が地球の周りを回っているわけではない、ということを証明できますか?

 

今回の講演にて、クロトー先生はこんな疑問を投げかけました。本シンポジウムでは、様々な分野の方が出席されていることもあって、どの先生も細かい研究内容より科学の本質的なところについてお話されていました。現在の研究に行きつくまでの経緯なども聞くことができ、大変興味深いものでした。

 

さて、太陽が地球の周りを回っているのか、地球が太陽の周りを回っているのか。言われてみるとどう証明すればよいものか、答えに詰まってしまいます。気になって早くもウィキペディアで答えを見ようとしているそこのあなた、答えを見るのは少し待ちましょう。クロトー先生はこんなことをお話されていましたよ。

われわれは、地球が太陽の周りを回っている、という答えを単に記憶しているだけです。われわれは疑問に対する答えを求めたがります。しかし、答えを知っていることよりも、疑問を投げかけること、そしてその疑問を証明すべく考えることの方が大事であり、それが科学なのだ、と。

 

やむを得ないことかもしれませんが、小学校~高校で習う理科の授業の多くは、いかに受験に向けて効率よく問題を解くか、という点に重点が置かれているように思えます。しかしながら、科学の本質は、問題の解き方など誰も知らない部分、あるいはそもそも問題がどこにあるのかすらよくわからない得体の知れないところにあります。その点が科学の非常に難しいところであると共に、大変面白いところでもあると思うのですが、科学に携わったことのある人にさえ、この面白さを理解してもらえない時があるのはとても残念でなりません。

 

らぱ

投稿者の記事一覧

現在、博士課程にて有機合成化学を学んでいます。 特に、生体分子を模倣した超分子化合物に興味があります。よろしくお願いします。

関連記事

  1. ボロン酸エステルをモノ・ジフルオロメチル基に変える
  2. 【読者特典】第92回日本化学会付設展示会を楽しもう!PartII…
  3. 三つの環を一挙に構築! caulamidine 類の不斉全合成
  4. アルデヒドからアルキンをつくる新手法
  5. 科学史上最悪のスキャンダル?! “Climatega…
  6. 磁石でくっつく新しい分子模型が出資募集中
  7. 生体外の環境でタンパクを守るランダムポリマーの設計
  8. マテリアルズ・インフォマティクスにおける分子生成の基礎

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 積水化学、工業用接着剤で米最大手と提携
  2. Density Functional Theory in Quantum Chemistry
  3. 初めてTOEICを受験してみた~学部生の挑戦記録~
  4. 化学のちからで抗体医薬を武装する
  5. 藤沢の野鳥変死、胃から農薬成分検出
  6. ブレデレック ピリミジン合成 Bredereck Pyrimidine Synthesis
  7. ニューマン・クワート転位 Newman-Kwart Rearrangement
  8. 尿から薬?! ~意外な由来の医薬品~ その2
  9. アンリ・カガン Henri B. Kagan
  10. 研究職の転職で求められる「面白い人材」

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年10月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP