[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

ジョン・フェン John B. Fenn

[スポンサーリンク]

 

ジョン・ベネット・フェン (John Bennett Fenn、1917年6月15日-2010年12月10日)は、アメリカの分析化学者である。

「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」、とくにエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI-MS)開発の功績により、2002年ノーベル化学賞を受賞した。

経歴

1937 Berea College 学士号取得
1940 イェール大学 博士号取得
1940-1942 モンサント社 研究員
1942-1943 Sharples化学会社 研究員
1943-1945 Experiment, Inc. 研究員
1945-1949 プリンストン大学 US Office of Naval Research 教授
1949-1967 プリンストン大学 Aerospace and Mechanical Engineering Sciences 教授
1967-1993 イェール大学Mason研究所 教授
1987 イェール大学 名誉教授
1993-2010 ヴァージニア・コモンウェルス大学 教授

兼任
1952-1962 Director of Project SQUID, US Navy
1976 トレント大学客員教授
1979 東京大学客員教授
1984 テルアビブ大学Raymond and Beverly Sackler Distinguished Lecturer
1987 Distinguished Visiting Professor at the Chinese Academy of Sciences
1991 Kistiakowski Lecturer at Harvard
1992 Distinguished Visiting Scientist at Latrobe University

 

受賞歴

1982 U.S. Senior Scientist Award from the Alexander von Humboldt Foundation
1992 Award for Distinguished Contributions in Mass Spectrometry from the American Society of Mass Spectrometry
1999 Yale Science and Engineering Award for Distinguished Contributions to Basic and Applied Science
2000 ACS Award for Advancements in Chemical Instrumentation
2000 Thomson Medal from the International Society of Mass Spectrometry
2000 fellow of the American Academy of Sciences
2002 Award for Outstanding Contributions to Biomolecular Technologies from Association of Biomolecular Resource Facilities Award
2002 ノーベル化学賞
2003 Wibur Cross Medal

 

研究概要

エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ElectroSpray Ionization Mass Spectrometry)の開発

化合物の質量分析を行うには、試料をイオン化してやる必要がある。しかし従来法ではその条件が厳しく、試料の開裂(フラグメンテーション)が起きてしまうなどの問題があり、測定できる分子の大きさが限られていた。

フェン氏が開発したエレクトロスプレーイオン化法'(ESI)は溶液中の試料を、大変ソフトな条件でイオン化する。測定可能な分子量上限を大幅に(100万程度にまで)引き上げたESI技術は、今ではたんぱく質や生体高分子などをはじめとする、複雑物質の構造解析に欠かせない分析技術のひとつとなっている。

この業績が高く評価され、氏は田中耕一氏、クルト・ヴュートリヒ氏とともに2002年のノーベル化学賞を共同受賞した。

 

コメント&その他

1. ノーベル賞の対象となった論文が発表されたのは、驚くべきことに彼が70歳を超えてからである。

 

名言集

 

関連動画

関連文献

 

関連書籍

 

外部リンク

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. アリ・ワーシェル Arieh Warshel
  2. 日本国際賞―受賞化学者一覧
  3. ブラッド・ペンテルート Bradley L. Pentelute…
  4. ロバート・バーグマン Robert G. Bergman
  5. 平田 義正 Yoshimasa Hirata
  6. 鄧 青雲 Ching W. Tang
  7. トム・メイヤー Thomas J. Meyer
  8. ドナルド・トマリア Donald Tomalia

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 製薬、3強時代に 「第一三共」きょう発足
  2. 第97回日本化学会春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part II
  3. 臭素系難燃剤など8種を禁止 有害化学物質の規制条約
  4. 世界初!反転層型ダイヤMOSFETの動作実証に成功
  5. ネイティブ・ケミカル・ライゲーション Native Chemical Ligation (NCL)
  6. 製薬業界の研究開発費、増加へ
  7. ジルコノセン触媒による第一級アミドとアミンのトランスアミド化反応
  8. 三共・第一製薬の完全統合、半年程度前倒しを検討
  9. ノーベル化学賞メダルと科学者の仕事
  10. ワムシが出す物質でスタンする住血吸虫のはなし

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年12月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP