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有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

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有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。

新年度が始まりましたね!フレッシュなメンバーを迎え、筆者もとてもワクワクな毎日を過ごしています。

有機合成化学協会誌は今月号も充実の内容です!いつもの内容に加え、ラウンジにはLectureship Award MBLA 2021, 2022の受賞講演ツアーをされた南保正和先生、山次健三先生の記事もありますのでお楽しみください!

キーワードは、「ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体です。

今回も、会員の方ならばそれぞれの画像をクリックすればJ-STAGEを通してすべてを閲覧することが可能です。

巻頭言:新しいつながりを見つける

 

今月号の巻頭言は、東北大学大学院理学研究科化学専攻 岩本武明 教授による寄稿記事です!
面白いと思うのはなぜなのか、掘り下げるときは筆者もよくあります。新しいつながりを見つけたときの感動はやみつきになりますね。必読です。

不斉有機触媒を用いる神経障害性疼痛薬ミロガバリンの高効率的合成法の開発

鵜飼和利、金田岳志、北脇隆文、若山雅一、中村嘉孝*

2023年度有機合成化学協会賞(技術的なもの)受賞

*第一三共株式会社プロセス技術研究所

 ある医薬品の工業プロセス確立において浮上した数々の困難な合成的課題を、如何にして解決したかが丁寧に解説されており、非常に読み応えがある。本稿を通じ、読み手はその試行錯誤の様子を疑似体験することができる。そして、プロセス化学には研究者の幅広い知識と経験に加え、強い“こだわり”が必要不可欠であることが分かる。

生合成経路を模倣するChloropupukeananin類の全合成

鈴木孝洋*

北海道大学大学院理学研究院化学科部門

本論文では,著者等が長年取り組んできた複雑系天然物であるクロロププケアナニン類の網羅的全合成について述べています。独自に考察した生合成経路を模倣し,鍵反応である超高圧下でのDiels–Alder反応の検討,立体選択性の発現について詳細に述べた読み応えのある総合論文です。生合成経路は効率的である反面,フラスコで実現することは難しいと感じました。ぜひご一読を。

マンネンタケ科植物由来メロテルペノイド類の網羅的全合成

川本諭一郎、内田恭平、小林豊晴、伊藤久央*

東京薬科大学生命科学部

 マンネンタケ科菌類由来のメロテルペノイドの全合成に関する総合論文です。この菌類由来のメロテルペノイドはさまざまな骨格を有していますが,1つ1つの骨格に合わせた骨格構築法を確立し,全合成を達成しています。特にapplanatumol A, B,およびlucidumoneの連続環化反応による骨格合成は大変興味深いです。反応機構については基本的な有機化学で理解できるので,ゼミや勉強会などの題材としても最適だと思います。

サリチル酸誘導体を有機触媒とするアミンのグリーン酸化と医薬品分子のone-pot合成への展開

山本結生小川昭弥*

大阪公立大学研究推進機構

 著者らは、サリチル酸誘導体を有機触媒として用いるユニークなアミンのメタルフリー酸化反応を独自に開発し、これを基盤とする様々な化学選択的分子変換を実現している。本手法は、環境負荷が小さく、またアトムエコノミーにも優れているため、グリーン化学の観点からも大変興味深い。本稿では、β-ラクタム誘導体のワンポット合成や多成分連結反応などへの応用例も紹介されている。

光励起ホウ素アート錯体によるラジカル化学の開拓

隅田有人1*大宮寛久2*

1*東京医科歯科大学生体材料工学研究所

2*京都大学化学研究所

ホウ素アート錯体は、光触媒などの一電子酸化により炭素-ホウ素結合が均等開裂することで炭素ラジカルを与える有用なラジカル前駆体です。しかし、光触媒を介する反応では、多段階の素反応の歯車がうまく噛み合わなければいけません。大宮寛久先生(京都大学)、隅田先生(東京医科歯科大学)は、光励起できる配位子を持つ新たなボレートを開発し、様々な反応化学を展開してきました。本論文ではその開発経緯からケミカルバイオロジー研究への応用まで幅広くご執筆頂いています。是非ご一読を。

Review de Debut

今月号のReview de Debutは1件です。オープンアクセスですのでぜひ。

水素移動反応型エピメリ化が拓く全合成 (慶應義塾大学理工学部応用化学科)岡村俊孝

Message from Young Principal Researcher MyPR):オールドルーキーの挑戦

今月号は、島根大学材料エネルギー学部 崔 允寛 (さい まさひろ)准教授による寄稿記事です。
崔先生のお話に勇気をもらうと同時に、さらっと描かれてはいますが相当なお仕事・研究の量をこなされてきたんだろうなとも想像します。私ももっと頑張らねばと思いました。必読です!!

ラウンジ:Lectureship Award MBLA 2021, 2022受賞講演ツアーを終えて

MBLA2021、2022をそれぞれ受賞された名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)の南保正和先生千葉大学大学院薬学研究院 山次健三先生の受賞講演ツアーの紀行録となる記事です!
毎度のことながら、詳細な記録に読んでいる方もワクワクさせてもらえます。とても憧れます!!会員限定ですが、ぜひご覧ください。

感動の瞬間:天然物合成への挑戦と面白い経験

今月号の感動の瞬間は、東北大学大学院薬学研究科 土井隆行教授による寄稿記事です。
天然物合成は非常に忍耐と技術の必要な研究領域ですが、努力の先に感動の瞬間があるということを強く教えてくれます。オープンアクセスです。

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズを参照してください。

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博士(理学)。大学教員。娘の育児に奮闘しつつも、分子の世界に思いを馳せる日々。

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