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Chemical Science誌 創刊!

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英国王立科学会出版部(RSC Publishing Group)から、先日新たな化学ジャーナルが登場したのはご存知でしょうか?その名もChemical Science“誌。広く化学全般を掲載対象にしています。
Nature Publishing Groupが先立って創刊したNature Chemistry、古参のJACSAngewandte Chemieなどへと対抗すべく、イギリス側も負けてはいられてないということなのでしょう。

(おや、日本はどうなってるのでしょうか・・・?)


さて、Nature Chemistry誌の時もそうだったのですが、できたばかりのジャーナルはどんなカラーになるか、レベルがどの程度になってくるのか・・・予想が大変難しい。
Nature Chemistryのときははいかにもブランドバリューで押し切ってしまいそうな前評判の高さだったのですが、現状JACSのほうにまだまだハイレベルの化学が載ってるのでは・・・と思えることもしばしばあります。

この新ジャーナルChem.Sci.はどうなのでしょうか?
掲載論文はそれなりなレベルのご様子です。できて間もないので、評価を固めてしまうのは時期尚早ですけども。最初だから気合いを入れてるということもあるのでしょう、多くはフリーアクセス可能ですので、ぜひご覧になってください(公式ページはこちら)。

ひとつ驚いたのはグラフィカルアブストラクトがGIFアニメーションになってる論文があること!GoogleReaderで見てびっくりしました。というかなぜ今までこういうの無かったの、とすら思えます。論文を読んでもらうことから始めるべく、キャッチーなアブストもどんどん増えてる感じですね。

ジャーナルの数が増えるにしたがい、「情報を見分ける眼」の必要性は増す一方です。特に最近はジャーナルが乱立気味にも思え、専門分野だけでも読むべきものを選ぶ必要が生じてきている状況ではないでしょうか。

筆者もGoogle Readerに登録してある化学ジャーナル・解説雑誌はすでに40を超えました。現在登録してあるのは以下のとおりです(順不同)。

Nature
Nature Mater.
Nature Nanotech.
Nature Communications
Nature Chemistry
Science
Proc. Natl. Acad. Sci. USA (PNAS)
ACS Nano
Acc. Chem. Res.
Chem. Rev.
J. Am. Chem. Soc.
J. Org. Chem.
Nano Lett.
J. Nat. Prod.
ACS Med. Chem. Lett.
Adv. Mater.
Inorg. Chem.
Organometallics
Org. Lett.
Synlett
Synthesis
Angew. Chem. Int. Ed.
Chem. Eur. J.
Chem. Asian. J.
Eur. J. Org. Chem.
Eur. J. Inorg. Chem.
Adv. Synth. Catal.
Nat. Prod. Report
Chem. Soc. Rev.
Chem. Commun.
Org, Biomol. Chem.
Dalton Trans.
J. Fluor. Chem.
Chem. Lett.
Bull. Chem. Soc. Jpn.
Tetrahedron Lett.
Tetrahedron
Tetrahedron: Asymmetry
Chem.Sci.
JACS beta
C&EN
Chemistry World
Synfacts
Chem. Rec.

さすがにこれ全部に目を通すわけにはいかず、JACS・AngewandteなどのMUSTジャーナルを除けば、数日おきで未読アブストチェックをするのみですが・・・。これだけの数のジャーナルを追うのは、GoogleReader無しではもはや不可能な感じです。膨大に溢れかえる報告の中から、キーとなる研究を見つけ出してくる事自体、もはや並大抵の作業では無くなっています。

結局のところ「どれがよい仕
事なのか?不足な仕事なのか?」ということについては、ジャーナル名ではなく自分自身の眼で判断する、ということが要求されてきているのでしょう。Nature、Scienceに載った=手放しでよい仕事だ、としてしまうのは安易に過ぎるようです。考えてみればこれは真っ当で、漫画でいうなら「週間少年ジャンプに載ってるから面白い」わけでは必ずしもないのと同じですよね(笑)。

電子ジャーナル全盛の現代、IT技術の活用こそが、情報処理の効率化に大変役立つのは間違いありません。うまく活用して必要な情報をだけを迅速により分け、研究者としてのサバイバルスキルを磨きたいものですね!

追記

  • 2012年に発表されたImpact Factor 2011ではIF  7.2525と英国王立化学協会(RSC)の中でトップの値をたたき出しています。フラッグシップジャーナルとしての出だしは好調のようです(2012年7月 webmaster)
  • 2015年1月よりオープンアクセス(OA)化されることが発表されました。OAによる負担をなくすために、2年間投稿は無料だそうです(2014年7月17日 webmaster)。
  • 2015年に発表されたImpact Factor 2014ではIF 9.211とトップジャーナルといわれるIF10以上に迫っています。オープンアプセス化してどう変わっていくのかがみものですね(2015年7月16日 webmaster)

 

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投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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