[スポンサーリンク]

一般的な話題

有機化学系ラボで役に立つ定番グッズ?100均から簡単DIYまで

[スポンサーリンク]

 

先日、慶應義塾大学の須貝先生とメールのやり取りをしていた際に、以下のご要望をいただきました。

 当方、最近、食品飲料容器の実験器具へのリサイクルを心がけており、コーヒーのアルミ缶を加工した「ピペット等乾燥・保管容器」を自分で工作して使っております。
恥ずかしながら写真を添付いたします。興味を持っていただけたら、先生の研究室の学生さんで「使ってみた、試してみた」お願いできませんでしょうか。その場合には、十数個をお送りします。

言われてみれば、研究室のなかには意外とちょっとした手を加えた(全く手を加えていないものも)一般小物らしき(ゴミにもみえる)ものが存在するんですね。学生は研究をやりやすくするために、簡単なDIYをしたり、安価で購入できる100円ショップ(以下100均)で購入して、工夫をしています。上記の保管容器に加えて、それらを紹介したら面白い動画になるのではないかと思い、研究室を歩き回り目についたものを集めて動画にしてみました。主に有機合成化学系の研究室用です。

実験室でDIY!動画

今回撮影につかった「小物」リスト

今回の動画は、リサイクル編工作編100均編の3つにわけて紹介しています。

リサイクル編はその名の通り通常ならば捨ててしまう容器などをそのままうまく実験に使っています。合成化学の研究室ならばよくある光景だと思います。

あきかん:一番使われるのが、シグマアルドリッチの試薬の空き缶ですね。長さもちょうどよくパスツールいれや廃パスツール入れにつかっているひとがほとんどです。それ以外にもテニス好きな方はテニスボールが入っていた缶もいろいろな容器に使えます。

 

あきびん:なんでもよいですが、キレートレモンの空き瓶が緑できれいかつおおきさもぴったりですね。栄養ドリンクも昔からよく使われており、昔はカラムのフラクションに使うために飲みまくってました。

 

あきびん2:このサイズならば、TLCの展開槽につかえますね。とくに二次元TLCのときの正方形サイズにはぴったりです。

 

あきぼとる:ガムのボトル容器。なんかつかえそうで撮っておいてしまう系ですね。撹拌子やTLC、小さな小物入れなどなんでも使えます。

 

あきぼとる2:少し高めのアイスボックスの容器がとくに使いやすいですね。プラスチックなので軽く、意外と丈夫です。磁石をうまくつければ実験台にもつけることができるかも。

 

あきようき:もうほとんどゴミですが、フラスコ置きとしては重宝するものです。自分でぴったりサイズをみつけて、食べて使えて一石二鳥。

 

続いては、工作編です。工作と言ってもたいして時間をかけず、自分に便利なものに加工しています。

あきばこ:よく使われているパスツールの空き箱をうまく利用したものです。写真は、PTLC置きとヤングシュレンク立てです。単純だけど意外と便利。

 

あきかん:冒頭にあった須貝先生からご紹介いただいた、空き缶です。パスツールなどを使い捨てせずに洗浄した際の乾燥用容器として使えるとのこと。タリーズブラックコーヒーのものがいちばん工作しやすく使いやすいとのこと。ご紹介ありがとうございます。

 

一斗缶のふた:これは研究室の自信作です。毎度溶媒の一斗缶をからにするとでてくる、ふたを名札に簡単DIYしました。乾燥機でガラス器具を乾燥させる際にのステンレス洗浄カゴにこれをかけて使います。誰のカゴか一目瞭然なので便利です。

 

ペットボトル:なんでも使いますが、うちではボトルを半分にきって、上と、下で用途が違います。

 

最後は100均編です。やすいのでためになれば捨てればよいし、自分たちで実験環境を整えるために学生は日々努力しているんですね。
ろうと:そのままの用途ですね。ポリプロピレン製のものならば通常の有機合成化学実験で使う溶媒はとけないので使えます。なかには溶解してしまうものもあるので注意。

 

強力磁石:これは実験のみならず100均ではヒット商品ですよね。実験では撹拌子をフラスコからとるときなどに欠かせない一品です。

 

ふえ:これは共通かどうかわかりませんが、真空マニホールドに流している不活性ガス(窒素・アルゴンなど)の漏れ防止に使ってます。不活性ガスのとめわすれで、なくなって研究できないよ!なんて経験一度はあるかもしれません。まあこの笛がなるぐらいのガスを皆が流しているとすぐになくなっちゃいますね。

