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有機合成化学協会誌2026年2月号:亜鉛ルイス酸触媒・短側鎖スルホニルフルオリドモノマー・大環状金錯体・キラルスピロπ共役化合物・ヘリセンの合成とキロプティカル特性

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有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年2月号がオンラインで公開されています。

5件の総合論文(うち企業から1件)に加え、羽村先生(関学大)の「感動の瞬間」、そして皆さんお世話になっているはずの水素化ホウ素ナトリウムに関する「ケミカルズ覚え書き」も掲載されています。

会員の方は、それぞれの画像をクリックすると、J-STAGEを通じてすべて閲覧できます。

巻頭言:薬学の世界で有機化学と共に過ごした半世紀 [オープンアクセス]

今月号の巻頭言は、神戸薬科大学 宮田興子 理事長による寄稿記事です。

「ツール」という立ち位置になりつつある有機(合成)化学ですが、生体内反応を理解しうる学問としてももっと発展してほしいと感じるばかりです。

亜鉛ルイス酸触媒反応の開発とその果実:インジウム触媒反応からの発見

土本晃久*(明治大学理工学部応用化学科)

古くから知られる金属である亜鉛には、いまだ多様な可能性が秘められています。シランやボランといった水素化物を用いた脱水素型反応は、一見「奇妙」に感じられるかもしれませんが、著者らはこれを基に新しい有機合成を展開しました。亜鉛触媒の潜在能力を再認識させる、興味深い研究です。

フッ素系ポリマー電解質膜用 短側鎖スルホニルフルオリドモノマーの合成

植松信之*(旭化成株式会社研究・開発本部先端技術研究所)

フッ素系ポリマー電解質膜(PEM)は、環境問題を解決するために食塩電解プロセスに導入された素材であり、現在ではクリーンエネルギー分野を支えるキーマテリアルとして注目されています。本稿には短側鎖PEM製造のためのモノマー合成法の開発経緯がまとめられており、目にする機会の少ない、企業における研究開発の貴重な記録になっています。

大環状金錯体を鍵中間体としたシクロパラフェニレン類の新規合成法の開拓と応用

土戸良高*(東京理科大学理学部第一部化学科)

2024年度有機合成化学奨励賞受賞

大環状金錯体を鍵中間体とする新しい[n]シクロパラフェニレン([n]CPP)合成法とその展開をまとめた論文。従来の[n]CPP合成法と比べた優位性が分かりやすく、まさに使ってみたくなる反応である。また、[n]CPP合成反応機構はユニークで、無機化学と構造有機化学、さらには材料科学のハイブリッドな議論がされている。今後の機能性[n]CPP合成を後押しする素晴らしい研究成果。

キラルスピロπ共役化合物の合成と光学特性

中野幸司*(東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門)

インデノベンゾヘテロール骨格をもつキラルスピロπ共役化合物に焦点を当てた研究が紹介されている。類似の原料から様々な骨格を創出し、ヘテロ原子や骨格の違いが光学特性に与える影響を系統的に評価しており、筆者の研究の方向性や新たなキラルスピロπ共役化合物の設計指針が垣間見られる総合論文である。

キラルホウ素錯体および含窒素ヘリセンの合成とキロプティカル特性

前田千尋*(東京科学大学物質理工学院応用化学系)

円偏光発光(CPL)材料の最前線を切り拓く注目の研究に関する総合論文です。Et₂AlClを用いた手法で、強いCPLを示すキラルホウ素錯体と新規アザヘリセンを創製しました。短工程で多様な誘導体を実現し、イオン認識やスイッチング機能などへの応用展開も詳述されています。

Review de Debut

今月号のReview de Debutは1件です。オープンアクセスです。

・特異な[7.7]パラシクロファン骨格をもつ天然物Cylindrocyclophane Aの近年の合成戦略 (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)小嶺敬太   

ケミカルズ覚え書き:水素化ホウ素ナトリウム

伊沢光彦 氏(株式会社野村事務所)による寄稿記事です。合成法や性質に関する情報だけでなく、アルデヒドやケトンの還元以外の用途もたくさん紹介されています。

感動の瞬間:高反応性分子に魅せられて ―予期せぬ生成物が教えてくれたこと― [オープンアクセス]

今月号の感動の瞬間は、関西学院大学生命環境学部 羽村季之 教授による寄稿記事です。

研究をやっているとうまくいかないこともたくさんあります。そんな時に「失敗」と捉えるのではなく「うまくいかない方法がわかった」と捉えて前に進むことの大事さを再認識させてくれる寄稿です。

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズをご参照ください。

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大学教員→企業研究者。自分の知らない化学に触れ、学び、楽しみ続けたいです。

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