論文の最近のブログ記事



ホウ素は求電子剤?求核剤?


 原子番号5番のホウ素(B)は耐熱ガラスやホウ酸ダンゴなどでおなじみです。有機合成化学においては鈴木カップリングの中枢を担う大事な元素ですね。

有機化学の反応は、簡単に言ってしまえば求核剤と求電子剤との反応です。
炭素や窒素、酸素などの元素は、求電子剤・求核剤の両方がそれぞれ多数開発されて今日の複雑な合成が可能になっているわけですが、ホウ素はずっと求電子剤でした。
教科書にも『空のp軌道があるのでホウ素は求核剤の攻撃の標的になっている(ウォーレン有機化学下巻)』とあるとおり、この空の軌道がある限りホウ素は求電子剤であると考えられてきました。

今回はその常識を打ち破るホウ素化合物の紹介なのですが、その前に過去に報告されている3種類のホウ素求核剤をまずはご覧ください。

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95%以上が水の素材:アクアマテリアル

hydrogel4.jpg

(写真は毎日新聞より)

東京大学の相田卓三教授のグループから、組成の95%以上が水分でありながら、シリコンゴム程度の強度と自己修復性を合わせ持つハイドロゲルが発表されました。[1] その高含水率から「アクアマテリアル」と命名されています。

新聞各紙やYahoo!ニュースのトップにも取り上げられたので、そちらをご覧になった方も多いかもしれません。

これまでのハイドロゲルは、共有結合による架橋を利用しており、もろくて不透明なものでした。近年報告されている、層状粘土鉱物(クレイ)と高分子を用いたゲルは、クレイと水の存在下で高分子を合成して作成するために調製に手間がかかる上、実用レベルの強度、高含水率、自己修復性を獲得するには至っていません。

今回のアクアマテリアルは、超分子的なアプローチにより、水分含有率が95%以上のハイドロゲルでありながら簡便な作成・自己修復性・高強度を実現しています。

では、詳しいその原理を見てみましょう。

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不斉Corey-Chaykovskyエポキシド合成を鍵としたキニーネ・キニジンの選択的合成

chiralS_Qunine_1.gif
Practical and Highly Selective Sulfur Ylide Mediated Asymmetric Epoxidations and Aziridinations Using an Inexpensive, Readily Available Chiral Sulfide. Applications to the Synthesis of Quinine and Quinidine.
Illa, O.; Arshad, M.; Ros, A.; McGarrigle, E. M.; Aggarwal, V. K. J. Am. Chem. Soc. 2010, ASAP doi:10.1021/ja9100276

Corey-Chaykovsky反応はアルデヒドに硫黄イリドを1,2-付加させ、エポキシドを合成する反応です。

当然ながら、光学活性なスルフィドを用いた不斉化の試みはいくつもなされています。ユニークな反応形式が期待できるものの、その実用度は未だ発展途上です。とにもかくにも、性能のよいスルフィドキラル補助基の調整が難しい、というのが実用性を下げている大きな要因としてあるようです。

英ブリストール大学・Aggarwalらによってこのたび開発されたキラルスルフィド補助基は、この反応形式における問題点をかなり解決したものになっています。

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顕微鏡で化学反応を見る!?

fullerene_coalescenece_nanotube_rupture.png
Observations of Chemical Reactions at the Atomic Scale: Dynamics of Metal-Mediated Fullerene Coalescence and Nanotube Rupture
Chuvilin, A.; Khlobystov, A. N.; Obergfell, D.; Haluska, M.; Yang, S.; Roth, S.; Kaiser, U.
Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 193-196. DOI : 10.1002/anie.200902243


フラスコの中では一体何が起こっているのだろう......?

化学者が毎日想像する化学反応の様子を観測してしまった、インパクト抜群な論文が登場しました。

冒頭の図にある黒い点は、ジスプロシウムというランタノイド原子。始めは、カーボンナノチューブの中のフラーレンのそのまた中に入っていたこの原子が、フラーレンを喰い破り、さらにはナノチューブまで破壊してしまった――「フラーレン」「カーボンナノチューブ」といった化学を好きな人なら一度は耳にしたことのある花形分子たちが反応するその様子を、TEMを用いてリアルタイムで捉えることに成功しています。

早速その内容を見ていきましょう。

 

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最近の金事情

Moneyではなく、Goldの方です。

 

rk000.gifカップリング反応に使う金属、と言えば皆さんどの金属が思い浮かびますか?パラジウムやニッケル、亜鉛、銅などが一般的なところでしょうか。

ところがここ数年、JACSやAngewに「金」触媒を用いた反応を頻繁に見かけるようになっています。
なにゆえ今「金」なのでしょうか???

そこで今回、金触媒を用いた様々な有機合成に関する最近の論文をいくつか紹介したいと思います。

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