 

ドレッシングボトル:これもよく使っているかもしれませんが、かなり便利です。硫酸ナトリウムや硫酸マグネシウムなどの乾燥剤やシリカゲルなどを保管しておく容器として重宝します。

 

耐熱容器:こんな「高級品」でなくてもなんでもいいのですが、湯浴や氷浴につかえます。昔はよくカップラーメンの陽気だとか、購入しても100均のステンレスボールだとかを使っていました。

 

人工芝マット:流しのしたにしきつめておけば、ガラス容器は割れません。これで何度割れる運命のガラス容器が助かったことか。

みなさんの便利グッズも教えて下さい!

というわけで、詳しくは動画をみていただければわかると思います。研究室をざっとあるいて目についたものだけ紹介したので、そんなに目新しいものはないかもしれません。もっと使える小物や、がっつりDIYしたもの、おすすめの100均製品など、みなさんの便利グッズを紹介してください。時間的に余裕があれば、SNSを使ってこれらのコンテストをするかもしれませんし、この動画の続編もつくれるかもしれません。ぜひお願いします!

最近の「試してみたシリーズ」

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ケムステV年末ライブ2021開催報告! 〜今年の分子 and 人…
  2. 有機合成化学協会誌2021年9月号:ストリゴラクトン・アミド修飾…
  3. ケムステ海外研究記 まとめ【地域別/目的別】
  4. 複数のねじれを持つ芳香族ベルトの不斉合成と構造解析に成功
  5. ダイアモンドの双子:「神話」上の物質を手のひらに
  6. 消せるボールペンのひみつ ~30年の苦闘~
  7. 宇宙に漂うエキゾチックな星間分子
  8. 実験する時の服装(企業研究所)

注目情報

ピックアップ記事

  1. 虫歯とフッ素のお話① ~どうして歯磨きにフッ素が使われるの??~
  2. PL法 ? ものづくりの担い手として知っておきたい法律
  3. 危険物に関する法令:行政手続き、許可取り消し
  4. 治療応用を目指した生体適合型金属触媒:② 細胞外基質・金属錯体を標的とする戦略
  5. V字型分子が実現した固体状態の優れた光物性
  6. どっちをつかう?:in spite ofとdespite
  7. イー・タン Yi Tang
  8. 糖鎖クラスター修飾で分子の生体内挙動を制御する
  9. 第21回「有機化学で生命現象を理解し、生体反応を制御する」深瀬 浩一 教授
  10. 第95回―「生物学・材料化学の問題を解決する化学ツールの開発」Ivan Dmochowski教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年9月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

2024年の化学企業グローバル・トップ50

グローバル・トップ50をケムステニュースで取り上げるのは定番になっておりましたが、今年は忙しくて発表…

早稲田大学各務記念材料技術研究所「材研オープンセミナー」

早稲田大学各務記念材料技術研究所(以下材研)では、12月13日(金)に材研オープンセミナーを実施しま…

カーボンナノベルトを結晶溶媒で一直線に整列! – 超分子2層カーボンナノチューブの新しいボトムアップ合成へ –

第633回のスポットライトリサーチは、名古屋大学理学研究科有機化学グループで行われた成果で、井本 大…

第67回「1分子レベルの酵素活性を網羅的に解析し,疾患と関わる異常を見つける」小松徹 准教授

第67回目の研究者インタビューです! 今回は第49回ケムステVシンポ「触媒との掛け算で拡張・多様化す…

四置換アルケンのエナンチオ選択的ヒドロホウ素化反応

四置換アルケンの位置選択的かつ立体選択的な触媒的ヒドロホウ素化が報告された。電子豊富なロジウム錯体と…

【12月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:有機金属化合物 オルガチックスのエステル化、エステル交換触媒としての利用

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

河村奈緒子 Naoko Komura

河村 奈緒子(こうむら なおこ, 19xx年xx月xx日-)は、日本の有機化学者である。専門は糖鎖合…

分極したBe–Be結合で広がるベリリウムの化学

Be–Be結合をもつ安定な錯体であるジベリロセンの配位子交換により、分極したBe–Be結合形成を初め…

小松 徹 Tohru Komatsu

小松 徹(こまつ とおる、19xx年xx月xx日-)は、日本の化学者である。東京大学大学院薬学系研究…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP