[スポンサーリンク]

その他

【書籍】化学探偵Mr.キュリー4

[スポンサーリンク]

 

ケムステが応援している化学小説家、喜多喜久氏。これまで多くの化学に関する小説を執筆されていますが(関連記事:化学小説まとめ)、その中でも最近の人気シリーズである化学探偵Mr.キュリーの第4弾が先日発売されました。今回も、喜多さん本人にその内容を紹介していただきましたので、御覧ください!

 

化学者のつぶやき」をご覧の皆様。いつもお世話になっております。喜多喜久です。前回から少し間が空きましたが、例のシリーズの新作が完成しましたので、そのお知らせのために紹介記事を投稿させていただきました。

新刊のタイトルは、「化学探偵Mr.キュリー4 」です。(中央公論新社・3/25刊行)

 

「1」の刊行から約三年。シリーズ化を期待してスタートした作品ですが、予想よりはるかに早く四作目を上梓することができました。

ちなみに、キュリーシリーズの発行部数は、僕の全著作の発行部数の約50%を占めています。作家・喜多喜久を支える重要な柱に育ってくれたのは、応援してくださっている皆様のおかげです。改めてお礼を申し上げたいと思います。

 

では、これまでの三作と同様、各話のあらすじを紹介していきたいと思います。

 

(第一話)化学探偵と猫騒動

大学に棲む野良猫についてのクレームが、七瀬舞衣の元に寄せられる。その調査の最中に、舞衣はかつて別件で知り合った学生・五郎丸早苗と再会する。彼女は大学猫を守る活動に従事しており、猫たちを受け入れてもらうべく、クレーム対応への協力を申し出る。一方で、早苗は猫アレルギーと思われる発疹に悩んでいて……。

 

(第二話)化学探偵と互助会の暗躍

四宮大学に通う学生・植芝は、学内でUSBメモリを紛失したことに気づく。その中には、他者に決して知られてはならない秘密が。必死で捜索するが見つからず、植芝は悲嘆に暮れるが、USBメモリは落し物として庶務課に届けられていた。受け取って中身を確認した植芝は、見慣れぬ文書ファイルが増えていることに気づく。

 

(第三話)「化学探偵」の殺人研究

TVプロデューサー・中之島は、制作中の二時間ドラマに使う殺人トリックのことで頭を悩ませていた。新規性があり、科学的に妥当で、なおかつ見栄えのするネタはないか。アイディアが出ずに苦しんでいた中之島は、ドラマに出演予定のタレント・美間坂剣也を通じて、化学の専門家である沖野に協力を打診する。

 

(第四話)沖野春彦と盗難の動機

学会参加のために久しぶりに母校を訪れた沖野は、学内で起きた盗難事件のことを知る。なんでも、実験室からマグネティックスターラーが盗まれたのだという。金にもならず、用途も限られるものを盗んでどうするのだろう、と沖野は首をかしげるが、友人の研究室で事件があったと知り、調査に手を貸すことに。

 

(第五話)七瀬舞衣と三月の幽霊

三月には珍しく、四宮市に雪が降った日。大学で銅像が破損する事件が発生する。雪の積もった庭には、銅像から離れた位置に不可解な足跡が残されていた。犯人はどうやって銅像を破壊したのか?さっそく調査を始めた舞衣は、庭で幽霊が目撃されたという情報を耳にする。

 

 

これまでずっと、各話のタイトルは「化学探偵と~」で統一していたのですが、今作の3-5話はこのルールから外れています。

このことに象徴されるように、今作は変化球的な話が多くなっています。2話と3話は沖野も舞衣もほとんど登場しませんし、4話は沖野が一人で、5話は舞衣が一人で謎と立ち向かう構成になっています。「それって面白いの?」と思われるかもしれませんが、作者としてはやろうと思ったことをやりきったと自負しております。特に3話のトリックは(いろいろな意味で)シリーズ随一ではないかと思います。

 

作中で4月から始まったこの物語も、今作でちょうど一年が経過しました。一年間で沖野と舞衣が関わった事件の数は19と、コ○ンくんほどではないものの、結構なハイペースになってしまいました(笑)

 

一年が終わってシリーズも完結……ということはなく、普通に次回作に続く予定です。これからも、小説を通じて科学の世界の面白さを伝えていければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします!

 

Mr.キュリーシリーズ

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 『元素周期 ~萌えて覚える化学の基本~』がドラマCD化!!!
  2. 二酸化塩素と光でプラスチック表面を機能化
  3. アメリカで Ph. D. を取る –研究室に訪問するの巻–
  4. Nature Reviews Chemistry創刊!
  5. 【日産化学 23卒/Zoomウェビナー配信!】START you…
  6. プロ格闘ゲーマーが有機化学Youtuberをスポンサー!?
  7. カブトガニの血液が人類を救う
  8. 2016年1月の注目化学書籍

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 元素検定にチャレンジせよ!
  2. 安達 千波矢 Chihaya Adachi
  3. 分子の聖杯カリックスアレーンが生命へとつながる
  4. 第11回 触媒から生命へー金井求教授
  5. 宮沢賢治の元素図鑑
  6. bothの使い方
  7. C–NおよびC–O求電子剤間の還元的クロスカップリング
  8. ゲラニオール
  9. 三菱ケミの今期経常益‐1.8%に、石化製品市況弱く
  10. 杏林製薬、ノバルティス社と免疫抑制剤「KRP-203」に関するライセンス契約を締結

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年3月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

プロトン共役電子移動を用いた半導体キャリア密度の精密制御

第582回のスポットライトリサーチは、物質・材料研究機構(NIMS) ナノアーキテクトニクス材料研究…

有機合成化学協会誌2023年11月号:英文特別号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2023年11月号がオンライン公開されています。…

高懸濁試料のろ過に最適なGFXシリンジフィルターを試してみた

久々の、試してみたシリーズ。今回試したのはアドビオン・インターチム・サイエンティフィ…

細胞内で酵素のようにヒストンを修飾する化学触媒の開発

第581回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 薬学系研究科 有機合成化学教室(金井研究室)の…

カルロス・シャーガスのはなし ーシャーガス病の発見者ー

Tshozoです。今回の記事は8年前に書こうと思って知識も資料も足りずほったらかしておいたのです…

巨大な垂直磁気異方性を示すペロブスカイト酸水素化物の発見 ―水素層と酸素層の協奏効果―

第580回のスポットライトリサーチは京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻 陰山研究室の難波…

2023年度第1回日本化学連合シンポジウム「ヒューメインな化学 ~感覚の世界に化学はどう挑むか~」

人間の幸福感は、五感に依るところが大きい。化学は文明的で健康的な社会を支える物質を継続的に産み出して…

超難溶性ポリマーを水溶化するナノカプセル

第579回のスポットライトリサーチは東京工業大学 化学生命科学研究所 吉沢・澤田研究室の青山 慎治(…

目指せ抗がん剤!光と転位でインドールの(逆)プレニル化

可視光レドックス触媒を用いた、インドール誘導体のジアステレオ選択的な脱芳香族的C3位プレニル化および…

マテリアルズ・インフォマティクスに欠かせないデータ整理の進め方とは?

開催日:2023/11/29 申し込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP