[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

有機化学の理論―学生の質問に答えるノート

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”4782706782″ locale=”JP” title=”有機化学の理論 (学生の質問に答えるノート)”]

 

内容

有機化学を学び始めた学生が誤解しやすいことや、もっと突っ込んで考えてほしいことを問題点として取り上げ、「講義用ノート」に理論的解説を加えたもの。教科書と専門書のギャップを埋める、2007年刊行の最新第4版!

対象

有機化学を学ぶ、大学学部生以上。

 

評価・解説

本書は、「講義で受けた学生からの質問に対し、著者なりの解説を与える」という形式でまとめあげた書物であり、これこそが有機化学という学問だ!とも再認識させてくれる息の長い名著です。

「オービタルにつけられた符号の意味は?」「共鳴するとなぜ分子は安定するのか?」など、「あれ?」と一度は思うが、そのまま放置されがちな運命を辿る、素朴ながら本質的な疑問・質問の数々。そういった、有機化学を学ぶ誰もが持つ疑問に、文献を引用しつつ誤魔化すことなく答えようと努めています。著者の真摯な姿勢には見習うべきものがありますし、教科書の副読本として読むだけで理解が深まります。

初版(1979)から多数回の改訂が加えられ、最新の知見も交えた第4版改訂(2010)が最新版として刊行されています。専門的有機化学という世界で長きにわたって親しまれてきたという事実からも、本書の価値の高さは容易に想像できると思えます。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4782707142″ locale=”JP” title=”フロンティアオービタルによる新有機化学教程”] [amazonjs asin=”4782704798″ locale=”JP” title=”有機化学の学校―初学者のための化学入門対話”]
Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. クロスカップリング反応関連書籍
  2. ChemSketchで書く簡単化学レポート
  3. 化学知識の源、化学同人と東京化学同人
  4. Small Molecule Medicinal Chemist…
  5. English for Writing Research Pap…
  6. 化学の歴史
  7. 生体分子反応を制御する: 化学的手法による機構と反応場の解明
  8. [書評]分子の薄膜化技術

注目情報

ピックアップ記事

  1. Actinophyllic Acidの全合成
  2. カルボン酸に気をつけろ! グルクロン酸抱合の驚異
  3. 藤沢の野鳥変死、胃から農薬成分検出
  4. いつ、どこで体内に 放射性物質に深まる謎
  5. 2013年就活体験記(1)
  6. Thieme-IUPAC Prize in Synthetic Organic Chemistry ―受賞者一覧
  7. 書類選考は3分で決まる!面接に進める人、進めない人
  8. 大栗 博毅 Hiroki Oguri
  9. プロペンを用いたpiericidin Aの収束的短工程合成
  10. 改正 研究開発力強化法

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2008年3月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP