[スポンサーリンク]

一般的な話題

速報! ノーベル物理学賞2014日本人トリプル受賞!!

[スポンサーリンク]

“スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2014年のノーベル物理学賞を、青色発光ダイオード(LED)を開発した名城大学の赤﨑 勇教授(85)と名古屋大学の天野浩教授(54)、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授(60)の3人に贈ると発表した。

 これで日本のノーベル賞受賞者は22人となった。賞金は800万スウェーデン・クローナ(約1億2000万円)で、3人で分ける。授賞式は12月10日、ストックホルムで行われる。(引用: 読売新聞)”

 

ということで、今年のノーベル物理学賞は青色発光ダイオードを発明した、赤﨑 勇教授天野浩教授中村修二教授の3名が受賞されました。

日本人初の工学博士での物理学賞だそうです。

ケムステでは化学賞で、:Nicholas Holonylak, Jr.(ニック・ホロニアック)、M. George Craford(ジョージ・クラフォード)、 Isamu Akasaki (赤崎 勇)、Shuji Nakamura (中村 修二)のいずれかが受賞すると予想(記事の下の方に予想があります)していましたが、物理賞でしたか!うれしいですが残念!

消費電力が少なく、長寿命であることから発光ダイオード(LED)は新たな照明やディスプレイへの応用に期待されていましたが、青色LEDの開発が困難とされてきました。その開発が困難とされた青色LEDを開発、量産化できるようにしたのが、今回受賞された赤﨑 勇教授、天野浩教授、中村修二教授なのです。この記事では受賞に関しての速報を行いたいと思います(随時追記していきます)。

 

 200px-Blue_light_emitting_diodes_over_a_proto-board.jpgGaN.jpg

画像:青色発光ダイオード(左)と窒化ガリウム(右)

青色LEDには現在窒化ガリウム(GaN)が用いられています。GaNは他の半導体と比較して、放熱性に優れていることから高温での動作が可能であり、また絶縁破壊電圧が高いことから、電子デバイスとしての応用に優位な材料でした。

そもそも、LEDの歴史としては、1962年にNicholas Holonylak赤色を発明、1972年にM. George Crafordにより黄色が開発されていましたが、その後20年ほどあともう一種類の光の三原色、つまり白色や色を完全に表現できる青色だけ抜けていたのです。

格子定数と熱膨張定数がGaNに近い基板が存在しなかったため、高輝度な青色LEDに必要な良質な結晶が作製できず、良質な結晶が得やすいセレン化亜鉛(ZnSe)を用いて青色LEDの開発、量産化を試みましたが、寿命が短く製品化には至りませんでした。

この問題を解決したのがサファイア基板上へのバッファ層技術でした。赤﨑教授と天野教授はこの技術を実現し、それによってp型結晶、n型結晶、pn接合による青色LEDなどの作製技術を確立し、高輝度の青色LEDを開発しました。 [1] [2]

そして中村教授はそれらの技術を元にツーフロー有機金属気相成長法(MOCVD)を提案し、[3]1993年世界ではじめて高輝度青色LEDの工業化・量産化に成功しました。

2015-09-17_18-58-07

LEDの開発の歴史(出典:Burux)

このような当時開発が不可能とされた青色LEDを世界ではじめて開発し、量産化に成功した日本人の研究者3名の教授の功績が讃えられ、本日ノーベル物理学賞を受賞しました。同じ日本人として*非常に嬉しい限りです。本当におめでとうございます!

詳報は明日以降にゆっくりと行いたいと思います。

さて、明日は化学賞!このまま日本人が続くのか?Amazon1万円分が当たる投票も行っていますので、ぜひご参加ください。なお、日本人でなくても誰でもケムステでは速報を出します!

*中村修二教授は米国籍を取得しており現在では国籍上アメリカ人となっております。

 

関連文献

  1.  Amano, H.; Sawaki, N.; Akasaki, I.; Toyoda, Y. Appl. Phys. Lett. 198648, 353. DOI:10.1063/1.96549
  2. Amano, H.; Kito, M.; Hiramatsu, K.;  Akasaki, I. Jpn. J. Appl. Phys. 198928, L2112. doi:10.1143/JJAP.28.L2112
  3. a) Nakamura, S. Jpn. J. Appl. Phys. 1991, 30, L1705 DOI: 10.1143/JJAP.30.L1705 b)Nakamura, S.; Senoh, M.; Mukai, T. Jpn. J. Appl. Phys. 1991, 30, L1998. DOI: 10.1143/JJAP.30.L1998

 

関連書籍

 

 

  • 関連動画

 

  • 関連リンク

赤﨑 勇

赤崎勇 –  Wikipedia

Takeda Award Forum – 赤崎勇

Isamu Akasaki – Wikipedia

赤崎記念研究館

天野浩

天野浩 – Wikipedia

武田賞講演概要:天野浩

University Page: Hiroshi Amano

Amano Laboratory

中村修二

中村裁判 – Tech On!

エンジニアはジャパニーズドリームを見よ (Tech総研)

JST 中村修二氏の略歴

中村 修二 – Wikipedia

Shuji Nakamura – Wikipedia

発光ダイオード – Wikipedia

窒化ガリウム – Wikipedia

Professor Shuji Nakamura カリフォルニア大学サンタバーバラ校の紹介ページ。内容は薄い。

発光ダイオードって知ってる? NEDOによる解説ページ

Nichia ‘s Shuji Nakamura: Dream of the Blue Laser Diode (ScienceWatch)

中村修二の怒りの矛先 (Tech-On!)

中村修二・ひろゆきが語る”エンジニア幸福論” (Tech総研)

レオ

投稿者の記事一覧

Ph.D取得を目指す大学院生。有機太陽電池の高効率を目指して日々研究中。趣味は一人で目的もなく電車に乗って旅行をすること。最近は研究以外の分野にも興味を持ち日々勉強中。

関連記事

  1. 化学英語論文/レポート執筆に役立つPCツール・決定版
  2. 【ナード研究所】新卒採用情報(2025年卒)
  3. タンパク質の定量法―ブラッドフォード法 Protein Quan…
  4. 第24回ケムステVシンポ「次世代有機触媒」を開催します!
  5. 書店で気づいたこと ~電気化学の棚の衰退?~
  6. 林 雄二郎博士に聞く ポットエコノミーの化学
  7. 今年の光学活性化合物シンポジウム
  8. ノーベル化学賞を担った若き開拓者達

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 砂糖水からモルヒネ?
  2. 有機合成化学協会誌2021年11月号:英文特集号 Special Issue in English
  3. 機能指向型合成 Function-Oriented Synthesis
  4. リサーチ・アドミニストレーター (URA) という職業を知っていますか?
  5. “かぼちゃ分子”内で分子内Diels–Alder反応
  6. 【追悼企画】カナダのライジングスター逝く
  7. ベンゼン環が速く・キレイに描けるルーズリーフ
  8. Reaxys PhD Prize 2020募集中!
  9. バートン・マクコンビー脱酸素化 Barton-McCombie Deoxygenation
  10. 世界5大化学会がChemRxivのサポーターに

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

超塩基に匹敵する強塩基性をもつチタン酸バリウム酸窒化物の合成

第604回のスポットライトリサーチは、東京工業大学 元素戦略MDX研究センターの宮﨑 雅義(みやざぎ…

ニキビ治療薬の成分が発がん性物質に変化?検査会社が注意喚起

2024年3月7日、ブルームバーグ・ニュース及び Yahoo! ニュースに以下の…

ガラスのように透明で曲げられるエアロゲル ―高性能透明断熱材として期待―

第603回のスポットライトリサーチは、ティエムファクトリ株式会社の上岡 良太(うえおか りょうた)さ…

有機合成化学協会誌2024年3月号:遠隔位電子チューニング・含窒素芳香族化合物・ジベンゾクリセン・ロタキサン・近赤外光材料

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年3月号がオンライン公開されています。…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part3

日本化学会年会の付設展示会に出展する企業とのコラボです。第一弾・第二弾につづいて…

ペロブスカイト太陽電池の学理と技術: カーボンニュートラルを担う国産グリーンテクノロジー (CSJカレントレビュー: 48)

(さらに…)…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part2

前回の第一弾に続いて第二弾。日本化学会年会の付設展示会に出展する企業との…

CIPイノベーション共創プログラム「世界に躍進する創薬・バイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第104春季年会(2024)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界に躍進…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part1

今年も始まりました日本化学会春季年会。対面で復活して2年めですね。今年は…

マテリアルズ・インフォマティクスの推進成功事例 -なぜあの企業は最短でMI推進を成功させたのか?-

開催日:2024/03/21 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP