[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

ウォーレン有機合成: 逆合成からのアプローチ

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”4807908189″ locale=”JP” title=”ウォーレン有機合成: 逆合成からのアプローチ”]

 

内容

訳者のことばから:有機化学の最も重要な使命の一つは,新しい機能性分子の創出にある.合成の立案はただの当て推量ではなく,実際の合成とは逆方向に標的分子の結合を段階的に切断して,生成物側から入手容易な出発物へと合成経路をたどる“逆合成解析”とよばれる考え方を必要とする.標的分子を必要な量かつ純粋につくるためには,逆合成解析に基づく柔軟な合成計画の立案が肝要となる.本書は,他にあまり例を見ない本格的な逆合成入門書である.有機合成を目指す学生がその基本原理と考え方を習得した暁には自分自身の合成計画を立てられるようになることをねらいの一つとしている.また,革新的な教科書の一つとして定評のある“ウォーレン有機化学”の姉妹書でもある.本書の特徴は,基本的かつ汎用性の高いさまざまな戦略的結合切断を取上げるとともに,合成反応の特性と合成戦略の立案がバランスよく解説されている点にある.標的化合物は,合成報告例のある医薬品,農薬,生物活性天然物,香料,染料,高分子の単量体など多岐にわたる.

(引用:書籍紹介ページより)

 

対象

大学院生以上、研究者

 

解説

本書は昨年(2014年)出版された、有機化学の基礎書(結構難しいが)「ウォーレン有機化学」の有機合成、特に逆合成に特化した新書である。こんなものが発売されているのを知らなかった。さらに購入してから、自身でもっていたOrganic Synthesis: The Disconnection Approachの日本語訳本であることを知った(無念)。また、値段が翻訳元の方が安いことも(さらに無念)。

というわけで、英語に抵抗がない人は翻訳元でも全く問題無いと思う。本書は、やはり日本語で読みたい人とハードカバーの書籍が好ましい(ハードカバーは翻訳本の方が圧倒的に安い)という人にオススメだ。その他にも、元書籍に比べて本書は記載の内容の基礎知識を得るために、ウォーレン有機化学の各章にリンクされており、ウォーレン有機化学を所有している方には、独学しやすい構成となっている。また、元書籍にも少なからず誤りや、説明が足りないところ、文献がすくないものがあり、それを修正・保管している。

さて、元書籍との比較はそのぐらいにして、内容の紹介に移ろう。そもそも、分子をつくりたいときにどこで「切断」すればよいだろうか?元の化合物から結合を切断して合成法を考えていくのが逆合成解析であり、それを統一的に学べるような書籍は少ない。この書籍は数少ないその種の1つであり、化合物の基本となる「切断」方法の定石を学ぶことができる。研究でいえば定石にとらわれず、通常考えないようなクレイジーな逆合成を考えて欲しいところだ。一方で、普通の切断方法がわかっていないと、そんな逆合成はできない。ものづくりに勤しんでいる研究者は本書籍で基本に戻ることをおすすめする。わかっているつもりでも、あまり自分で慣れていない化合物をみると、意外にも綺麗な逆合成はできないものである(体験談)。

ちなみに著者のStuart Warrenは著名な研究者とはいえない。しかし、2006年の退職までケンブリッジ大学化学科で有機化学を教え、それをまとめた上述した「ウォーレン有機化学」は名著として知られている。著名な研究者だけが、素晴らしい講義をすることや書籍をだせるというわけではないという実例である。

Stuart Warren

Stuart Warren

関連書籍

[amazonjs asin=”4807905686″ locale=”JP” title=”ウォーレン有機化学〈上〉”][amazonjs asin=”4807905694″ locale=”JP” title=”ウォーレン有機化学〈下〉”][amazonjs asin=”0470712260″ locale=”JP” title=”Workbook for Organic Synthesis: The Disconnection Approach”][amazonjs asin=”0470712368″ locale=”JP” title=”Organic Synthesis: The Disconnection Approach”][amazonjs asin=”0471929638″ locale=”JP” title=”Organic Synthesis: Strategy and Control”]

 

外部リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 化学 美しい原理と恵み (サイエンス・パレット)
  2. 2009年1月人気化学書籍ランキング
  3. 有機化学イノベーション: ひらめきと直観をいかにして呼び込むか
  4. 2016年9月の注目化学書籍
  5. NMR in Organometallic Chemistry
  6. Pythonで学ぶ実験計画法入門 ベイズ最適化によるデータ解析
  7. 入門 レアアースの化学 
  8. ヒューマンエラーを防ぐ知恵 増補版: ミスはなくなるか

注目情報

ピックアップ記事

  1. 3.11 14:46 ①
  2. マルコ・ラム脱酸素化 Marko-Lam Deoxygenation
  3. 研究者のためのCG作成術②(VESTA編)
  4. 杉安和憲 SUGIYASU Kazunori
  5. 危険物データベース:第5類(自己反応性物質)
  6. 市販の新解熱鎮痛薬「ロキソニン」って?
  7. 【産総研・触媒化学研究部門】新卒・既卒採用情報
  8. 金沢ふるさと偉人館
  9. 【書籍】「世界一美しい数学塗り絵」~宇宙の紋様~
  10. カメレオン変色のひみつ 最新の研究より

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年4月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

第6回鈴木章賞授賞式&第10回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ

計算科学、情報科学、実験科学の3分野融合による新たな化学反応開発に興味のある方はぜひご参加ください!…

条件の「前後」も実験条件である【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

そのpH、“本当にその場所”の値ですか?ニードル式pHセンサーを使ってみた!

突然ですが、「培養の再現性がなんか悪い」「同じ条件のはずなのに結果がズレる」といった経験はあ…

「骨格編集」×「ナノカーボン合成」〜ナノカーボン合成の新戦略を実証〜

第719回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(忍久保研究室)博士後期課程2年の平…

【書評】立体化学 はじめの一歩

立体化学は,分子の三次元構造を理解するための重要な分野であり,有機化学や…

水のシミュレーション入門 — 水分子を計算機の中でどう”描く”か —

身近なのに、計算機にとって手強い"水"。本記事では、点電荷モデルから機械学習まで、その"描き方"の進…

◆◇◆◇ 第36回フォーラム・イン・ドージン開催のご案内 ◆◇◆◇

同仁化学研究所が熊本から世界へ情報発信するフォーラム・イン・ドージンの開催ご案内です。今年は『な…

『力』による円偏光発光のon/off制御を単一分子レベルで実現

第718回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 物質理工学院(相良研究室)博士後期課程2年の野中…

数日かかっていた反応機構解析を、わずか数分に!

機械学習ポテンシャルが変える計算化学の現在近年、DFT計算による反応機構解析は広く行われるよ…

海外ポスドクのオファーをもらう【アメリカで Ph.D. を取る: 進路編】

ポスドクとして海外に留学する場合、希望する研究室の教授に直接連絡を取り、面接などを通して適性を判断さ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP