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ポリエチレンの作り方

  

 ポリエチレンと聞いたら何を思い出すだろうか?

 

 ポリエチレンは包装用のフィルムや袋などでかなりおなじみなもので、誰もが見て触って使ったことがあるであろう。

 いったいこれは何なのか?どのように作られるのかということを説明してみよう。

 

ポリエチレンとは?  

 

 まず、基本から。ポリエチレンとはエチレンのポリマー(重合体)である

もっと簡単に言うと、エチレンがいっぱいくっついたものです。

ポリマー、つまり高分子化合物は現在世界で1億トン以上日本では1300万トン以上作られ、その中でもポリエチレンは20%以上を占めている。

 そして、結晶化度の違いにより

  LDPE(低密度ポリエチレン)

  HDPE(高密度ポリエチレン)の二つに分類されている。

  

それではまずそれぞれの特徴、製造方法について簡単に説明しよう。

  

  LDPE

  長い枝がついているので結晶化度が低く引っ張りに弱いが、透明であるという特

  徴がある。

  製造方法は10〜20MPaの高圧下で重合させる高圧法という方法。

  

  HDPE

  規則正しい構造をしていて結晶化度が高区引っ張りに強く、不透明である。

  製造方法はZiegler-Natta系の触媒を用いて常圧で重合させる。

  

 ここからはちょっと難しいかな?HDPEの製造方法について詳しく説明しよう。

 

HPDEの製造方法

 

 HDPEを作るときはLDPEと異なり常圧で行うので、反応を進行させるために触媒が必要であり、それに使われているのがZiegler-Natta系の触媒(図1)であった。

 

図1 Ziegler-natta触媒の生成と反応

  

この触媒はZieglerという化学者が発見し、Nattaという化学者がこの触媒によってポリプロピレンなどの立体的な規則性のある高分子が合成できることを見出し、二人同時にノーベル賞をもらっている。

 そして、これは大変工業的に有用な触媒で、もちろん初期の形からは改良されているが現在でもいまだに使われている。

 しかし、近年メタロセン触媒というZiegler-Natta系触媒以来の新しい触媒が開発された。

 

メタロセン触媒とは?

 

メタロセンとは図2のような芳香環と芳香環の間に金属の入ったサンドイッチのような形をしている。この錯体がアルケンの配位に必要な空間配座をもち、アルケン挿入反応に高い活性を示す。

  メタロセン触媒(図3)は1980年に Kaminskyらにより発見されて以来その開発が進行し、国内はもとより海外でも広く検討が行われ、当該触媒による工業化が活発に行われると共に、業界図を大きく変えようとしている。

図2 メタロセンの構造

メタロセン触媒は均一系触媒であるため、ポリマ−の分子構造を精密に設計でき、ポリマ−の微細分子構造や共重合反応性を自由にコントロ−ルできることに特長がある。その結果、従来のポリオレフイン(PE、PP)でも今までにない新しい性質をもつことから、今後のプラスチック材料の主流になると予想されている。

  

 そして、国内でも1998年からメタロセン触媒によるポリエチレンの商業生産が開始され、いよいよ本格的なメタロセン系ポリマ−の時代が到来しようとしている。

 例として三井化学などはエチレン生産の大手ではさらにポストメタロセン触媒を研究し、実用化に向けて検討している。

図3 メタロセン触媒の例

 詳しく知りたいひとはChem lett. 2000,554 、化学と工業,2000,53,691などを見てほしい。

  

 有機って面白いよね!!                  

(2000/7/25 by ブレビコミン)

 

参考、関連文献

 

・ ポリエチレン技術読本―触媒・製造プロセスの進歩と材料革新

メタロセン触媒と次世代ポリマーの展望