[スポンサーリンク]

H

リーベン ハロホルム反応 Lieben Haloform Reaction

[スポンサーリンク]

概要

アセチル基を持つ化合物にハロゲン化剤と塩基を作用させると、カルボン酸とハロホルム(トリハロメタン)が得られる反応。特にヨードホルム反応はメチルカルビノール・メチルケトンの定性分析法として有名。

化学選択性に難があるため、合成化学的用途は限られる。カルボン酸への変換法としては、芳香族カルボン酸への変換目的のみ実用性を持つ。

基本文献

  • Lieben, A. Liebigs Ann. Chem. 1870, S7, 218.
  • Kajigaeshi, S.; Nakagawa, T.; Nagasaki, N.; Fujisaki, S. Synthesis 1985, 674. DOI: 10.1055/s-1985-31305
Review

開発の経緯

1870年にAdolf Liebenによって報告された。

Adolf Lieben (写真:Wikipedia)

反応機構

メチルカルビノールは系中でメチルケトンに酸化される。メチルケトンのα位がハロゲン化されたトリハロメチルケトンにヒドロキシルアニオンが求核攻撃し、脱離能の高まったCX3基が脱離していく。

反応例

9-Isocyanopupukeananeの中間体合成[1]

レブリン酸からコハク酸への変換[2]

メチルケトン/メチルカルビノールから1級アミドへの直接変換[3]

関連動画

参考文献

  1. Brown, M. K.; Corey, E. J. Org. Lett. 2010, 12, 172. DOI: 10.1021/ol9025793
  2. Kawasumi, R.; Narita, S.; Miyamoto, K.; Tominaga, K.-i.; Takita, R.; Uchiyama, M. Sci. Rep. 2017, 7, 17967.  doi:10.1038/s41598-017-17116-4
  3. Cao, L.; Ding, J.; Gao, M.; Wang, Z.; Li, Z.; Wu, A. Org. Lett. 2009, 11, 3810. doi:10.1021/ol901250c

関連反応

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. シャピロ反応 Shapiro Reaction
  2. ジェイコブセン速度論的光学分割加水分解 Jacobsen Hyd…
  3. マルコ・ラム脱酸素化 Marko-Lam Deoxygenati…
  4. パール・クノール ピロール合成 Paal-Knorr Pyrro…
  5. プメラー転位 Pummerer Rearrangement
  6. ミズロウ・エヴァンス転位 Mislow-Evans Rearra…
  7. クレーンケ ピリジン合成 Kröhnke Pyridine Sy…
  8. 水素化ホウ素ナトリウム Sodium Borohydride

注目情報

ピックアップ記事

  1. おっさんマウスが小学生マウスを襲う?待ったの決め手はフェロモンにあり
  2. 第8回 FlowSTシンポジウム
  3. ナザロフ環化 Nazarov Cyclization
  4. ハネシアン・ヒュラー反応 Hanessian-Hullar Reaction
  5. オマー・ヤギー Omar M. Yaghi
  6. 剛直な環状ペプチドを与える「オキサゾールグラフト法」
  7. 小さなケイ素酸化物を得る方法
  8. 複数工程が必要なパーキンソン病治療薬を連続フロー法で合成
  9. エストロゲン、閉経を境に正反対の作用
  10. 独自の有機不斉触媒反応を用いた (—)-himalensine Aの全合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

ブテンを原料に天然物のコードを紡ぐ ―新触媒が拓く医薬リード分子の迅速プログラム合成―

第 687回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 有機合成化学教室 (金井…

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP