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化学書籍レビュー

ウォーレン有機合成: 逆合成からのアプローチ

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内容

訳者のことばから:有機化学の最も重要な使命の一つは,新しい機能性分子の創出にある.合成の立案はただの当て推量ではなく,実際の合成とは逆方向に標的分子の結合を段階的に切断して,生成物側から入手容易な出発物へと合成経路をたどる“逆合成解析”とよばれる考え方を必要とする.標的分子を必要な量かつ純粋につくるためには,逆合成解析に基づく柔軟な合成計画の立案が肝要となる.本書は,他にあまり例を見ない本格的な逆合成入門書である.有機合成を目指す学生がその基本原理と考え方を習得した暁には自分自身の合成計画を立てられるようになることをねらいの一つとしている.また,革新的な教科書の一つとして定評のある“ウォーレン有機化学”の姉妹書でもある.本書の特徴は,基本的かつ汎用性の高いさまざまな戦略的結合切断を取上げるとともに,合成反応の特性と合成戦略の立案がバランスよく解説されている点にある.標的化合物は,合成報告例のある医薬品,農薬,生物活性天然物,香料,染料,高分子の単量体など多岐にわたる.

(引用:書籍紹介ページより)

 

対象

大学院生以上、研究者

 

解説

本書は昨年(2014年)出版された、有機化学の基礎書(結構難しいが)「ウォーレン有機化学」の有機合成、特に逆合成に特化した新書である。こんなものが発売されているのを知らなかった。さらに購入してから、自身でもっていたOrganic Synthesis: The Disconnection Approachの日本語訳本であることを知った(無念)。また、値段が翻訳元の方が安いことも(さらに無念)。

というわけで、英語に抵抗がない人は翻訳元でも全く問題無いと思う。本書は、やはり日本語で読みたい人とハードカバーの書籍が好ましい(ハードカバーは翻訳本の方が圧倒的に安い)という人にオススメだ。その他にも、元書籍に比べて本書は記載の内容の基礎知識を得るために、ウォーレン有機化学の各章にリンクされており、ウォーレン有機化学を所有している方には、独学しやすい構成となっている。また、元書籍にも少なからず誤りや、説明が足りないところ、文献がすくないものがあり、それを修正・保管している。

さて、元書籍との比較はそのぐらいにして、内容の紹介に移ろう。そもそも、分子をつくりたいときにどこで「切断」すればよいだろうか?元の化合物から結合を切断して合成法を考えていくのが逆合成解析であり、それを統一的に学べるような書籍は少ない。この書籍は数少ないその種の1つであり、化合物の基本となる「切断」方法の定石を学ぶことができる。研究でいえば定石にとらわれず、通常考えないようなクレイジーな逆合成を考えて欲しいところだ。一方で、普通の切断方法がわかっていないと、そんな逆合成はできない。ものづくりに勤しんでいる研究者は本書籍で基本に戻ることをおすすめする。わかっているつもりでも、あまり自分で慣れていない化合物をみると、意外にも綺麗な逆合成はできないものである(体験談)。

ちなみに著者のStuart Warrenは著名な研究者とはいえない。しかし、2006年の退職までケンブリッジ大学化学科で有機化学を教え、それをまとめた上述した「ウォーレン有機化学」は名著として知られている。著名な研究者だけが、素晴らしい講義をすることや書籍をだせるというわけではないという実例である。

Stuart Warren

Stuart Warren

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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