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フッ素が導入された化合物の活躍は近年眼を見張るものがあります。

生物活性化合物に水素の代わりに導入すれば、その炭素フッ素結合の疎水性、脂溶性、代謝を受けにくいなどの性質が功を奏することが多く、最終医薬品にも多くの含フッ素化合物みられます。炭素ーフッ素結合というとっても安定な結合を逆手にとって、それを選択的に変換しうる手法も開発されています。ヘテロ元素ーフッ素結合もその得意な反応性を利用した新たな合成反応も報告されています。もちろんそれらフッ素化合物をつくる「フッ素化剤」も様々なタイプのものが生みだされています。

というわけで、今回はシグマアルドリッチのフッ素キャンペーンを題材として、いくつかフッ素の関わる合成反応と試薬を紹介してみましょう。

Baran Diversinates:(ヘテロ)芳香族骨格の官能基化 (Baran教授)

おなじみ米国スクリプス研究所Baran教授による試薬「Baran Diversinates」です。フッ素部位を導入するというより、ヘテロ芳香環のアルキル化試薬ですが、合成の最終段階で官能基化されていないヘテロ芳香環に下記に示すような反応剤で含フッ素基を導入することが可能です1。使いやすさをアピールするために、烏龍茶のなかでも反応させることができるとアピールしたことが話題になりました(ケムステ関連記事:ウーロン茶の中でも医薬品の化学合成が可能に)。生体共役反応としても使えるようですし、t-ブチル基と置換できるトリフルオロメチルシクロプロピル基なども導入できます3。

様々な含フッ素Baran Diversinates(出典:Sigmaaldrichカタログより)

 

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関連文献

  1. Fujiwara, Y.; Dixon, J. A.; OHara, F.; Funder, E. D.; Dixon, D. D.; Rodriguez, R. A.; Baxter, R. D.; Herlé, B.; Sach, N.; Collins, M. R.; Ishihara, Y.; Baran, P. S. Nature 2012, 492, 95–99. DOI: 10.1038/nature11680
  2. Zhou, Q.; Gui, J.; Pan, C.-M.; Albone, E.; Cheng, X.; Suh, E. M.; Grasso, L.; Ishihara, Y.; Baran, P. S. J. Am. Chem. Soc. 2013, 135, 12994–12997. DOI: 10.1021/ja407739y
  3. Gianatassio, R.; Kawamura, S.; Eprile, C. L.; Foo, K.; Ge, J.; Burns, A. C.; Collins, M. R.; Baran, P. S. Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 9851–9855. DOI: 10.1002/anie.201406622

SuFEx:フッ化スルホニル~新たなクリック反応試薬 (Sharpless教授)

同じくスクリプス研究所のSharpless教授の開発した新たなクリック試薬であるSuFEx1。フッ化スルホニル基をもつ化合物は、プロトン源もしくはケイ素化合物の存在下様々な求核剤ですぐさま反応し、化合物をつなぐことができます。それ以外は高い化学選択性と官能基許容性を示すため、クリックケミストリーを体現する反応の一つとして提案されています。(ケムステ関連記事:新たなクリックケミストリーを拓くーSuFEx反応効率的に新薬を生み出すLate-Stage誘導体化反応の開発) 。

関連文献

  1. Dong, J.; Krasnova, L.; Finn, M. G.; Sharpless, K. B. Angew. Chem. Int. Ed.2014, 53, 9430 DOI: 10.1002/anie.201309399

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革新的なフッ素化剤:AlkylFluor (Ritter教授)

ドイツマックス・プランク研究所のRitter教授によるAlkylFluor1。空気下安定で、水があっても問題なく、アルコールをフッ素に変換することができるフッ素化剤です。

関連文献

  1. Goldberg, N. W.; Shen, X.; Li, J.; Ritter, T. Org. Lett. 2016, 18, 6102–6104. DOI: 10.1021/acs.orglett.6b03086

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シグマ アルドリッチ構造式カタログ (新しい検索ツール)

というわけで、購入可能な含フッ素基導入試薬・フッ素反応剤・フッ素化剤を紹介してみました。ぶっちゃけ高いですが、購入可能になると一挙に誘導化のスピードが加速しますね。ちなみに、シグマアルドリッチのウェブではフッ素化合物を含め、シグマ アルドリッチ製品の構造式を、Web上で一覧表示できるようになったそうです。カテゴリや製品英名(部分一致)の組み合わせによる絞込み、該当化合物一覧のPDF出力も可能です。ウェブカタログはこちら。

ぜひチェックあれ。

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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