2009年6月アーカイブ

福山アミン合成 Fukuyama Amine Synthesis

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  • 特徴
ニトロベンゼンスルホンアミド(ノシル(Ns)アミド)のプロトンは酸性度が高く、光延反応条件でアルキル化することが可能である。 アルキルハライドを用いる通常のアルキル化条件に伏すこともできる。脱保護も他のスルホン系保護基に比べて容易であり、穏和な条件で二級アミンが合成できる強力な手法。

Ns基はアミンの保護と活性化の二役をこなす、次世代型保護基と言える。


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金属水素化物による還元 Reduction with Metal Hydride

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  • 特徴

数多く幅広い範囲にわたり、様々な強さを持つ還元剤が知られている。入手しやすさや扱いやすさなどの実用性観点からは、以下の還元剤が頻用される。

・水素化ホウ素ナトリウム NaBH4 (Sodium Borohydride)
 最もよく使われる還元剤の一つ。湿気に安定で空気中でも取り扱え、工業的利用にも適している。溶解性の問題から、メタノールを溶媒として用いるのが普通である。通常エステル、アミド、カルボン酸は還元できないが、エステルのカルボニルα位にヘテロ原子が置換している場合には、例外的にエステルを還元することが出来る(おそらく近接位担持効果のため)。 α,β不飽和カルボニル化合物に対しては、1,4-還元が優先するが、セリウム塩の添加により1,2-還元を優先させることが出来る(Luche還元)。

・水素化アルミニウムリチウム LiAlH4 (Lithium Alminium Hydride; LAH)
 かなり強力な還元剤。ケトン、アルデヒドはもちろんのこと、カルボン酸やエステルをもアルコールに還元することが出来る。ニトリルやアミドとも反応し、アミンを与える。ハロゲン化合物やスルホニル化合物とも反応し、ヒドリド置換体を与える。エポキシドと反応し、開環生成物を与える。
  反応時はLAHと反応せず、溶解性も高い脱水THF・ジエチルエーテルなどを溶媒に用いるのが常である。水やプロトン性溶媒とは激しく反応し、水素ガスを発生する。反応性の高さに加えて、粉末状で飛散しやすいことも相まって、発火事故が少なからず発生するため、扱いには十分注意する必要がある。

・水素化ジイソブチルアルミニウム (i-Bu)2AlH (Diisobutyl Alminium Hydride; DIBAL)
 アルミニウム上に空軌道が存在するためルイス酸性を有する。このためLAHなどのアート型還元剤とは異なる反応性を示す。
  ニトリルはイミンに還元され、これは加水分解によりアルデヒドに導ける。このため、ニトリルはアルデヒド等価体と見なせる。
  アセタールはエーテルへと変換することが出来る。たとえばベンジリデンアセタールをDIBALで処理すると、立体的に混み合った部位がBnエーテル化された生成物が得られる。(PMB保護を参照)
 また低温で反応を行うとエステルをアルデヒドに部分還元できる場合もあるが、一般にはそれほど容易ではない(2当量以上のDIBALで一旦アルコールにまで還元した後に、酸化する方が工程数は長くなるが確実である場合も少なくない)。例外的に5または6員環ラクトンの場合、ラクトールへの部分還元は容易である。 
 
n-BuLiを添加してアート型還元剤LiAlH(i-Bu)2(n-Bu)とすることで、還元様式の異なる強力な還元剤として使用することも出来る。  

水素化シアノホウ素ナトリウム NaBH3CN (Sodium Cyanoborohydride)
 水素化ホウ素ナトリウムより還元力は弱いが、pH3程度の酸性条件下にも安定なのが特徴。このため、酸性条件下でのイミニウムカチオンの還元(Borch還元的アミノ化)目的で頻用される。

・水素化ホウ素リチウム LiBH(Lithium Borohydride)
 NaBH4よりも還元力が高く、エステルをアルコールにまで還元することができる。溶液として市販されているが、LiCl+NaBH4の条件を用いて系中で生成させることも出来る。

・水素化トリエチルホウ素リチウム LiBHEt3(Lithium Triethylborohydride: Super-Hydride)
 きわめて求核能の高いヒドリド源であり、Super-Hydrideの商標で市販されている。ハロゲン化物・スルホニル化合物のヒドリド置換反応などに用いられる。

・ボラン錯体 BH3・L (Borane Complex)
 ボラン・ジメチルスルフィド(BH3・SMe2)もしくはボラン・テトラヒドロフラン(BH3・THF)錯体がよく知られており、市販品の購入が出来る。有毒気体であるジボランよりも扱いが容易なため、ボラン等価体として還元目的に用いられる。ケトン存在下カルボン酸を優先して還元できる。オレフィンが存在するとヒドロホウ素化が併発するため、注意する必要がある。

