[スポンサーリンク]

ケムステニュース

富山化学とエーザイ 抗リウマチ薬(DMARD)T-614を国内申請

[スポンサーリンク]

富山化学とエーザイは8月31日、共同で開発してきた抗リウマチ薬T-614(一般名:イグラチモド)を日本で承認申請したと発表した。富山化学が創製したもので、炎症を起こす原因と考えられる免疫異常などをコントロールすることで効果を発揮すると考えられ、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)と呼ばれる薬剤。DMARDにはメトトレキサート(MTX)などがあるが、同社によると、既存のDMARDでは効果不十分なケースや重症度の高い患者への効果も期待できる新規DMARDという。

 

最近、学生が脚が痛いといって、こいつ若いのに痛風か?とおもいきや、リウマチの疑いがありました。ふとニュースをみていたら富山化学とエーザイからリウマチ薬としてこんな化合物が承認申請されていましたので、ちょっと調べてみました。

T-614は実は2003年に承認申請を行っているのですが、標準的治療への上乗せ使用した際のデータが必要であると判断し、追加試験を実施するため2009 年に承認申請を一旦取り下げています。最近優位な結果が得られたので、再度申請したというわけです。8年越しの申請ですね。発見から開発や臨床試験にあたってはさらに時間がかかっていると思われるのでこれって初めから何年かかっているのでしょう。なかなか気の長い話で薬を創る難しさを物語っていますね。

ところでぶっちゃけリウマチってどんな病気かしっていますか?病気名は広く知られているものの症状はどんなものか一言で答えることの出来る人は結構少ないのではないのでしょうか(筆者もその一人です)。このサイトによると「広義には骨、軟骨、関節やその周辺の痛みとこわばりを持つ疾患の総称として使われます。 狭義には関節リウマチを指します。」らしいですが、なにやら成長痛がひどくなったようなイメージで痛そうですね。当人(学生)もとても痛いといっていてかわいそうです。

話を戻して、このT-614を投与すると現在抗リウマチ薬(ストロングDMARD)として活躍しているメトトレキサート(商品名:リウマトレックス)と同じぐらいの改善度(60%)がみられるそうです。

methotrexate.png

窒素がいっぱい抗リウマチ薬メトトレキサート(販売:ワイス/武田)

新規構造のDMARDらしいので、承認されどちらか経過がよいものを選択できるようになるとよいですね。

 

外部リンク

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 東レ科学技術賞:東京大学大学院理学系研究科奈良坂教授受賞
  2. 吉岡里帆さんが出演する企業ブランド広告の特設サイト「DIC岡里帆…
  3. 凸版印刷、有機ELパネル開発
  4. 三菱ケミカルのサステナビリティに関する取り組み
  5. 富士通、化合物分子設計統合支援ソフト「キャッシュ」新バージョンを…
  6. 米FDA立て続けに抗肥満薬承認:Qsymia承認取得
  7. ダイエット食から未承認薬
  8. 海水から微量リチウムを抽出、濃縮できる電気化学セルを開発

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 決算短信~日本触媒と三洋化成の合併に関連して~
  2. モータースポーツで盛り上がるカーボンニュートラル
  3. 化学に魅せられて
  4. 歪み促進型アジド-アルキン付加環化 SPAAC Reaction
  5. PACIFICHEM2010に参加してきました!Final!
  6. 科学は探究心を与え続けてくれるもの:2016 ロレアル–ユネスコ女性科学者 日本奨励賞
  7. 子ども向け化学啓発サイト「うちラボ」オープン!
  8. 2つの触媒と光エネルギーで未踏の化学反応を実現: 芳香族化合物のメタ位選択的アシル化の開発に成功 !!!
  9. 第24回 化学の楽しさを伝える教育者 – Darren Hamilton教授
  10. 表裏二面性をもつ「ヤヌス型分子」の合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年9月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP