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有機合成化学協会誌2025年9月号:不活性アルケンを用いたアルキル化・N-F反応剤・ジアミノメチレンマロノニトリル型有機分子触媒・円錐交差構造・光学分割法を利用した製造

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有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年9月号がオンラインで公開されています。

5件の総合論文(うち1件はプロセス化学に関する企業からの報告)に加え、美多先生(北大)の「感動の瞬間」が掲載されています。

会員の方は、それぞれの画像をクリックすると、J-STAGEを通じてすべて閲覧できます。

巻頭言:“有機化学”黎明から二百年の今を想う [オープンアクセス]

今月号の巻頭言は、慶應義塾大学理工学部 藤本ゆかり 教授による寄稿記事です。

有機化学の200年を振り返りながら、その根幹を担う“科学的手法”の重要性について論じられています。

不活性アルケンを用いた活性メチレンおよびメチン化合物の高効率的光アルキル化反応の開発

山下恭弘*(東京大学大学院理学系研究科化学専攻)

活性メチレンや活性メチン化合物の不活性アルケンによるアルキル化反応を高効率的に実現可能な、新たな光触媒システムの開発について紹介しています。前半では、LiSPhなどの金属チオフェノキシドと有機光触媒4CzIPNなどを組み合わせて用いることで、多様な基質に適用可能なアルキル化反応の開発について述べられており、後半では、アルキル化反応における金属のルイス酸性に着目した触媒系の改善や、金属を必要としない触媒系の開発について述べられています。いずれも独自の触媒開発指針が明確に示されている、読み応えのある総合論文です。

N-F反応剤を用いたフッ素化およびアミノフッ素化反応に関する研究

相川光介*(日本大学医学部)

フッ素化反応は、医薬品開発に欠かせない有機合成反応ですが、高い反応性と十分な安定性を兼ね備えたフッ素化試薬は、依然として限られています。この問題を解決する新しいN-F型フッ素化剤の開発経緯と、新反応剤がもたらす特徴的な反応の数々は、フッ素化学のスペシャリストはもとより、一般の合成化学者にも参考になる内容です。

ジアミノメチレンマロノニトリル型有機分子触媒を用いた不斉反応の開発

松島恭征、中島康介、平島真一、三浦 剛*(東京薬科大学薬学部)

ジアミノメチレンマロノニトリルを基軸骨格とするDMM型キラル有機分子触媒に、新たなファミリーが加わりました!不斉共役付加反応や不斉ヘンリー反応、不斉ブロモラクトン化反応にどのくらい“効く”のでしょうか。ぜひ論文をご覧ください。

円錐交差構造の支配因子に関する量子化学的検討

吉川武司1,2*五十幡康弘3,4中井浩巳2,5坂田 健11東邦大学薬学部薬学科、2早稲田大学大学院先進理工学研究科、3豊橋技術科学大学情報メディア基盤センター、4豊橋技術科学大学大学院工学研究科、5早稲田大学先進理工学部化学・生命化学科)

有機化学者にとって、有機分子の励起状態の量子化学計算による予測はしばしば困難が伴います。本総合論文では、励起状態を最小の活性空間(HOMOとLUMO)において評価する凍結軌道解析により、有機分子の光励起後の内部変換過程を対象として、二重結合の回転、芳香環の立体歪みや開環について、支配因子と相関関係に基づき、わかりやすく解説しています。

実用的かつユニークな光学分割法を利用したPTDSS1阻害剤の効率的製造法の開発

鈴木恵介*、伊東龍生、林 政樹、上田 剛(第一三共株式会社プロセス技術研究所)

医薬品製造プロセスの開発に焦点を当てた本総合論文では、PTDSS1阻害剤の製法について紹介しています。2,3-ピロリジンジオン誘導体を活用した光学分割工程を開発し、各工程を徹底的に改善することで、スケールアップにも耐えうる堅牢な品質制御を実現する製法を確立しました。製薬業界のプロセス開発における実践的な取り組みを具体的に知ることができる本論文をぜひご一読ください。

Review de Debut

今月号のReview de Debutは1件です。オープンアクセスです。

右田–小杉–Stilleクロスカップリング反応による交互性の高いD–A型半導体ポリマーの合成(広島大学大学院先進理工系科学研究科応用化学プログラム)山中滉大

感動の瞬間:ペリ環状反応の学習から講義、自動探索、そしてJACS掲載へ [オープンアクセス]

今月号の感動の瞬間は、北海道大学化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD) 美多 剛 教授による寄稿記事です。

美多先生のパッションがひしひしと伝わってきて、自分も何か本気で突き詰めたいと感じさせられる寄稿でした。

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズをご参照ください。

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大学教員→企業研究者。自分の知らない化学に触れ、学び、楽しみ続けたいです。

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