[スポンサーリンク]

ケムステしごと

世界の技術進歩を支える四国化成の「独創力」

[スポンサーリンク]

 

「独創力」を体現する四国化成の研究開発

四国化成の開発部隊は、長年蓄積してきた有機合成技術を武器に、高付加価値な新規材料の開発に取り組んでいます。
特に特徴的なのは、各開発員が製品開発プロセスの「最初から最後まで」を一貫してフォローする体制です。一般的には、営業・開発・製造がそれぞれの開発プロセスを分業しますが、四国化成では開発員がラボでの実験だけでなく、顧客技術者との議論を通じて課題を深く理解し、最適な化合物をデザイン・合成してお届けしています。さらに、自ら考案した合成フローを製造部門と協力してスケールアップ検討まで行うことで、ラボでは得られない実践的な知見を蓄積しています。こうした環境により、幅広いスキルを身につけられるだけでなく、自分のアイデアが社会実装されるプロセスを経験でき、その経験が次の開発につながります。

四国化成の研究開発は若い人材が多い組織ですが、年齢や役職に関わらず自由にアイデアを試せる風土があり、独創的な新規材料を生み出し続けています。

 

研究開発例:電子機器の性能向上を支える新規エポキシ硬化剤

スマートフォンや半導体機器に使われる高機能接着剤には、優れた特性をもつエポキシ樹脂が広く用いられています。しかし、これらを硬化させるには150℃以上の加熱が必要であり、環境負荷の観点から低温化が強く求められてきました。低温で硬化できる手段としてチオール系硬化剤が知られていましたが、その硬化物は耐熱性や耐湿性が不十分で、実用化には課題がありました。
四国化成は、顧客との技術ディスカッションからこれらの課題を抽出し、新規低温硬化剤の開発に着手しました。

開発のポイントは、
① エポキシモノマーを低温で速やかに硬化できる、
② 硬化物が高い耐熱性をもつ、
③ 硬化物が優れた耐湿性をもつ
の3点であり、これらを解決するために
① エポキシ基と高い反応性を示すチオール官能基、
② 高耐熱で多官能の骨格、
③ 加水分解性の結合を含まない構造

をコンセプトに多種多様な化合物をスクリーニングしました。

その結果、高耐熱性で四官能基を導入できる「グリコールウリル骨格」に着目し、新規四官能チオール化合物を開発しました。この新規チオール化合物はエポキシモノマーを 80℃以下で硬化し、得られた硬化物は Tg:100℃以上の優れた耐熱性と高い耐湿性を達成することができました。

この新規チオール硬化剤を含む高機能接着剤を電子機器の製造プロセスで使用することで、硬化・接着プロセスの低温化による環境負荷を低減できるだけでなく、従来の150℃以上のプロセスでは変形や不具合が生じていた精密部品の搭載が可能となり、新たなデバイス設計につながりました。この新規チオール硬化剤は、世界中の先端電子機器で採用されており、現在でもその適用用途は拡大しています。

こうした技術的貢献が評価され、本開発は令和7年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞)を受賞しました。合成プロセスの検討において重要なブレークスルーを達成したメンバーの一人は当時入社2年目であり、四国化成の風土が生かされた象徴的なプロジェクトとなりました。

 

研究開発例:高速伝送を支える密着性向上プロセス GliCAP

生成AIを含む情報処理の分野では、電気信号の高速化とロス低減への要求から、銅回路の表面形状の平滑化と、基板樹脂の低誘電化が進んでいます。この結果、銅回路と基板樹脂の密着性不足が大きな課題となっています。
この技術課題に対して、四国化成の有機合成技術を応用することで、密着性向上プロセス:GliCAPを開発しました。薬液であるGliCAPを用いて電子基板を処理することで、GliCAP中に含まれる有効成分が銅回路表面に特殊な有機被膜を形成します。この有機被膜の配位結合を活用することで銅回路と電子基板との密着性が大きく向上します。生成AI用途を中心に急速に市場が拡大しているサーバー用基板などでの採用が進んでおり、新たな四国化成の事業の柱に成長しています。

2025年12月23日更新

関連記事

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. NMRの基礎知識【測定・解析編】
  2. ナノの世界に朗報?!-コラニュレンのkg合成-
  3. カルボン酸、窒素をトスしてアミノ酸へ
  4. 【Spiber】新卒・中途採用情報
  5. 未来の製薬を支える技術 – Biotage®金属スカベンジャーツ…
  6. 自分の強みを活かして化学的に新しいことの実現を!【ケムステ×He…
  7. 樹脂コンパウンド材料におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活…
  8. ゴードン会議に参加しました【アメリカで Ph.D. を取る: 国…

注目情報

ピックアップ記事

  1. ブラシノステロイド (brassinosteroid)
  2. 構造式の効果
  3. −(マイナス)と協力して+(プラス)を強くする触媒
  4. 上田 善弘 Yoshihiro Ueda
  5. ケミストリ・ソングス【Part1】
  6. ポンコツ博士の海外奮闘録 外伝② 〜J-1 VISA取得編〜
  7. 海洋生物の接着メカニズムにヒントを得て超強力な水中接着剤を開発
  8. 「未来博士3分間コンペティション2020」の挑戦者を募集
  9. 2007年度ノーベル化学賞を予想!(2)
  10. ⾦属触媒・バイオ触媒の⼒で⽣物活性分⼦群の⾻格を不⻫合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2026年1月
月 火 水 木 金 土 日
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

ケムステ人気新着記事 トップ 5【2026年8月版】

2026年8月にケムステでは22本の新しい記事を公開しました。この記事では、その新着記事の中から、ペ…

シュライナー チオウレア触媒/Schreiner’s Thiourea Catalyst

⏱ 30秒サマリー 何をする反応か — 2本の N–H による二座水…

タリンにいってきました BOS2026 後編

前編では、BOS2026とタリンについて、また今回訪問した理由、そして実際に講演するところまでお話し…

「そっちが切れちゃうの!?」 〜弱い結合を残し、強い結合を切断する HAT 反応の開発〜

第721回のスポットライトリサーチは、金沢大学 大学院医薬保健学総合研究科(平野研究室)博士前期課程…

SNS予想で盛り上がれ!2026年ノーベル化学賞は誰の手に?

2026年秋、今年も怒涛のノーベル賞ウィークが到来します!化学賞は日本時間 20…

予想外から!cis-クレロダン型ジテルペノイド類の発散的不斉全合成

TEMPO⁺BF₄⁻を用いたラクトン化および付加環化反応による骨格構築と酸素官能基の導入により、ci…

【書評】ストラウブ化学数学 / MATHEMATICAL METHODS for MOLECULAR SCIENCE

内容化学を学び、研究するうえで必要になる数学の知識を懇切丁寧に教えるテキスト。化学の…

化学コミュニケーション賞2026、候補者募集開始!

化学コミュニケーション賞は、日本化学連合が2011年に設立した賞です。「化学・化学技術」に対する社会…

高感度・高速で複数の分子を読み分ける、染色不要の分子イメージング法を開発【BER-CARS/CSRS】

第720回のスポットライトリサーチは、九州大学 光物理化学研究室 (当時 筑波大学) 村上優介 さん…

K. C. Nicolaou が引退を宣言 – 全合成の巨塔と「最後の怪物」

有機合成化学、とりわけ天然物全合成の世界を長年牽引してきた Kyriacos Costa Nicol…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP