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アメリカで Ph.D. を取る –エッセイを書くの巻– (後編)

本連載は、米国の大学院で Ph.D. を取得することを目指す学生が日記感覚で近況を記録するためのものです。本記事では、前回に引き続き、出願書類の中でやっかいな課題である、エッセイの内容について、紹介いたします。

第三章: 大学院での研究計画および志望理由 (2 段落. 300 words 程度)

出願するプログラムへの適性を示すために、大学院で行いたい研究や、なぜその大学院を志望するかを書きました。具体的には次の通りです。

3-1 志望する研究室と研究テーマ (230 words 程度)

この段落では、どのような問題や分野に興味があるについての大枠を示してから、希望する研究室の教授の名前を 2~3 名あげました。ある大学の指示によると、”This should be an ample paragraph! “ とのことです。なので、希望研究室の先生の名前をただ列挙するだけでなく、テーマに興味を持った理由、ある研究分野の中でも具体的に何に取り組みたいのか、そしてその研究に対してどういった場面で貢献したいかなどを書きました。これらの内容は、希望研究室の先生にメールを送るときに一度書いているので、それと同じ要領で書くことができます。私は、次に示すような文章をテンプレートにしました。(ただし、志望度に応じて、量と内容の深さを露骨に変えました。)

私は、〇〇教授のもとで、〇〇の研究に取り組みたい。特に彼/彼女の〇〇についてのテーマは、〇〇であるため exciting だ。私は、〇〇を〇〇に適用することで、〇〇の問題を解決したい。

なお、興味のある研究室が 2 つくらいしか見つからなかった場合にも、3 つ目の研究室を書くべきだそうです。大学によって選考の過程が異なるので一概にそうであるかはわかりませんが、ここで名前を挙げた先生が、出願書類をレビューすることがあるようです。なので、できるだけ多くの教授の名前を挙げておけば、誰かしらの目に留まる可能性が高くなるかもしれません。(かといって、何人も書きすぎると焦点がブレてしまうので、注意が必要です。)

3-2 各大学院の志望理由 (70 words 程度)

基本的に、大学院を選ぶ理由としては、興味のある研究室があるかどうかが、大きな要素であると思います。しかし、各大学でそれぞれ特色がありますので、大学のホームページを隅々まで読んで、志望理由になるネタを探しました。例えば、「これまでに、卒業生から X 人もノーベル化学賞の受賞者を輩出している事実は、優れた教育水準と高い研究レベルを示しており、将来アカデミアに進むキャリアにとって、最適で必須の進路である。」などなど。他にも、エッセイをくださったカリフォルニア大学バークレー校の Ph.D. 学生は、次のようなことを書いておられました。

サンフランシスコの近くで 5 年間過ごすなんて、サイコー! (もちろん、直訳ではありません)

こんな具合に、 大学の立地について言及するという技もあるようです。とにかく、コピペではない、という印象を与えることが大事だと思います。

第四章: 大学院進学に関連する課外活動など(1 段落, 160 words 程度)

研究以外に、大学院へ進学する動機があれば書きました。具体的には、私は、アカデミアの進路を希望しているため、TA で教育者としての経験を積みたいことを書きました。くわえて、教育に興味を持った動機についても、簡単に説明しておきました。他にも、なぜ日本の大学院ではなく、アメリカの大学院を選んだかを書いても良いかもしれません。私は、そのことについては何も書きませんでしたが。

第五章: 締め (30 words 程度)

エッセイのまとめの文を手短に書いて、締めくくりました。

添削を重ねる

第一稿が完成すれば、第三者に見てもらうことをお勧めします。私も多くの方のお世話になりました。Chem-Station スタッフ内では、orthogonene さんkanako さんが添削に協力してくださいました。この場を借りて、協力していただいたすべての方に御礼申し上げます。ありがとうございました。

第三者に見てもらうことで、ストーリーがぎこちなくないか、あるいは話に飛躍がないかなど、自分一人では気づきにくいポイントを発見する機会をいただけました。有料の添削サービスもたくさんあるので、英語表現や文法ミスをチェックする目的で利用することもお勧めします。

振り返り -エッセイ課題で書くべきものは文学的な随筆ではなかった-

振り返ってみると、書き始めるまでは、うだうだと渋っていましたが、指定された項目を 1 つずつ着実に書いていけば、800 words 程度は埋まってしまいました。ただし、今回紹介したエッセイの型が、優れているかどうかはわかりません。書くべきことは書いておりますが、逆に言えば、当たり障りのないことしか書いていないような気もしています。

ところで、辞書で essay の意味を調べると「随筆」という単語が出てきますが、私が書いたエッセイの中には、なにか文学的な比喩表現や、センスの利いたダブルミーニングなどはありません。(私は、エッセイについて本格的に調べる前までは、このエッセイ課題について、何か洒落た文章を書かねばならないのかと誤解していました。) ノンネイティブであっても、文法的に正しく英語を書くことができ、論理的な文章を書くことができれば、エッセイ執筆は、恐れるような課題ではないと思います。

いつから準備するか

以上で、エッセイ執筆の全容を紹介し終えたので、それを踏まえて、いつからエッセイ書きを準備すべきかを考えてみました。前回の記事のはじめにもお話ししましたが、私自身が実際にエッセイを文字に起こし始めたのは 10 月の頭からです。多くの大学院の出願の締め切りが 12 月 1 日であるため、締め切りの約 2 ヶ月前から書き始めていたことになります。しかし、エッセイを書くための準備という意味では、それ以前からしていたことになります。なぜなら、エッセイに書くネタを用意する必要があるからです。やる気があることを口だけで示すことは簡単ですが、何かそれを証明する事実やエピソード伴っていなければ、説得力のないエッセイになると感じました。一方、志望理由を書く際には、希望する研究内容や大学のプログラムの特徴を、知っている必要があります。私は奨学金申請の段階でそれらについて調査済みであったため、大きな苦労はありませんでした。なので、いつから準備すべきかという問いに関して個人的なアドバイスをすると、できるだけ早くから意識するべき、という答えになります。最終的にエッセイを書くことを頭に置いて、様々な留学準備を進めることで、エッセイで書く内容が集まるからです。

おまけ: 大学から課されたエッセイ課題 (the University of Chicago の例)

実際には、以下のような感じでエッセイの課題が示されます。

Please discuss your academic and career objectives. Be as specific as you can about the fields in which you plan to study and your particular research interests. Beyond what is apparent from your transcripts, describe your preparation for your proposed program of study, including research projects in which you have participated. Your statement is an important part of your application. It should be clear, concise, and well crafted.

(the University of Chicago の出願アカウント内から抜粋)

英語で書かれると、なんとなく他人事のように感じてしまうのは、私だけでしょうか (あるいは、まだ英語の読解力が足りないだけ?)。本記事では、エッセイ内の英文なども、あえてすべて日本語に訳して書いてきました。その理由は、「ちょっと留学に興味あるなー」という方も想定読者を含めたかったからです。留学に挑戦してみようとすでに決心している人は、直接英語で調べるでことをお勧めします。その方が情報は豊富です。

終わりの言葉

一応、「アメリカで Ph.D. を取得する」シリーズにおける、大学院出願に関する記事は、今回で最後にしようと考えています。他にも出願に必要な書類はありますが、次の記事に詳細がありますのでご参照ください (参考: ご注文は海外大学院ですか? 〜準備編〜)。ちなみに 1 月 2 日現在の段階で、結果はまだ一つも来ておりません。最近は、毎晩寝る前に、「朝起きたときにメールが来てたらどうしよう」とビクビクする日々です (時差的に、日本時間の深夜がアメリカの昼間なので)。とりあえず、結果がわかれば、なんらかの形で、その結果を晒そうと思います。本連載を応援していただいた読者の皆さん、ありがとうございました。

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