Chem-Station-WhatsNew!-BBS-GuestBook-Chat-オークション-サイトマップ


サイコロを作ろう!

  

 有機化合物の中に、サイコロがあるって知ってる(図1)?化学的には、キュバン(Cubane)と命名されています。

    

図1 キュバンとサイコロ

 

キュバンとは?

 

 キュバンは、サイコロ状の炭素骨格を持った炭化水素CH8である。8個の全構成炭素のすべてが等価であり、かつ通常のsp混成の正四面体構造から大きくひずんでいる。分子は小さいが、官能基がないことと、環ひずみと対称性がきわめて高いので、かえって合成しにくい分子の代表例である。4員環の炭化水素、シクロブタンの環ひずみエネルギーは、109.9kJ/molと見積もられている。サイコロ状分子のキュバンは、さらに数倍も大きなひずみエネルギーを内包すると推定され、合成できたとしても、自発的に爆発的に分解してしまうのではないかとさえ予想されていた魅力的な合成標的である。

 

  しかし、P.E.Eatonらは、1964年、その合成に成功し、予想外に安定な結晶性炭化水素であることを明らかにした。キュバンの結晶はきらきら輝く菱面体晶で、常圧家常温より少し高い温度で昇華し、封管中で130度の融点を示した。また、予想 通り、熱的にはあまり安定ではなく、200度で分解することがわかった。

 

 

逆合成解析

 

 合成の基本的戦略は、相対的にひずみの少ないかご形分子のFavorskii型転位によってキュバン骨格を構築することである。逆合成解析を行うと、キュバンはキュバンカルボン酸の脱二酸化炭素生成物であり、このキュバンカルボン酸はブロモシクロペンタノン環を含むかご型分子のFavorskii型転移生成物であるとわかる(図2)。

図2 キュバンの逆合成1

 

 このかご型分子について、もう一度脱二酸化炭素とFavorskii型転位の逆合成を繰り返すと、キュバンはブロモシクロペンタノン環とシクロブタン環をそれぞれ2個含むかご型分子に変換される。これをエノンとオレフィン間の分子内[2+2]光付加反応を想定して逆合成変換を行うと、2−ブロモシクロペンタジエノンのDiels-Alder反応エンド型2量体が合成前駆体となる。これは2-シクロペンテノンから容易に合成でき、逆合成解析が終了する(図3)。

 

図3 キュバンの逆合成2

 

 

キュバンの全合成

 

 ここで、Cubaneの全合成ルートを紹介する(図4)。

 

図4 Cubaneの全合成 

 

 やっぱり、有機って面白いよね!!!

(2000/7/3 ボンビコール)

 

関連リンク

 

分子の多面体

【用語ミニ解説】

 

SP3混成軌道

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Diels-Alder反応

 

もっとも代表的な[4+2]環状付加反応で、いろいろなジエンと親ジエンからシクロヘキセン骨格が立体特異的、かつ位置選択的に得られる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先端化学シリーズ〈5〉海洋天然物/錯体/コンビナトリアル/全合成
先端化学シリーズ〈5〉海洋天然物/錯体/コンビナトリアル/全合成