[スポンサーリンク]

その他

化学つれづれ草【ある研究者の回想】

[スポンサーリンク]

化学つれづれ草: ある研究者の回想

化学つれづれ草: ある研究者の回想

田中 一義
¥2,640(as of 10/23 01:57)
Amazon product information

概要

物理化学者で量子機能材料を専門とする著者によるエッセイ集.化学者としての研究,教育,人生を自由に綴る.福井謙一研究室在籍時の思い出から,アメリカのベンチャー企業で働いたときの経験,そして長く大学教員として教育と研究に携わり,思索した様々を語る.化学・工学分野の学生,教員,研究者それぞれの立場で,示唆に富む話題に出会うだろう.一般の方々も,化学研究の世界や化学者の人となりを知るきっかけになるに違いない.月刊『化学』で8年にわたり連載された好評エッセイが待望の書籍化.

(引用:化学同人)

対象者

  • 高校生〜大学生で、研究や科学者の生き方に興味がある人
  • 化学を専門的に学び始めた学生
  • 将来研究者になろうか迷っている人
  • 「なぜ研究をするのか」を知りたい人

目次

Part 1
1 理屈っぽい化学?
2 福井研究室の日常
3 博士課程 考
4 米国のベンチャー企業
5 米国の研究資金事情
6 日本の大学と研究資金
7 妄想と基礎研究資金
8 企業と大学の研究
9 オリジナルな研究
10 理論化学と計算化学
11 分割統治と化学
12 論文不正
13 教育と研究
14 無用の用
15 フロンティア軌道理論
16 頭がよいということ?
17 面白そうな研究テーマ?
18 サイエンスと野暮
19 海外留学のすゝめ
20 ロアルド・ホフマンさん(前編)
21 ロアルド・ホフマンさん(後編)

Part 2
22 伝統と効率
23 思い出の研究
24 人にわかってもらうこと
25 量子力学三題噺
26 プレゼン能力と研究能力
27 専門書籍を書き残すこと
28 外国の研究者との交流
29 お気に入りの教科書
30 理論と実験の研究
31 先生の師匠のこと
32 リチウムイオン二次電池
33 平成時代の回顧
34 統計学の逆襲
35 応用的研究の具体化
36 変わりゆく「学び」のカタチ
37 お隣さんの業界事情
38 新型コロナウイルス感染症と自触媒反応
39 プレゼンに思うこと
40 日本の化学産業界の事情

Part 3
41 女性研究者について
42 応用開発研究にまつわる思い出
43 CNT関連のウラ話
44 研究人生での激ヤバニアミス二題噺
45 経済学賞
46 アーカイブというもの
47 昔の先生がた
48 書いてみたい論文
49 論文の査読
50 思い出の研究 2
51 非晶質材料 more
52 国際的標準化
53 波動関数の一乗
54 気になる用語三つ
55 蒙亨
56 今年のノーベル物理学賞
57 専門書を書き残すこと more
58 一味違うエントロピー
59 歴史的化学論文大賞って何?
60 データコレクトの面白さ

Part 4
61 産高学低?
62 統計学の逆襲more
63 論文投稿とレジリエンス
64 小学生とヘリウム
65 電子相いろいろ
66 データ改ざん again?
67 エントロピー 番外編
68 調和振動幻想
69 鳶が鷹を生むか?
70 諸葛孔明と天然ガス
71 局在性と鏡の国のアリス
72 ノイズの効用
73 悩ましい論文
74 バイオマスと発酵
75 ムーアの法則と日の丸半導体
76 Climb Every Mountain
77 今どき産業スパイ?
78 注目度の高い論文って?
79 朱と水銀
80 パラレルワールドと夢物語

Part 5
81 イノベーション・ボックス税制とは
82 Schrödinger-Zimmer
83 現象のモデル化
84 思想家ボルツマン
85 音楽と情報エントロピー
86 複雑性とフラクタル次元
87 レジリエンス確保?
88 マクスウェルの考え方
89 鉄精錬の歴史
90 物理学者コーンさん
91 霧のカレリアと天然 C60
92 C60 とシュレーゲル図
93 AI讃歌?
94 世の中とのつながり
95 ハゲタカジャーナルって?
96 ラムゼー数?
97 化学史家のもつ興味
98 昔の福井研究室
99 イノベーション今昔
100 最終のご挨拶

内容

本書は、ノーベル化学賞受賞者である福井謙一の下で学んだ田中一義先生が、自身の経験をもとに研究者としての考え方や科学との向き合い方について語った随筆集である。

本書では化学の専門知識そのものよりも、研究者がどのように物事を観察し、疑問を持ち、考察していくのかが中心に描かれている。
さらに、学問分野の壁を越えて学ぶことの重要性や、独創的な研究を生み出すために必要な姿勢についても述べられている。

