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ビタミンの働きPart.2

 

ビタミンとは

 

 ビタミンとは「体内の代謝をはじめとする種々の生理現象に重要な役割を演じ、しかも体内で生合成されない為に外部から摂取しなければならない微量必須の有機化合物」(有機工業化学 妹尾学、田村利武、平井長一郎、飯田隆 共立出版株式会社より)とある。ビタミンB6やナイアシンなどは生合成されるがそれだけでは必要な量に足りず、外部から摂取する必要があるためビタミンに含まれる。

 

 ビタミンは発見順あるいは作用機構ごとにビタミンA(3種類)、B(9種類12個)、C(1種類)、D(2種類)、E(2種類)、K(2種類)に分類されており、このうちビタミンB、Cは水溶性ビタミン、ビタミンA、D、E、Kは脂溶性ビタミンである。

 

 ここまでは前回のビタミンの働きPart.1で紹介した内容である。今回は水溶性ビタミンの残りであるビタミンCと脂溶性ビタミンであるビタミンA,D,Eについて紹介する。

 

ビタミンC

 

 ビタミンCはアスコルビン酸といいビタミンの中で一番最初に化学構造の決定、合成が行われたものである。アスコルビン酸(還元型ビタミンC)はつよい還元性を持っており酸化剤が存在するとモノデヒドロアスコルビン酸を経てデヒドロアスコルビン酸(酸化型ビタミンC)へと酸化される(図1)。

 

図1 ビタミンC

 

 還元型ビタミンCはグルタチオンなどの還元剤の働きによって容易に酸化型ビタミンCへと還元される。このためビタミンCは生体内において水素の抗酸化剤、水素供与体としての働きが主なものである。このときに中間体であるモノデヒドロアスコルビン酸は一種のラジカルであるためこれが生理活性に大きく関与しているとされている。

 

 例えば、コラーゲンは組織結合たんぱく質でありヒドロキシプロリンとヒドロキシリジンにより強い結合力を持っており、これらへのヒドロキシル基の導入は酵素の働きが必要であるが、この酵素が活性を示すためにはビタミンCが必要であるように、ビタミンCは多くの生理活性を有するがその中で最も重要なことは多くの酸化還元反応の補基質として関与していることである。

 

ビタミンA

 

 ビタミンAは脂溶性ビタミンの中では最初に発見されたものであり魚類や鯨類の肝臓中に多く存在し、また、緑黄色野菜中にはその前駆体であるカロチノイドを含んでおり、人間の体内でビタミンAに変換されることからプロビタミンAと呼ばれている(図2)。
 

図2 ビタミンA

 

 ビタミンAは15位の官能基によりレチノール(アルコール)、レチナール(アルデヒド)、レチノイン酸(カルボン酸)の3種類の構造があり、これらを総称してレチノイドと呼ぶ。

 

 ビタミンAの機能として最近注目されているものは、レチノール結合性たんぱく質と結合し細胞内に取り込まれ、細胞内部でレチノイド受容体と結合しDNAの遺伝子情報の制御である。

 

ビタミンD

 

 ビタミンD群にはビタミンD2とビタミンD3が存在し、それぞれエルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールと呼ばれる。ビタミンD2はプロビタミンD2であるエルゴステロールを前駆体として合成され、ビタミンD3はプロビタミンDであるデヒドロコレステロールかを前駆体として合成される(図3)。プロビタミンDは植物によって生合成され、プロビタミンDは動物によって生合成される。

 

図3 ビタミンD

 

 ビタミンDはコレステロール生合成の中間体でありプロビタミンD3が皮下で紫外線によってビタミンD3となり、その後肝臓、腎臓を経て活性型ビタミンDとして作用する。ビタミンDは腸からカルシウムイオンを吸収する作用を持っており骨に大きな影響を与える。

 

ビタミンE

 

 ビタミンE作用を持つ物質にはトコフェロールとトコトリエリトールがあり、どちらも置換基の位置によって4種類の誘導体が存在する(図4)(R=R'=R"=H:トコール、R=R'=R"=Me:α体、R=R"=Me,R'=H:β体、R=H,R'=R"=Me:γ体、R=R'=H,R"=Me:δ体)。

 

図4 トコフェノール一般式(左)とトコトリエノール一般式(右)

 

 ビタミンEは強い抗酸化力を持ち、これによって細胞膜を形成するリン脂質の酸化を防止している。活性水素によって生成したラジカルを還元し自身がラジカルとなり、これがビタミンCと反応し、ビタミンEにもどる。

 

 化学って面白いよね!!

(2001/5 ボンビコール)

参考文献
・有機工業化学  妹尾学、田村利武、平井長一郎、飯田隆  共立出版株式会社

・化学辞典  東京化学同人

関連サイト
ビタミン広報センター

武田食品工業

 

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