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大阪大入試:昨年の化学も「設定に誤り」と外部から指摘

 大阪大は9日、昨年2月に実施した一般入試の化学の試験について、外部から「問題の条件設定に誤りがある」との指摘があったことを明らかにした。(引用:毎日新聞2月10日)

指摘があったのは、2017年前期日程の化学の問題で、アンモニアを筒状の反応器に通して触媒作用によって窒素と水素を合成する問題です。前提として

  • 反応器内の圧力は反応器出口の圧力調整器により調整させ、入り口から出口まで一定に保った
  • 反応器内の温度はヒーターを用いて入り口から出口まで一定に保った

と書かれています。反応器は円柱なので単位体積も同じとなり、理想気体では状態方程式PV=nRTによりn濃度も反応器の入り口から出口まで一定になるはずです。しかし問題では、アンモニアの濃度が入り口から出口まで変化するグラフが書かれていて矛盾が生じています。

すぐに大きな問題にならなかったのは、設問を答える際には計算の問題では濃度変化を無視すると回答にたどり着くことができ、水素と窒素の濃度変化をグラフにする問題ではアンモニアの濃度変化に応じて答えることができるからだと考えられます。そもそも実際の反応器を考えると出口に圧力調整器を取り付けるだけでは、この反応の場合では反応器全体の圧力を一定にすることができないので、入試の問題にするには難しい題材だったかもしれません。

圧力調整器の一種、バタフライバルブ。ガス配管に組み込み黄色の弁が管に対して垂直になったり平衡になることで圧力を調整できる。

最近では、この大阪大学の例だけでなく数々の出題ミスが起きていて、追加の合格者を出す事例もあります。問題を作るのは大学の先生方ですが、期末試験のように問題を使いまわすことはできず、とても労力のかかる仕事であることは容易に想像できます。受験者も希望の大学に入学するために必死に勉強して試験に臨むわけであり出題ミスは起きるべきではありません。センター試験も2020年度には大学入学共通テストに生まれ変わるわけであり、個別の入試方法の変更も議論すべきなのかもしれません。

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企業の研究員です。最近、合成の仕事が無くてストレスが溜まっています。

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