アルケン→アルケン
▼ 特徴 カルベン錯体触媒存在下、2種のオレフィンの結合の組み替えが起こり、新たなオレフィンが生成する反応。原則として平衡反応なので、生成系に進行させるためには工夫が必要となる(発生するエチレンガスを追い出すなど)。
一人名反応ではあるものの、各方面へ与えたインパクトは測り知れず、事実、2005年ノーベル化学賞は本触媒系の開発に多大な貢献をしたY.Chauvin、R.H.GrubbsおよびR.R.Schrockに与えられた。
▼ 文献
・Streck, R. J. Mol. Catal. 1988, 46, 305. ・Grubbs, R. H. Comprehensive Organometallic Chemistry, 1982, 8, 499. ・Chang, S. Tetrahedron 1988, 54, 4413. ・Fürstner, A. Angew.
Chem. Int. Ed. 2000, 39, 3012-3043.
▼ 反応機構
いずれの触媒を用いても大まかには共通の機構で進行する(Chauvin Mechanism)。
▼ 反応例
1a-cのGrubbs触媒を用いるオレフィンメタセシスより以前に比べ効率的な合成が可能となった。Grubbs第二世代1bは様々な官能基を有する基質に対しても、高い活性を示すが、最近Hoveydaらにより、1bに比べ電子不足オレフィンに対する活性は高く、空気に対しても安定な触媒2bが報告された。しかしながら、おそらくiPrO基の立体障害及び、iPrO基からの電子供与により反応の開始は1bより遅い。また、さらにWakamatsuらはBINOL(3b)やbiphenyl-based-benzylidene(4b)を配位させることで大幅に活性を向上させている。
化学合成、特に天然物合成における大環状化合物合成においては、マクロラクトン化と同様、ほぼ定石扱いと して用いられるようになり、逆合成解析は一変した。1990年代以降に開発された触媒でここまで広く用いられるものは他に例を見ない。マクロラクトン化にない特徴として、タンデム反応により複数の環を一挙に構築できることも手法の強力さの一つである。
メタセシス触媒は精密有機合成のみならず、ポリマー合成にも大きなインパクトを与え、官能基受容性が高いため、合成困難であった多官能基性ポリマーも合成できるようになり、サイクリックポリマーという全く新しい種類のポリマー合成法が開拓され、応用性・発展性の高い物質を作り出すことに成功している。
▼ 参考文献
・Adlhart, C.; Hinderling, C. et al. J. Am.
Chem. Soc., 2000, 122, 8204-8214. ・
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▼ 関連反応
▼ 関連試薬
【Aldrich 】
Grubbs第一世代触媒 分子量 値段: 1 g 20,700 円 (2008.10.22 現在) 用途: 触媒 説明: Grubbsによって開発された第一世代の触媒。活性は第二世代に比べて低いが、その活性の低さがよい結果を生む場合もある。 文献:Grubbs, R. H. Tetrahedron 2004, 60, 7117.
Grubbs第二世代触媒:1,3-Bis-(2,4,6-trimethylphenyl)-2-(imidazolidinylidene)(dichlorophenylmethylene)(tricyclohexylphosphine)ruthenium Benzylidene[1,3-bis(2,4,6-trimethylphenyl)-2-imidazolidinylidene]dichloro(tricyclohexylphosphine)ruthenium (1,3-Bis(2,4,6-trimethylphenyl)-2-imidazolidinylidene)dichloro(phenylmethylene)(tricyclohexylphosphine)ruthenium 分子量:848.97 CAS: 246047-72-3 値段: 100 mg 12,900 円 (2008.10.22 現在) 用途: 触媒 説明: Grubbsによって開発された第二世代の触媒。カルベン配位子を有していて活性が高い。最も現在よく用いられている触媒。 文献:Grubbs, R. H. Tetrahedron 2004, 60, 7117. その他メタセシス触媒: メタセシス:ルテニウム触媒(Sigma-Aldrich有機合成関連製品)
【東京化成工業】
ポリエチレングリコール結合ルテニウムカルベン錯体:Polyethylene Glycol-bound Ruthenium Carbene Complex CAS: 321922-26-3 製品コード : P1427 値段: 100mg 20,700円(2008.10.22 現在) 用途:触媒 説明:Hoveyda第一世代型のオレフィンメタセシス触媒をPEGに担持することで触媒が回収可能となる。反応後,貧溶媒としてジエチルエーテルを加え,ポリエチレングリコール担持触媒を析出させ,回収,再利用できる。 その他メタセシスに関する触媒:オレフィンメタセシス触媒 (TCIメール)
▼ 関連リンク
・メタセシスとカテナン(有機化学美術館)
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