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海外化学者インタビュー

第37回 糖・タンパク質の化学から生物学まで―Ben Davis教授

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第37回の海外化学者インタビューは、ベン・デイヴィス教授です。オックスフォード大学の化学科に在籍し、糖類やタンパク質の化学および化学生物学に取り組んでいます。。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

最も基本的なレベルで自然美を探究できると思ったからだね。あと、探求を毎日してた両親や、12,13歳の頃にお世話になったすてきな先生のおかげでもあるね。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

(現代)美術コレクター/キュレーターになりたいな。化学をしている時と同じように興奮するし、未発見の不思議や畏怖の念に興味があるからね。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

根本的かつ重大な疑問について考えています。 「青い空(基礎研究)」と応用研究に関してはしばしば誤った反対意見があります。 私は個人的に、たとえどんなに曖昧であっても、新しい知識を得ること(これが科学の真の定義ではないでしょうか)に興味があります。 技術として有用かどうかは、事前に知ることは難しいです。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

ズルをして、二人招待します。 まず、ウィリアム・ブレイク – 多くの楽しみと人生を結びつけたような、目を引く男です。 彼は魔法の世界を作りました。 壁に囲まれた素晴らしい庭をロンドンに持ち、ひらめきを得るため街をさまよい歩き回りました。 彼の「無実と経験の歌」は、彼が見たものを垣間見せます。「エルサレム」は雄大で、今でも観る涙が出ます。「歌」のイラストは技術的に荒っぽく、時に下手であるにもかかわらず、何時間も何度も凝視することができるほど素晴らしい。

2人目のゲストはエミール・フィッシャーです。彼は、ほぼ超自然的と言える本能で、数十年前も前から生体分子の相互作用を感じていました。 本物の天才化学者です。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

私は「砂糖のPCR」というものをこそこそと弄っていましたー それは非常に未熟であるか、格別に楽しいかのどちらかです。 これは熱交換に基づく生体触媒カスケードで、微量のグリカンを測定可能なレベルまで増殖することができます。 私はグループに変わったプロジェクトを与えるのが好きなので、私が初めたプロジェクトをグループが続けていることはまれです。 しかし、こういうプロジェクトはあまりに推測的なので、私は深夜に研究室に忍び寄って、実験しています。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

本なら簡単です – シェイクスピアのソネットを含む収集作品。 よく言われることですが、この作品では人間についてとても良く描かれています。 彼はあまりに有名だから我々はその才能を忘れがちだけど、彼の作品を目にするたびに感動します。 彼は人の心をよく分かっていたのです。

1つ小説を選ぶなら、Jane Eyreですね。

CDは難しいです。 私は同じ曲を繰り返し聞いていて、普段は好んで新しいものは聞きません。 なので、たった1つを選ぶのは変な感じがします。 今、私が何度も聞くのは、「タイムズ・オブ・ザ・レオン」のキングス・オブ・レオンです。本当に恥ずかしいことなどなく心に染みます。

もし一生聴かないといけないのであれば、ジョイ・ディヴィジョンの「ハートアンドソウル」です。カーティス様式のダンスを練習できる81トラック集です。 次はみんな口ずさめます。“To the centre of the city in the night…”。

 

原文:Reactions – Ben Davis

※このインタビューは2007年11月2日に公開されました。

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有機合成を専門にするシカゴ大学化学科PhD3年生です。
趣味はスポーツ(器械体操・筋トレ・ランニング)と読書です。
ゆくゆくはアメリカで教授になって活躍するため、日々精進中です。

http://donggroup-sites.uchicago.edu/

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