[スポンサーリンク]

一般的な話題

軸不斉のRとS

[スポンサーリンク]

上図左の化合物はBINOL(1,1′-bi-2-naphtol)という化合物です。ヒドロキシル基がアミンになったものは、BINAMINE、ジフェニルホスフィンになったものはBINAPといいます。性能の良い不斉補助基・配位子として知られています。不斉合成を少しでもかじったことがある人なら、おなじみの化合物ではないでしょうか。

これらの化合物には、鏡像異性体(エナンチオマー)が存在します。不斉炭素が無いにもかかわらず光学活性体が考え得る面白い例です。ナフチル基を連結する単結合の回転が立体障害によって抑制されるため、このような事が起こります。学術的には、このような化合物はアトロプ異性(atropisomerism)を有する、といいます。アトロプとは”回転しない”という意味です。

さておき、この化合物たち、パッと見でどちらがR体でどちらがS体なのか、分かりますか?

化合物のR/S表記は正式には、Cahn-Ingold-Prelog則という帰属法で決められています。が、これを自分でやるとわりと面倒です。

実は、とても簡単に見分ける方法があります。構造式で書いたときに手前に出てる部分(太線)―これがS字の配置をしてるもの=Sなのですね!そうじゃないものがR体です。

 

binolRS_2.gif

筆者の知る限りでは、類似化合物にたいてい適用できます。ビナフチル型化合物だけでなく、ビフェニル型化合物などなどもこの方法で判別できます(下図)。知っておくとちょっとだけ得した気分になれる・・・かも知れませんね。

 

binolRS_3.gif

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ここまで来たか、科学技術
  2. ユシロってどんな会社?
  3. 【8/31まで!!】マテリアルズ・インフォマティクスの基礎から実…
  4. 触媒表面の化学反応をナノレベルでマッピング
  5. 実験を加速する最新機器たち|第9回「有機合成実験テクニック」(リ…
  6. ゴキブリをバイオ燃料電池、そしてセンサーに
  7. 第10回慶應有機化学若手シンポジウム
  8. 誤った科学論文は悪か?

注目情報

ピックアップ記事

  1. 住友化学歴史資料館
  2. 第22回ケムステVシンポ「次世代DDSナノキャリア」を開催します!
  3. マテリアルズ・インフォマティクスにおけるデータ0からの初期データ戦略
  4. Junfeng Zhao
  5. アンドレイ・ユーディン Andrei K. Yudin
  6. N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン:N,N,N’,N’-Tetramethylethylenediamine
  7. tRNAの新たな役割:大豆と微生物のコミュニケーション
  8. 【超難問】幻のインドールアルカロイドの全合成【パズル】
  9. たったひとつのたんぱく質分子のリン酸化を検出する新手法を開発
  10. 「魔法の水でゴミの山から“お宝”抽出」

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2008年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

異方的成長による量子ニードルの合成を実現

第693回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科(佃研究室)の髙野慎二郎 助教にお願…

miHub®で叶える、研究開発現場でのデータ活用と人材育成のヒント

参加申し込みする開催概要多くの化学・素材メーカー様でMI導入が進む一…

医薬品容器・包装材市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、医…

X 線回折の基礎知識【原理 · 基礎知識編】

X 線回折 (X-ray diffraction) は、原子の配列に関する情報を得るために使われる分…

有機合成化学協会誌2026年1月号:エナミンの極性転換・2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物(MNBA)・細胞内有機化学反応・データ駆動型マルチパラメータスクリーニング・位置選択的重水素化法

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年1月号がオンラインで公開されています。…

偶然と観察と探求の成果:中毒解毒剤から窒素酸化物を窒素分子へ変換する分子へ!

第692回のスポットライトリサーチは、同志社大学大学院理工学研究科(小寺・北岸研究室)博士後期課程3…

嬉野温泉で論文執筆缶詰め旅行をしてみた【化学者が行く温泉巡りの旅】

論文を書かなきゃ!でもせっかくの休暇なのでお出かけしたい! そうだ!人里離れた温泉地で缶詰めして一気…

光の強さで分子集合を巧みに制御!様々な形を持つ非平衡超分子集合体の作り分けを実現

第691回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院 融合理工学府 分子集合体化学研究室(矢貝研究室…

化学系研究職の転職は難しいのか?求人動向と転職を成功させる考え方

化学系研究職の転職の難点は「専門性のニッチさ」と考えられることが多いですが、企業が求めるのは研究プロ…

\課題に対してマイクロ波を試してみたい方へ/オンライン個別相談会

プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーである”マイクロ波”について、今回は、適用を検討してみ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP