bergです。この度は2025年7月10日(水)にオンラインにて開催された、自然科学研究機構 分子科学研究所の第143回分子科学フォーラム「観ることで広がる触媒の世界」を聴講してきました。この記事では会の模様を簡単に振り返ってみたいと思います。
演題と概要は以下の通りです。
演者: 唯 美津木 教授(名古屋大学 物質科学国際研究センター)
題目: 観ることで広がる触媒の世界
場所: オンライン(Youtubeライブ/ニコニコサイエンス)
主催: 自然科学研究機構 分子科学研究所
共催: 公益財団法人 豊田理化学研究所
日時: 2024年7月10日(水) 18:00 より 19:30
詳細:シリコン結晶太陽電池の最高効率に届いたペロブスカイト太陽電池の特徴と製造技術、そして産業実装に向けた軽量フレキシブルなモジュールの開発を紹介し、これまでの太陽電池とどこが違い、どこが優れているのか、どのような使い方が可能になるのかを解説します。
https://www.ims.ac.jp/research/seminar/2025/02/27_6579.html
アーカイブ配信:
https://www.youtube.com/live/FTqxf5rGI7g
https://live.nicovideo.jp/watch/lv348078481
※録画・録音はご遠慮ください。
唯先生は東京大学、分子研を経て、現在は名古屋大学にて長年触媒化学のご研究をなさっており、過去にはレニウム触媒を用いたベンゼンの酸化によるフェノールの直截的合成などの業績も残されています。現在では燃料電池に利用されるPtナノ粒子触媒を、Spring-8の放射光を活かしたX線吸収微細構造法(XAFS)で観察するご研究に取り組まれています。XAFSは元素固有の吸収端近傍に生じる微細な変動を解析することにより、その元素の酸化状態や配位構造を推定する分析法です。唯先生はこのXAFSと硬X線イメージングによる物体の三次元構造解析を掛け合わせたXAFS-CTイメージング法を開発し、反応中(オペランド)の触媒を非破壊、かつ三次元的に捉え、燃料電池電極内の触媒の劣化を可視化することに成功したとのことです。さらには、触媒中の水の分布、MOFのようなより複雑な構造の材料の解析などもAIの力を借りて行うことができるようになったとのことで、非常に興味深かったです。
ほかにも、学生の視聴者へ向けたメッセージとして、100年前の人々による21世紀の科学技術の予想の多くが実現していることを引き合いに、将来の社会がどのように変わってほしいか考えてほしいと訴えられていたのがたいへん印象的でした。
民間企業に就職して以来このような最先端の研究に触れる機会がめっきり減ってしまっていたので、今回の講演会は非常に刺激的で新鮮で、あっという間の90分でした。最後になりましたが、司会の中村先生をはじめ講演をセッティングしてくださった分子科学研究所の関係者各位、そして、長丁場にわたりご講演くださった唯先生に心よりお礼申し上げます。今後の研究の進展も楽しみにしています。






























