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有機合成化学協会誌2021年1月号:コロナウイルス・脱ニトロ型カップリング・炭素環・ヘテロ環合成法・環状γ-ケトエステル・サキシトキシン

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有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2021年1月号がオンライン公開されました。

あけましておめでとうございます。コロナ第三波が大変な状況ですがいかがお過ごしでしょうか。

また大学関係者は大変忙しい時期かと存じますが、忙しいときこそインプットの時間を削りたくはないものです。

有機合成化学協会誌は今月号も充実の内容です。

キーワードは、「コロナウイルス・脱ニトロ型カップリング・炭素環・ヘテロ環合成法・環状γ–ケトエステル・サキシトキシン」です。

今回も、会員の方ならばそれぞれの画像をクリックすればJ-STAGEを通してすべてを閲覧することが可能です。

巻頭言:両手を広げて

今月号は、東京大学大学院工学系研究科 野崎 京子 教授による巻頭言です。

コロナ禍であってもポジティブに明るく、さすが野崎先生だと感じました。筆者も、今こそ変わっていくチャンスだと感じています。両手を広げて大きく息を吸い込み、力強く歩いていきたいものです。

内容に関して、自分事ではあるのですが少しだけ…

ちなみに筆者はコロナ禍の7月に第二子を出産し11月まで育休で在宅でした。日中に限られますが様々なオンライン会議に参加できたり学生ともオンラインで議論することができたことで育休が大したブランクにならず、変化の恩恵を受けたと感じています。
(野崎先生、ワイヤレスイヤホンマイクがとても便利でした!子供に邪魔されつつではあったものの、それのおかげでだいぶ仕事ができた気がしています)

オープンアクセスです。

SARSコロナウイルス由来3CLプロテアーゼの作製とその阻害剤創製

 

今野博行*1、赤路健一*2

*1 山形大学大学院理工学研究科

*2 京都薬科大学薬学部

SARS 3CLプロテアーゼとその阻害剤創製に関する総合論文です。SARS 3CLプロテアーゼは新型コロナウイルス由来SARS-CoV2 3CLプロテアーゼと高い相同性を有しています。このことはSARS 3CLプロテアーゼ阻害剤が、COVID-19治療薬開発に貢献できる可能性を意味します。

パラジウム触媒を用いた脱ニトロ型カップリング反応の開発

 

淺原光太郎1、柏原美勇斗2、武藤 慶3、中尾佳亮*2、山口潤一郎*1

*1早稲田大学先進理工学部応用化学科

*2京都大学大学院工学研究科材料化学専攻

3早稲田大学高等研究所

コロナ禍の在宅期間を契機として執筆された、中尾研・山口研の共著総合論文です。古典的な芳香族ニトロ化の価値を刷新する新しい合成手法、「脱ニトロ型カップリング反応」の誕生から最新の展開までがよくわかる内容となっています。

ヘテロ原子が直接結合したオレフィンを反応点とする炭素環・ヘテロ環合成法; 芳香環につながれた2つの多重結合間での反応

 

大野祥平、有澤光弘*

大阪大学大学院薬学研究科

本総説は、ヘテロ原子が直接結合したオレフィンを含む2つの多重結合間における環化反応によるヘテロ環合成法に焦点を当て、多彩な反応種類別に纏められている。最近のヘテロ環合成法について系統的に整理されており、多くの有機合成化学者にとって有益な内容である。

環状γ–ケトエステルを基質とした酵母還元生成物からの天然物合成およびアグリケミカルへの応用

 

山内 聡*

愛媛大学農学研究科

本総合論文では、環状ケトエステルを酵素還元して得られる光学活性化合物から、有用な生物活性を示す天然物およびその誘導体の全合成と生物活性評価を詳細に論じています。天然物を利用したアグリケミカル創製を検討する上で、参考にすべき有用な論文です。ぜひご一読ください。

麻痺性貝毒サキシトキシン類の全合成研究

 

長澤和夫*

東京農工大学大学院工学研究院

サキシトキシン(STX、分子式C10H15N7O3)は、最も有名な海産毒の一つで、2つの環状グアニジンを含む典型的な多環多官能性天然物です。本論文は、この天然物の合成研究で最も活発に研究を展開している長澤和夫先生によるもので、この合成困難な天然物群の全合成をいかにして達成したかが詳しく述べられています。通常の論文では触れられない全合成の裏側が垣間みれるのも本誌ならではのものです。また、後半のSTX合成誘導体による前例のないNavのサブタイプ選択的な阻害剤の発見は圧巻です。

Review de Debut

今月号のRebut de Debutは1件です。オープンアクセスなのでぜひ。

・液体アンモニアを用いないBirch型還元反応 (岡山大学大学院自然科学研究科) 佐藤英祐

Message from Young Principal Researcher(MyPR):南国女性研究者の気合い

今月号のMyPRは、慶應義塾大学大学院理工学研究科 荒井 緑 教授による寄稿記事です。

様々な場所でパワフルに研究を楽しんでこられた、荒井先生の研究者人生を知れてとても刺激になりました。オープンアクセスです!

ラウンジ:向山光昭先生が遺された数々の偉業

今月号のラウンジは、京都大学大学院工学研究科 村上 正浩 教授による寄稿記事です。

向山先生がどういうお方であったか、どれほどの偉業を成し遂げられてきたか、書かれているものだけではないでしょうが、十分にわかる記事でした。新4年生に読ませたいと思います。

感動の瞬間:芸は身を滅ぼす・・・?

今月号の感動の瞬間は、九州大学グリーンテクノロジー研究教育センター 永島 英夫 教授による寄稿記事です。

 

タイトルが意味するところが何なのか、読み進めていくにつれわかります。必見です。

 

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズを参照してください。

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博士(理学)。大学教員。娘の育児に奮闘しつつも、分子の世界に思いを馳せる日々。

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