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研究助成金を獲得する秘訣

研究助成金の縮小に伴い、獲得競争は激しさを増している。Nature は米国NIH グラントを例に、助成金獲得に有効な戦略や、よくある助言のうち無視すべきものを探った。このたびの調査結果は、世界中のどの助成金申請にも当てはまり、若手研究者の助けとなるだろう。

タイトルおよび説明はシュプリンガー・ネイチャーの出版している日本語の科学まとめ雑誌である「Natureダイジェスト」9月号から(画像クレジット:SÉBASTIEN THIBAULT)。最新サイエンスを日本語で読める本雑誌から個人的に興味を持った記事をピックアップして紹介しています。過去の記事は「Nature ダイジェストまとめ」を御覧ください。

研究助成金獲得の秘訣

タイトルから時期的にも「そんな方法があるならぜひ教えて欲しい!」と思った研究者は多いことでしょう。私もその一人ですが苦笑。世界的に先進国の研究助成金は、一昔前に比べると縮小傾向にあります。つまり研究者人口に対する獲得競争が激化しているというわけです。

日本も然ることながら人件費をすべて研究費で賄わなければならない米国はより厳しい状態。先日米国を訪問した際にも、私が大学院生時にハイジャーナルにバシバシ論文を出版していた研究者が、グラントが取れないために学生がおらず、いま一人であるという例をいくつもみました。日本だとそこまではありえないですよね。

現在米国で生物医学研究(化学も含む)を行う研究機関NIHのグラントの人気は過去最大で、現在平均採択率は18%。厳しい限りですね。しかも、NIHの助成を受けている10%の研究者が40%の助成金を獲得しているという事実。「選択と集中」ですね。効果的なのかはわかりませんが、世界共通なのかもしれません。

本記事では、NIHの最新の助成システムを紹介し、助成金獲得に向けてここは抑えておいたほうがいい、逆にこれはうわさなので信じる必要はないというポイントを簡潔かつ明解に述べています。上述してあるように、NIHだけの特別な獲得の秘訣というわけでなく、世界中のどの研究者にも当てはまる内容なのでぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

加えて、米国に学会や講演でいくと半分以上こんな話になるので、システムがわからなければ英語どころでなくついていけないため、予備知識としてもよいと思います。

記事の最後に当たり前ですが、申請書を書いていると忘れてしまう文が。

申請を却下される研究者には、若手も、実績のある研究者も、高齢の研究者もいる。「違いは、実績のある研究者は挑戦し続けるということです」。

肝に銘じて、秋の研究費申請を乗り越えましょう。

深い海のサンゴが光る理由

さて、まず下の動画を見てください。

これは深い海(水深30〜150m)に存在するサンゴです。見ての通り光っています。これが発見されたのが2015年のこと[1]。

では、なぜ光るのか?この光るサンゴの発見者であるサウサンプトン大学(英国)のJörg Wiedenmann 教授らはその理由をごく最近解明し、論文として報告しました。

要約すると、浅海のサンゴとは全く異なる構造の赤色蛍光タンパク質を利用して、光を光合成用に最適化していたとのこと。記事では、この発見の経緯と、Wiedenmannへのインタビューを行っています。こういう天然物化学個人的に大好きです。

関連論文

  1. Eyal, G.; Wiedenmann, J.; Grinblat, M.; D’Angelo, C.; Kramarsky-Winter, E.; Treibitz, T.; Ben-Zvi, O.; Shaked, Y.; Smith, T. B.; Harii, S.; Denis, V.; Noyes, T.; Tamir, R.; Loya, Y. PLOS ONE 2015, 10 (6), e0128697. DOI: 10.1371/journal.pone.0128697
  2. Smith, E. G.; D’Angelo, C.; Sharon, Y.; Tchernov, D.; Wiedenmann, J. Proc. Biol. Sci. 2017, 284 (1858). DOI: 10.1098/rspb.2017.0320

加熱しても冷却してもできる超分子ポリマー

日本人研究者にインタビューする「Japanese Author」から、今回は東京大学の相田卓三教授(理研グループディレクター兼任)のグループで働く、理化学研究所の宮島大吾上級研究員にインタビューしています。宮島上級研究員は、以前ケムステでも別の研究で紹介しています(記事:「超分子ポリマーを精密につくる」)。

今回、Nature Chemistryに報告した論文についてインタビューを受けていました。温度が上がると分子の運動が激しくなりバラバラになるという常識を覆し、加熱すると結合(重合)する「超分子ポリマー」の開発に成功しています。「下限臨界共存温度(LCST)」をうまく使うことが鍵だそうです。

図1 ポリマーがLCST により凝集する仕組み
水溶液中のポリマーを加熱すると、ある温度でポリマーが凝集して白く濁る。加熱することで水分子がポリマーから解放され、ポリマー同士が結合しやすくなった(出展:Natureダイジェスト)

 

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今月の無料公開記事

今月号の無料公開記事は2つ。1つは長文記事の「TOOLBOX: 科学者とソーシャルネットワーク」。どうやら先月から新しく始まった連載モノコンテンツのようです。

先月号では論文の共同執筆ツールについての記事が無料公開でした。今回は、研究者用のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に関する記事です。その筆頭として、研究者ならばかなりの人が名前ぐらいは知っているであろう(使っていなくとも)、Research Gateがあります。続いて、Academia.eduや文献整理アプリから発展したMendeleyが代表格。記事では、これら研究者用SNSの設立の経緯と設立者の思い、認知度、様々な利用方法について述べています。

2つめは短いニュース記事から、「音波探査がプランクトンに死をもたらす」という記事。

地震探査のために広く使われている音波を発する機械が、広範囲に渡りプランクトンを死滅に至らしめているという話。「それって本当?」と思いますが、ロケットの発射音よりも大きい音ということで、たしかに本当にありそうな話です。どちらも重要なのでトレードオフというわけにもいきません。一方で、こういう極まった局面では新しい技術が開発される可能性があります(他人事で申し訳ございませんが)。

新規研究室購読者に、前年度のPDF1年分を収録したDVD贈呈

Natureダイジェストの新規購読者キャンペーンを行っています。2017年9月30日までに研究室購読を申し込みいただくと(個人ではありません)、もれなく前年度のPDF1年分を収録したDVDがもらえるそうです。

今月末で終わりなのでお申込みはお早めに。キャンペーン申し込みはこちら

過去記事はまとめを御覧ください

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院准教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。
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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院准教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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