そのため本書は化学の解説書というよりも、一人の科学者の思考法や研究観を知ることができる読み物となっている。

感想

本書 Part 1 「理屈っぽい化学?」 を読んだ感想を示す。
当該項目はこちらの試し読みより,閲覧可能である。

この一節を読んで印象に残ったのは、先生が最初から明確な目的を持って化学者になったわけではないという点である。
分野の最前線で活躍する研究者というと、若い頃から一直線に研究へ進んだ人物を想像しがちだが、この文章ではむしろ、興味の向くままに進んでいった姿が描かれている。

特に、「理屈っぽい化学」という言葉に惹かれて石油化学科に入ったという話が面白い。
化学は暗記の多い学問だと思われることもあるが、先生にとっては、現象を理由から理解する学問だったのだと感じた。
これは、化学の見方を少し変えてくれる部分である。

また、数学や物理が得意ではなかったと書きながらも、大学で物理化学や量子化学に強く惹かれていった点も印象的だった。
得意かどうかよりも、面白いと思えるかどうかが、その後の学びを大きく変えるのだと思った。
最初から完璧に理解できる分野だけを選んでいたら、新しい研究にはつながらないのだろう。

全体として、この一節からは、研究者になることが特別な才能だけで決まるのではなく、何かを面白がる感覚や、分からないことをそのままにしない姿勢から始まることが伝わってくる。
化学を学ぶ学生にとって、自分の興味の持ち方を考えるきっかけになる本だと感じた。

関連記事

  1. CFDで移動現象論111例題 – Ansys Flu…
  2. Cyclopropanes in Organic Synthes…
  3. 材料の数理モデリング – マルチスケール材料シミュレ…
  4. The Sol-Gel Handbook: Synthesis,…
  5. 研究室で役立つ有機実験のナビゲーター―実験ノートのとり方からクロ…
  6. 物質科学を学ぶ人の空間群練習帳
  7. 理系女性の人生設計ガイド 自分を生かす仕事と生き方
  8. 有機化学1000本ノック【反応機構編】

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第74回―「生体模倣型化学の追究」Ronald Breslow教授
  2. 2008年ノーベル化学賞『緑色蛍光タンパクの発見と応用』
  3. クゥイリン・ディン Kui-Ling Ding
  4. 自動車用燃料、「脱石油」競う 商社、天然ガス・バイオマス活用
  5. 結晶学分野に女性研究者が多いのは何故か?
  6. ノーベル化学賞受賞者が講演 3月1日、徳島文理大学
  7. 2つのグリニャールからスルホンジイミンを作る
  8. 第65回「化学と機械を柔らかく融合する」渡邉 智 助教
  9. 島津製作所 創業記念資料館
  10. ノーベル化学賞は化学者の手に

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2026年6月
月 火 水 木 金 土 日
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

光前駆体法の活用によって、ヘプタセンで初の一重項分裂を観測!

第725回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 理学研究科化学専攻 有機元素化学研究室(山田研…

【スタッフ・寄稿募集】Chem-Stationで、化学を「伝える側」になりませんか?

Chem-Station(ケムステ)は2000年に開設された国内最大の化学ポータルサイトです。大学・…

第17回大津会議―とある参加者の記録―

2026年9月28日~29日に開催された第17回大津会議についての、とある参加者の記録です。この記事…

第17回大津会議 -Otsu Conference- 2026 開催報告 ~新体制で紡ぐ「有機合成の夢」~

第17回大津会議が2026年9月28日(月)〜9月29日(火)びわ湖大津プリンスホテルにて開催されま…

有機合成化学協会誌2026年10月号:医薬品プロセス開発・σ芳香族性・含窒素複素環・メロテルペノイド二量体・高歪み化合物

有機合成化学協会が発行する「有機合成化学協会誌」2026年10月号がオンラインで公開されています。…

時代は水だ! セメントのように水と混ぜるだけで成形・硬化できる「水硬性」高分子

第724回のスポットライトリサーチは、東京科学大学物質理工学院(大塚研究室)博士前期課程2年の徳満玲…

複雑さを設計して、結晶の動きをプログラムする

第723回のスポットライトリサーチは、高知工科大学大学院工学研究科(林研究室) 博士後期課程3年の樋…

ハロゲンの力で強力な結合を切断!天然物クマリンから医薬品・機能性材料原料のクマラノン類へ

第 722 回のスポットライトリサーチは、立命館大学大学院薬学研究科薬学専攻 精密合…

観察を写真で残す!カメラ内蔵リアクタ EasyMax 102i を使ってみた

反応の温度も、攪拌(かくはん)も、滴下も、サンプリングもいまや自動で記録される時代になりました。とこ…

ケムステ人気新着記事 トップ 5【2026年9月版】

2026年9月にケムステでは21本の新しい記事を公開しました。この記事では、その新着記事の中から、ペ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP