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第4回CSJ化学フェスタに参加してきました!

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はじめまして、化学系修士2年のにくちゃと申します。

昨年に引き続き、2014年10月14日(火)〜16(木)に東京の船堀タワーホールで開催された「第4回CSJ化学フェスタ」に参加してきました。

今回は「化学フェスタを楽しむ3つの方法」として、この学会の楽しさを伝えると共に、皆さんに来年からもどしどし参加してもらえるように学会の報告をしたいと思います。

化学フェスタを楽しむ3つの方法

1. ポスター発表をしよう! 〜研究を熱くアピールしよう!〜

化学フェスタのメインは「学生ポスター発表」。今年は3日間で、なんと1000件を超えるポスター発表があったそうです。すごい! しかも、「化学」と名前の付くありとあらゆる分野の発表の”サラダボウル”となっているのが特徴的でした。

 

私もM1の去年(優秀ポスター賞を頂きました)、M2の今年と参加させていただきました。この学会のポスター発表のよいところは、ありとあらゆる化学の分野の発表がごちゃまぜになっているため、「いろんなバックグラウンドの人の話を聞くことが出来ること」、また発表する側としては「いろんなバックグラウンドの人に研究を“わかりやすく”伝えられるよい練習の場であること」だと思います。これは、「専門的な学会」とは対照的です。

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ポスター会場

(出典:日本化学会

専門的な学会との違い

たとえば高分子学会などの専門的な学会では、自身の専門領域の研究者と「先端的で深い議論ができる」点、自身の専門分野の「最新の研究を知ることができる」点で非常に有意義です。しかし、「その研究が根本的にどのような意義があるのか」を、「門外漢にわかりやすく伝える」といった力がつくことはありません。

「どんな学会がいいのか」に関してはみなさん様々な意見をお持ちと考えますが、学振の申請書や科研費の申請書を書く場面、また就活等において自身の研究を伝える場面において、「門外漢に自身の研究をわかりやすくつたえる」ことが重要であることから、私は「化学フェスタ」のような、無機・有機・材料・生物系・・・ いろんなバックグラウンドの人がごちゃまぜになった化学フェスタは非常によい学会と考えます。

ですので、私は「先端的で深い議論」をするのではなく、「門外漢に自身の研究をわかりやすく伝えて、興味を持ってもらうこと」を意識してポスター発表に臨みました。どんなことに気を付けたかを以下に書いていきたいと思います。

 

化学フェスタのポスター発表で意識したこと

ポスター発表や口頭発表ではTPOに合わせた発表をするのが基本とされています。このことから、化学フェスタでは以下のことに意識して発表を行いました。

まず、「どのようなバックグランドをお持ちですか?」と相手の専門を尋ねることで、その後の説明を柔軟に変えるようにしました。

例えば、私が研究している構造活性相関のテーマについてでは、相手が化学系の人ならば合成領域を、生物系ならば活性評価を、といった具合です。そうすることで相手の理解度はぐんと上がります。

 

つぎに、「このテーマについてご存知ですか?」と尋ね、なるべく相手の理解しているレベルまで「落としこんで」説明してゆくようにしました。

例えば、私の研究テーマではざっくり言うと「毒」を扱っているのですが、「毒」や「薬」といったキャッチーなフレーズから入り、徐々に専門的な自身の研究テーマに移ってゆくようにストーリーを組んで話すようにしました。いきなり「ここのπ-πインタラクションが〜」と始まってもわからない人にはわからないですよね?

 

最後に、随所で「ここまでで質問はありますか?」と聞き、「一方的な発表」というよりは「双方向な対話」となるようにし、相手に理解してもらえるように努めました。

これはほとんどの人がやっていないことだと思うのですが、一気にこちら側から話すと「質問のチャンスが失われる」と共に、正直「聞くのがダルくなって」きます(笑) ですので、例えばイントロや実験項などの各セクションごとに区切り、その段階で「ここまでで質問はありますか?」と逐次相手に質問を促すことで、相手の興味を高めると共に、発表が双方向になるようにしました。

 

このように、「研究をわかりやすく伝える」発表の練習の場として、化学フェスタのポスター発表は非常に非常によい機会だと思います。来年はみなさんも是非参加しましょう!

 

2. 企業ブースに行こう! 〜大学と企業の研究の違いって?〜

化学フェスタのポスター発表は大広間の中央で行われるのですが、その周りを取り囲むように企業がブースを出展しています。(学会にある付設展示会のようなイメージでしょうか。)各社、研究開発についてわかりやすく丁寧に説明をしてくれますので、学生はどんどん聞きに行きましょう!

 

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企業ブース

(出典:日本化学会

 

私は、M1の去年は「大学と企業の研究の違いはなんだろう」との思いで色々な会社のブースを回り、話を聞きました。それによって「化学業界」の全体像をつかむことが出来ましたし、自分は企業向きだと気付くチャンスにもなりました。(それに関しては今度就活の話としてまとめたいと思います)

M2の今年はすでに就職が決まっていることもあり、「来年からする仕事とどんな関係があるのか」を重点的に聞いて周りました。企業の社会人の方々も学生相手に真摯に話をしてくれ、また聞いてくれるので、ぜひ企業ブースに足を運ぶべきだと思います。 就活する人もドクターに行く人も、企業ではどんな研究をしているのかを知るとてもよい機会です。さまざまな試供品も貰えます(笑)

 

3. 懇談会に参加しよう! 〜お酒を片手に化学の話をしよう〜

今年の化学フェスタでは2日目の夜に懇談会が開催されました。 化学界の大御所たちが一同に会するとともに、企業の方々、そして学生が参加する非常に大きな懇談会です。 学生のみなさんはポスター発表をして講演を聞くだけではなく、この懇談会に参加すべきです!

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懇談会

(出典:日本化学会

入り口では「エレメントランプ」と呼ばれる、元素記号が書かれたカードが1人1枚配布されます。このカードを使ってゲームが行われるのですが、、、 その景品が企業さん提供のもので、あんなものやこんなもの・・・非常に良い景品が頂けます。 あとは美味しい料理やお酒もいただけちゃいます。 日夜研究に勤しむ「研究戦士」の私たちにとっては、こんないい機会はないじゃないですか!

去年の学会では玉尾会長がいらっしゃており、とても感動し、研究に対するモチベーションが上がった覚えがあります。

有名な先生方とお酒を飲みながらお話ができる、大変すばらしい機会です。学生の皆さんはぜひとも参加しましょう!! (残念ながら今年は景品があたりませんでした・・・笑)

 

さいごに

この他にも大学・企業共に様々なタイトルで講演を行っており、こちらもおすすめです。(昨年度は某製薬企業の方の話があまりにも感銘を受け、製薬業界に行こうという思いが高まりました。こちらもいずれはお話したいと思います。)

以上、ポスター発表の話が少々長くなりましたが、「第4回CSJ化学フェスタ」の報告でした。

まだまだ成長段階で課題はいろいろあると思いますが、本当によい学会ですのでみなさんもどしどし参加しましょう!!!

 

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2015年春から製薬会社研究職の社会人一年生。修士時代は薬学(化学系)を専攻。製薬業界の実情、就職活動に関して、分かりやすいプレゼンの仕方などを皆様にわかりやすくお伝えしたいと思います。

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