- 2005-02-18 (金)
- 化学一般
オスのゴキブリを引き付けるメスの性フェロモンを合成することに日米の共同チームが成功した。天然のものと同じようにオスが群がることを確認。メスの「魅力」を利用した効果的な駆除法の開発に役立つという。成功したのは元コーネル大学博士研究員の野島聡氏(現在は信越化学工業主任技術員)らのチーム。分析方法などを工夫し、チャバネゴキブリのメス1万5000匹から約5マイクロ(マイクロは100万分の1)グラムの性フェロモンを採取。これを基にフェロモンの構造を解明、人工的に合成した。(引用:日本経済新聞)
ブラテラキノンと命名したそうです。サイエンスに論文が報告されていました。(S. Nojima et al, Science, 2005, 307, 1104.)非常に単純な構造ですね。といっても最近の生物活性を有する天然物の単離、構造決定もそうですが5μgで構造を決定できるようになったのはすばらしいことです
合成は簡単。 2,5ジメトキシベンジルアルコールとイソバレルクロリドを縮合し、CANで酸化するだけです。こんな簡単に作れるなんて。脅威です

こんなフェロモン見つけてもしょうがないじゃないか!という人もいるかもしれませんが、結構役に立つんです。ゴキブリが寄ってくるということはそこに集めることができるんですね。ですから集めて一斉に駆除することができる。優れものですね。しかし、今までいなかったのにゴキブリが集まってきてしまうという難点もあるのだろうか・・・?
関連書籍
低分子量の生物活性物質、とくにホルモンとフェロモンについて、合成を中心に平易に解説。実験的な事柄を含めて生物活性物質の合成化学を解説するとともに、化学者の生き方についてもふれた、化学系の大学生のための副読本。
「高速道路を一路西に向かって走る。もうこの道を通ることもないだろう。お気に入りのCDからはサザンの曲が流れている。突然、感極まり涙がとめどなく流れてきた。3年にわたる辛くも楽しかったアメリカでの研究生活を終えて、明日ついに帰国する。最後の最後で、長年研究者の挑戦を退けつづけていた研究をやり遂げた達成感、複雑な思いが心の中で絡み合い交錯していた。私はかまわず涙を流し続けた。」(野島聡、化学2005年8月号P30 [チャバネゴキブリ雌性フェロモンの解明]から引用)
化学に載っていた、ブラッテラキノンを単離した野島さんの記事です。非常に感極まるものがありましたので引用させていただきました。このとき著者は次の研究ポストがなく、最後の研究であったということです。(現在はこの研究がもとで研究者の道を続けています。)研究の厳しさ、それ以上に達成するまで達成したときの臨場感が伝わってくる記事でした。ぜひみなさんも読んでみて下さい。特に研究者を目指す方にはおすすめです。(2005年7月20日追記)
関連する記事
森林総合研究所、広葉樹害虫ヒメボクトウの性フェロモン化学構造を解明(2006.05.24)
その他の関連書籍
投稿者: ブレビコミン 日時: 2005年02月18日 09:15
- Newer: 「さびない鉄」産業界熱視線
- Older: 大型期待の認知症薬「承認申請数年遅れる」 第一製薬
Comments:13
- fremtid 2005-02-18 (金) 18:59
-
トラックバックどうもありがとうございます。
やっぱりこのフェロモンってゴキブリホイホイか何かに使われるんですかね?
僕のblogの記事でも書きましたが、あんまりたくさん集まるようなら中を見たときの想像はしたくないですねwちなみに僕にとって上記の構造式や用語は何のことやら全く分かりません…
それを「簡単」とおっしゃるなんて… - atusita 2005-02-19 (土) 00:57
-
TBありがとうございます。
ご専門の方に脊髄反射系拙コメントを読まれちゃうのって、なんか恐縮です。この時事化学ネタのブログ、専門のことはよくわかりませんが、面白いですね。
またちょくちょく読ませていただきます。 - ブレビ 2005-02-19 (土) 01:05
-
fremtidさんコメントありがとうございます。
昔、フェロモン作ってる有名な化学者の講演で、そのときは蛾だったかな?
袋の中にうじゃうじゃと集まって駆除してるスライドを見たことがあります。私も、ゴキブリだけは見ると泣くぐらい嫌いなのでそういう光景は簡便ですね(苦笑)。
化学に関しては一応専門ですから、一般的な記事をちょっとマニアックに説明しているので、確かに一般の人にはなんやらわからないかもしれません。
これからもよろしくお願い致します。 - ブレビ 2005-02-19 (土) 01:08
-
atusitaさんコメントありがとうございます。いえいえ結構他の人の同じ記事に対する意見って面白いものですよ。こちらこそ読ませていただきます。ぜひサイトの方にも訪れて下さい。これからもよろしくお願い致します。
- happydays77 2005-02-19 (土) 18:24
-
はじめまして!
