[スポンサーリンク]

ケムステニュース

カーボンナノチューブの毒性を和らげる長さ

[スポンサーリンク]

 

 

Safety fears about carbon nanotubes, due to their structural similarity to asbestos, have been alleviated following research showing that reducing their length removes their toxic properties, experts say.

カーボンナノチューブはアスベストと構造が似ているためにその安全性が疑問視されている。その疑問に対して最近カーボンナノチューブの長さを短くすることによって、その毒性をなくすことが出来るという報告がされた。

引用:Science News
対訳:筆者

 

新しい材料が開発されるときにはその危険性に対する先見性が必要である。オゾン層を破壊したフロンガスや、多くの発がん性物質など、社会に有用であると思われていた物質に決定的な副作用があることはままある。

ナノ材料は長くその人体への影響が言及されてきた。このような人体への影響はその重要性にも関わらず、測定に時間がかかり、また有意差を認識することが難しい。そのため明確な危険性、安全性を決定するのに労力を必要とする。

 

このニュースでは最新の科学論文Angewandte Chemieからのリポートであり、カーボンナノチューブ自体が、生体での安定性を担持して、短くあれば毒性がないという主張をしている。

科学論文でトップのジャーナルでの報告とはいえ、基礎的な研究の段階であるため、このリポートからだけでは安全性の決定は難しい。しかし材料として世の中に出るためには重要な研究であり、意義深いデータである。このような研究が積極的に進み、安全性が認知された上でナノ材料が世の中で活躍されることが期待される。

 

関連書籍

やすたか

投稿者の記事一覧

米国で博士課程学生

関連記事

  1. 石テレ賞、山下さんら3人
  2. 相次ぐ”業務用洗剤”による事故
  3. BASF、新規のキラル中間体生産プロセスを開発!
  4. ダイハツなど、福島第一原発廃炉に向けハニカム型水素安全触媒を開発…
  5. 日本化学会、論文無料公開へ新方式
  6. 毒劇アップデート
  7. 紅麹問題に進展。混入物質を「プベルル酸」と特定か!?
  8. 新薬と併用、高い効果

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ペプチドの革新的合成
  2. 米ファイザーの第2・四半期は特別利益で純利益が増加、売上高は+1%
  3. ストレッカーアミノ酸合成 Strecker Amino Acid Synthesis
  4. 炭素置換Alアニオンの合成と性質の解明
  5. リチウムを用いたメカノケミカル脱水素環化法によるナノグラフェン合成
  6. 留学せずに英語をマスターできるかやってみた(6年目)(留学後編)
  7. 第146回―「原子から社会までの課題を化学で解決する」中村栄一 教授
  8. マイクロ波を用いた革新的製造プロセスとヘルスケア領域への事業展開 (凍結乾燥/乾燥、ペプチド/核酸合成、晶析、その他有機合成など)
  9. データ駆動型R&D組織の実現に向けた、MIを組織的に定着させる3ステップ
  10. 橋頭位二重結合を有するケイ素化合物の合成と性質解明

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年1月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP