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周期表を超えて~超原子の合成~

スーパーアトム

 原子をいくつか組み合わせたものは違う原子と同じ性質をもつ?そんなことがあるのか?と思いますが、それはスーパーアトムとよばれる複合クラスターによって実現されました。今回、Al7C-という炭素原子の周りにアルミニウムが7個結合したもので、これがゲルマニウムと同様な振る舞いをすると報告されました。(Shiv. N. Khanna,et al.,  Proc. Nat. Acad. Sci. USA, DOI:10.1073/pnas.0608781103).

 このクラスターとは、原子および分子が、数個~数十個、もしくはそれ以上集合した状態のことをいい、代表的なクラスターに炭素が60個結びついたフラーレンがあります。フラーレンは共有結合で結びついていますが、金属結合や水素結合で結びついているクラスターもあります。つまり、原子レベルでの集合体のことをいうわけです。(図:Chemical & Engineering News

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2006年11月22日 ブレビコミン | | コメント(0)

保護により不斉を創る

1,2-diol
  図のような1,2-ジオールは光学活性体でしょうか?不斉炭素(分子中の炭素原子に異なる四つの原子および原子集団が結合しているもの)を有するから光学活性体です。・・・というのは不正解です。これはメソ化合物といい、不斉炭素を有しながら分子内に対称面を持つために、光学活性体(キラルな化合物)ではありません。しかし、このアルコールの片方に選択的に何らかの官能基を導入することができれば、対称面がなくなり、キラルな化合物となります(不斉非対象化)。このような物質のことをプロキラルな化合物といいます。しかも鏡像体の1:1混合物であるラセミ体から片方の鏡像体を得るためにはどうしても収率が50%を超えないのに対し、メソ化合物からは100%得ることができます。

 そのためこのような不斉非対称化反応は非常に効率的です。通常、リパーゼなどの酵素を作用させることによって、この反応は実現できます。ただ酵素反応では適用反応が狭い、酢酸ビニルを使ってアセチル化するため、1,2ージオールや、1,3-ジオールの場合アセチル基の分子内転位反応によってラセミ化しやすいという欠点があります(言葉で書いてもよくわかりませんね。すみません。)。とはいっても非常によい反応で工業的にも使われております。

 このような酵素の反応を模倣し、人工的な触媒で行うことができればすばらしいですよね。(実際いくつかの例は最近報告されています。)

 今回ボストン大学のAmir H.Hoveyda教授とMarc L. Snapper教授らは共同してこの反応に取り組み以下のような反応を開発し、ネイチャーに報告しました。(Nature 2006, 443, 67

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2006年9月12日 ブレビコミン | | コメント(0)

肥満防止の「ワクチン」を開発 米研究チーム

 ワシントン――米スクリプス研究所のチームがこのほど、肥満を防ぐ「ワクチン」を開発し、ラットを使った実験に成功したと発表した。「空腹ホルモン」と呼ばれるグレリンの作用を阻害することにより、体重の増加を抑える効果が得られたという。

グレリンは人間や動物の体内で分泌され、食欲増進作用があることが知られている。チームでは、ラットにワクチンを接種することにより、グレリンが脳に到達するのを阻止する「抗体」を体内に生成させた。その上で低エネルギー、低脂肪のえさを無制限に与え、接種を受けなかったラットと比較した。結果は米科学アカデミー紀要(PNAS)の最新号で報告されている。(引用:CNN.co.jp)

 スクリプス研究所は、まだ歴史が浅いので一般の人にはあまり知られていないかもしれませんが、豊富な資金力を元に化学、生物化学の分野での第一人者を集め、最近非常に注目されている研究所です。例えば2001年に不斉触媒反応でノーベル化学賞を受賞したシャープレス教授や、蛋白質高次構造のNMR的解析で2002年に同じくノーベル化学賞を受賞したビュートリッヒ教授などが在籍しています。

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2006年8月 6日 ブレビコミン | | コメント(0)

何を全合成したの?Hexacyclinolの合成

Hexacyclinol

 生物活性を有する天然物を単離し、構造決定を行い、報告する、天然物の「単離屋」さん。その構造の絶対立体配置を決定するため全合成を行う、また少量しか採れない化合物を生物学的研究のため供給する、さらに強力な生物活性を有する類縁体を合成する、それが「合成屋さん」です。(一般的な話です。)

 もちろん「単離屋さん」は自分の単離した天然物が正しい構造であることを信じています。ただ、実は構造決定した天然物でなく非常に微量な別の化合物が、生物活性を有していること、構造が実は誤っていることが時々あります。そのため自分の天然物の宣伝にもなり、さらに合成した天然物の生物活性を調べることで正しい構造であることを証明できる、生物学的研究を進めることができるため「合成屋さん」にぜひ合成して欲しいものなんです。

 最近は、分析機器、とくにNMR(核磁気共鳴スペクトル)の発達によりμgオーダーの化合物があれば構造を決定できる時代になりました。そのため、非常に多くの新規骨格を有する天然物が単離されていますが、そういう訳もあって、構造の誤りが多数増えているように思います。(参考:K. C. Nicolaou et al., Angew. Chem., Int. Ed, 2005, 44, 1012) 

 さて、今回のHexacyclinolの例はさらに複雑です。「単離屋さん」の構造を、「合成屋さん」が全合成し、「単離屋さん」の構造はあっている!と報告したんですが、別の「合成屋さん」がこの構造は違っていて、違う構造を提唱し、それを作ってしまったということなんです。

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2006年8月 1日 ブレビコミン |

ドミノ遊びのように炭素結合をつくる!?

enders 有機合成化学とは炭素炭素結合を順番につなげて目的の化合物を作る学問です。それをひとつひとつつなげていってもよいのですが、2つ、3つの炭素結合を一挙につなげることができれば、効率がよいですね。そういう2つ以上の反応を組み合わせた反応を、ドミノ反応(Domino reaction)とかタンデム反応(Tandem reaction)といいます。ドミノ倒しのように、前のドミノが次のドミノを倒して・・・連鎖的にドミノが倒れていくというところから由来しています。別に全く新しい概念ではなくて、既存の反応を組み合わせていけばよいのです。

 一方、近年、反応を進行させる触媒として、高価・有毒・廃棄困難である(全部ではありませんよ。)金属を用いず、有機化合物そのものを用いるという「有機触媒」というものが話題になっています。アミノ酸である安価なプロリンを用いる不斉合成反応が特に有名です。

 さて、今回ドイツアーヘン大学のEnders教授らは、その有機触媒を利用して、3つの化合物の炭素炭素結合をDomino反応によって結合させ、有用な1つの化合物にすることに成功し、ネイチャーに報告しました。(Nature, 2006, 441, 861

 もう少し有機化学的に言えば(ここから下はちょっとだけ専門的です。)、不斉触媒としてプロリン由来のジフェニルプロリノール誘導体をもちいて、2つのアルデヒドとニトロスチレン誘導体とのドミノ反応により(2つのMichael反応と1つのアルドール反応)、光学的に純粋な付加体を高収率、高いジアステレオ選択性で得ました。ということです。

ジフェニルプロリノール

 ドミノ反応の性質上、前に述べたように、既存の反応の組み合わせというイメージがあります。MIchael反応アルドール反応はよく使われる反応です。この触媒を用いたMichael反応も、Aldol反応も報告されており、さらには合成した化合物が実際、そんなに有用なものではないと思うので、個人的にはそこまですごい反応という感覚はないのですが(ごめんなさい。)、先週のストルツ教授に続いて、2週連続で純粋な有機合成反応でネイチャーはすごいです。

 Enders教授は昔から、プロリン由来の不斉補助基を用いて、様々な不斉合成反応を報告してきた第一人者です。これ以外にも最近多くの有機触媒を用いた反応が報告されているので、この分野に注目してみてください。(写真:真ん中がEnders。Chemical & Engineering Newsより)

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2006年6月19日 ブレビコミン |

天然の日焼け止め?

アントシアニンそろそろ梅雨の季節ですが、梅雨が明けたら夏。日差しが厳しい季節がやってきます。

ほどよい日焼けは健康的でよいですが、過度の日焼けはお肌にダメージを受けます。日焼けは皮膚内部に入ってきた紫外線に対して、皮膚がメラニン色素を産出してその侵入を防御するために起こる現象です。日焼けすることによって肌のシワや老化を早めます。さらに、皮膚がんの原因ともなります。

 

最近、メッシーナ大学のFrancesco Cimino らは、ベリーや赤ぶどうなどに含まれるアントシアニン類が、肌を黒くする紫外線UV-Aから皮膚細胞を保護する効果を有することを報告しました。(J. Agric. Food Chem., published online May 9, dx.doi.org/10.1021/jf060253x)アントシニンの3位配糖体であるcyanidin-3-O-glucoside がそのような効果があるそうです。さらに、サンバーンの原因である紫外線UV-Bからも皮膚細胞を保護するそうです。

また、ヘブライ大学のMorris Srebnik らはバクテリアの代謝物質であるporphyra334にUV-Aから皮膚細胞を保護する効果があることを報告しました。どーやら市販の日焼け止め製品よりも広い波長範囲で皮膚を保護するとのことです。(Photochem. Photobiol. Sci. 2006, 5, 432).

両者とも天然の日焼け止めということで、このような化合物群にどうしてそのような効果があるかが興味があるところですね。

 

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2006年5月18日 ブレビコミン | | コメント(0)

甘草は虫歯を予防する?!

リコリス

甘草(リコリス、Glycyrrhiza uralensis)から単離された化合物Glycyrrhizol Aは虫歯を引き起こす、病原体に対して強力な抗菌作用を示すということが報告されました。(J. Nat. Prod. 2006, 69, 121) 単離したWenyuan Shi(カリフォルニア大学、ロサンゼルスリコ)らは「リスキャンディーを食べる事は空腹を減らすだけでなく、バクテリアと戦うことにもなっているかもしれません。」と述べています。(C&EN)

 

リコリスはハーブの一種で、砂糖の50倍の甘さがあります。リコリスキャンディーっていったら、それかどうか知らないが、あのケミカルっぽい味のRed licorice vinesを思い出すのだが。アメリカ人はなぜアレをおいしそーに食べているのだろう。味覚が違いすぎる。ちなみに黒いほうはタイヤみたいな味がする。

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2006年2月 4日 ブレビコミン | | コメント(0)