合成は簡単なんですか~。早いところ大量生産して、新型ゴキブリホイホイを作ってほしいですね。
それにしても、出発材料がすごいですね。
トラックバックさせていただきました。 - ブレビ 2005-02-19 (土) 19:21
-
TBありがとうございます。
合成は原料があれば1日もあれば終わります。原料も試薬として購入できます。集まってきそうなのであまり作りたくないですが。(苦笑) - ヒカル(v^-^) 2005-02-20 (日) 13:39
-
トラバありがとう。
専門家にとってこのフェロモンは簡単に作れるんですか?それに原料も簡単に入手出来るみたいなんですね。その辺の薬局で原料が売っているんかな?人間で犯罪者を集めるフェロモンなんかあったら警察の仕事楽になるやろうなぁ。
- ブレビ 2005-02-21 (月) 00:23
-
ヒカルさんコメントありがとうございます。
薬局ではさすがに売ってないですね。試薬会社で購入できます。研究用なので一般の人は購入できないかもしれないですが。
犯罪者を集めるフェロモン、面白いですね。 - spirillum 2005-02-21 (月) 19:14
-
TBありがとうございます。
専門の方はやはり見るところが違いますね!
私は生物系なので、抽出の妙技に感嘆しました。
熱をかけない質量分析はEI-MSでしたか!思い出してすっきりしました。(W笑) - ギャビ 2005-03-07 (月) 19:08
-
ブレビさんへ質問です。
ゴキブリのフェロモンが試薬会社で購入できるのですか?
また、購入したい場合は『ブラテキラノン』で通じるのですか?
もし、決められた名前が有るのであれば、教えて下さい。
宜しくお願いします。 - ブレビ 2005-03-07 (月) 20:13
-
ギャビさんへ
はじめまして。
ゴキブリのフェロモン自体は購入できません。
できるのは、合成の出発原料である、2,5ジメトキシベンジルアルコールとイソバレルクロリドです。といっても研究用試薬のため一般の人は購入できないと思いますが。 - ギャビ 2005-03-07 (月) 20:22
-
ご返答有り難うございます。
僕は、試薬メーカーと取り引きが有ります。
そして、ゴキブリの業界に携わる者です。
今回の誘引剤については非常に興味が有ります。
教えて頂きました2,5ジメトキシベンジルアルコールとイソバレルクロリド
の成分を合成することでフェロモンを簡単に作り出せるのですか?
もし、その方法があるのであれば教えて頂きたいのですが・・・。 - ブレビ 2005-03-07 (月) 20:52
-
ギャビさんへ
そうなんですか。合成法は本文の方に書いてあります。またScienceの文献に実験項は載っていると思います。有機合成に携わっている人ならばたった2段階なので1-2日で合成できるのではないでしょうか?
Trackback:7
- TrackBack URL for this entry
- http://www.chem-station.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/134
- Listed below are links to weblogs that reference
- メスゴキブリのフェロモン合成、駆除に活用・日米チーム from ケムステニュース~化学ニュースサイト~ by Chem-Station
- ゴキブリ フェロモン from 新・実験台 2005-02-19 (土) 00:42
- フェロモンで寄せ、しとめる。。。 思いっきり人間に応用できそーじゃねーか! 。。。 うぐぐぐ、すでに何度もひっかかってるかも。。。 ゴキブリ:性ホルモン構造を解明 効率的駆除法開発に道 チャバネゴキブリの雌が分泌する性フェロモンの構造を、米コーネル大
- ガ求愛行動:性フェロモンを解明 東大など from ケムステニュース 2005-02-19 (土) 01:09
- カイコガの求愛行動で、雌が出す性フェロモンを雄が感じる際、その感度を数百倍に上げているたんぱく質を東京大と京都大の共同研究チームが見つけた。ガは数キロ離れた雌の居場所を知ることができるが、その超高感度センサーの仕組みの一端が解明された。4日発行の米科学誌
- 究極の撃退法? from 新米兼業シュフ日記 2005-02-19 (土) 18:24
- グルメのジャンルなのに美味しくない話でごめんなさい! ここに集まる皆様の最大(?)の敵の話題です。 ゴキブリの性ホルモンの構造 メスが発する、オスを呼ぶホルモンがどのような化合物であるかが明らかになったそうです。それにしても、メス1万5000匹から集めたとい
- ゴキブリ退治 from アフィリエイトハンター 2005-02-20 (日) 09:10
- すごいですね、化学式は、チンプンカンプンです。
- カシノナガキクイムシ集合フェロモンの化学構造を解明 from ケムステニュース 2005-04-02 (土) 01:21
- 昨年は日本海側の地域を中心にカシノナガキクイムシが大発生し、ミズナラなどのブナ科樹木の集団枯死が起きました。同時に、ツキノワグマがしばしば里に出没し、ミズナラなどの堅果(ドングリ)のなり具合との関係が取りざたされました。森林総合研究所では、集団枯死を引き
- ・フェロモン配合商品 from ダイエットで健康美人 2005-05-06 (金) 21:10
- フェロチカホークにはイタリア人男性のヒトフェロモンが高配合されています。 フェロモンの存在は「たけしの万物創世記」や「特命リサーチ200X」でもアンドロスタノール誘導体として証明されていますし、目隠しした女性の前に男性を並ばせ、フェロモンをたらしたTシャツを
- メガネから環境ホルモン検出 ~ 対策急務 from bogusnews 2005-09-18 (日) 22:10
- 資料写真: 「メガネ男子」アスペクト刊 →この商品をAmazonでチェック 東京理科大の吉見重嗣教授を中心とした研究グループは、世界で生産されているメガネのほとんどに多量の環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)が含まれているという調査結果をまとめた。研究報告は....