・トリエチルシラン Et3SiH (Triethylsilane)
 通常の還元反応は塩基性条件だが、TFA共存下などの、酸性条件下で還元反応を行うのが最大の特徴。 アセタールの還元や、糖アノマー位アルコキシ基の除去目的などに用いることが出来る。また、遷移金属触媒を併用することでヒドロシリル化などの反応に供することも出来る。

・水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム (Sodium Bis(2-methoxyethoxy)Alminium Hydride; Red-Al)
 LAHと同じような還元力を持つ。発火性が低いため大スケールの使用に供しやすい。
 


選択性発現など、単純還元目的以外で用いられるものとしては、以下のような反応剤が知られている。

・水素化ホウ素ニッケル Ni(BH4)2(Nickel Borohydride)
NiCl2+NaBH4の条件を用いて系中で生成させる。 ニトロ基なども還元される。

・水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム NaBH(OAc)3 (Sodium Tri(acetoxy)borohydride)
 酸性条件下にある程度安定なので、NaBH3CNと同じく還元的アミノ化条件によく用いられる。 また、β位に無保護のヒドロキシル基を有する化合物の場合、立体選択的還元が起こりanti-1,3-ジオールを与える。

・水素化ホウ素亜鉛 Zn(BH4)2(Zinc Borohydride)
 亜鉛のキレート能を利用してsyn-ジアステレオ選択的還元を行うことができる(下図)。NaBH(OAc)3と相補的に用いられる。


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・水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素リチウム LiBH(s-Bu)3 (Lithium Tri(sec-butyl)borohydride; L-Selectride)
・水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素カリウム KBH(s-Bu)(Potassium Tri(sec-butyl)borohydride; K-Selectride)

 強力かつかさ高い還元剤であり、立体的に混み合った位置からは反応しない。

・Schwartz試薬 Cp2ZrHCl
 アルキンやアルケンに対してヒドロジルコネーション反応を行うことができる。生じた有機ジルコニウム試薬は、引き続くクロスカップリングなどで更なる変換が可能である。通常反応の遅いアルキンのヒドロホウ素化反応において有効に働く触媒であることが知られている。 ラクタムを環状アミンへと還元することもできる。

・Stryker試薬 [(Ph3P)CuH]6
 α,β-不飽和カルボニル化合物に対して、1,4-還元を優先的に起こすことができる。キラルな二座リン配位子を併用することで、不斉還元を行うことも可能である。

・水素化トリブチルスズ (n-Bu)3SnH (Tributyl tinhydride)
 通常はラジカル開始剤共存下、水素ラジカル供与目的で使用されるが、Pdなどの遷移金属存在下には、トランスメタル化を経てヒドロスタニル化などを起こしたり、別種の金属ヒドリド錯体活性種を与えることもある。

 




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Evansアルドール反応 Evans Aldol Reaction

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  • 特徴

キラル補助基をもつ求核剤をアルデヒドに反応させ、不斉アルドール反応を行う方法。当量のキラル源を必要とし、補助基の脱着過程が必要になるものの、非常に信頼性が高くかつ大量合成も可能であるので、不斉全合成の初期ステップにも頻用される。
もっともポピュラーなものはフェニルアラニンorバリン由来のキラル補助基である。

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福山インドール合成 Fukuyama Indole Synthesis

<第一世代:イソニトリル法(1)

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<第二世代:イソチオシアネート法(2)> 

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  • 特徴

ラジカル開始剤およびトリブチルスズヒドリド存在下、3-置換、および2,3-二置換インドールを合成する方法。
特に第二世代法は、置換基導入のフレキシビリティがきわめて高く2位にsp3炭素を導入(カップリング反応では通常導入不可)することも可能であるなど、非常に強力な方法論である。イソチオシアネートはキノリンのチオホスゲン開裂によって容易に調製され、大量合成にも適用可能である。

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Curtius転位 Curtius Rearrangement

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  • カルボン酸・酸ハライドから誘導されるアシルアジドを加熱すると転位が起こり、イソシアネートが生成する。 この際、水を介在させておくとイソシアネートはただちに加水分解を受け、アミンが得られる。光学活性な鎖状アミンを立体特異的に合成することが出来る、数少ない手法の一つである。

    水の代わりに適切なアルコールを反応剤として選ぶことでBocやCbzなどの、任意のカルバメート保護アミンが得られるきわめて応用性の高い変換法でもある。

    アジ化ナトリウムは爆発性があるため、爆発性の抑えられたジフェニルホスホリルアジド(DPPA)を用いる代替法が知られている(塩入らの変法)。本法では、カルボン酸から直接穏和な条件にてアシルアジド→Curtius転位へとつなげられる。


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