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海外化学者インタビュー

第92回―「金属錯体を結合形成触媒へ応用する」Rory Waterman教授

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第92回の海外化学者インタビューは、ロリー・ウォーターマン教授です。バーモント大学化学科に在籍し、有機金属化学を用いて合成、材料、エネルギーの問題に取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

皮肉にすぎますが、有機化学によってです。生物学を勉強し、一般化学を学んでいましたが、あまり刺激的ではありませんでした。化学者は分子を作れるという考えを進めたのは有機化学でした。それ以来、分子、特に今まで見たことのないものを作るという考えに駆り立てられています。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

もし化学者でなかったら、他の何かになりたいです。もし化学者でなかったら、窓清掃員ですね!ゴシゴシ・・・。まじめな話、決めるのは難しいです。教授が仕事なのでそれが可笑しいのですが、人に会って何をしているのか聞かれると本能的に化学者と答えるので、化学者をあきらめるのは難しいのでしょう。

料理学校に行ってシェフにならねばと思います。創造性と新しいものづくりを組み合わせたもう一つの職業に思えます。加えて、何をしているか人々に説明するのが簡単です。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

化学はすでに多大な貢献をしてきましたが、その栄光に科学が甘んじるタイミングではありません。現在、エネルギー分野は化学が大きな貢献をしており、切実に必要とされている分野でもあります。より効率的プロセスやグリーンな合成、太陽エネルギーをより有効利用するための新技術、二酸化炭素の浄化に至るまで、こういったものはすべて化学的な問題です。他の多くの分野に化学が大きな影響を与えないこともないでしょうが、エネルギー危機は、優先順位を上げて取り組まれるべき圧力をうけていますし、今後もそうあるでしょう。究極的には、こうしたエネルギー問題のほとんどは、根源的には化学結合の形成と切断、あるいは新しい分子の構築に関連しています。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

歴史上の人物とディナーに行くのはあまり好きではありません。それは失望にいたる公式のようなものです。しかし、Alfred Wernerと配位化学について話すと楽しいでしょう。それ以上に、その時代から我々が学んできたいくつかを彼と共有し、彼のリアクションを見るのは、ワイルドなことです。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

今朝、アレーンの臭素化を終え、アミンを保護していくつかの新しい配位子を合成したのですが、すべて既知のケミストリーです。つい最近、新しいニッケル錯体を作りましたが、良い結合形成触媒になると期待しています。ニッケル錯体が作れることは分かったのですが、触媒作用についてはよくわからないのです。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

CD選びは簡単です。Duran Duranの 「Greatest」 にします。本は少しだけ難しいです。「取り残された」が意味する時間の長さを考え、ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」を選びます。Duran Duranにとってはいい添え物になるでしょう。どんなことをして取り残されたのかが知りたいですね・・・おそらくはJames Marshallの「George and Martha:The Complete Stories of Two Best Friends」を読んでいるうちに、社会に戻れることでしょう・・・

 

原文:Reactions – Rory Waterman

※このインタビューは2008年11月28日に公開されました。

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cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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