[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

Actinophyllic Acidの全合成

[スポンサーリンク]

Total Synthesis of (+/-)-Actinophyllic Acid
Martin, C. L.; Overman, L. E.;  Rohde, J. M. J. Am. Chem. Soc. 2008, ASAP. doi: 10.1021/ja803158y

カリフォルニア大学アーバイン校・Larry Overmanらによる報告です。

この化合物の構造的特徴は、窒素環・インドールが高度に縮環している他のアルカロイドには見られない骨格を有することです。彼らはこの複雑な骨格を、二つの鍵反応を使用することで高効率的に構築しています。

 

まずは、エノラートの酸化的カップリング。塩化鉄(III)DMF錯体を酸化剤として用い、インドールが縮環したアザビシクロ[3.3.1]ノナノン骨格を上手く構築しています。

 

actinophylllic_2.gif

その後ビニル基を付加させ、酸性条件下パラホルムアルデヒドを作用させることで、アザCope転位→分子内Mannich反応のタンデム反応が起こり、目的の縮環構造を効率的に得ることに成功しています。実はこのストラテジーはひと昔前に確立されたもので、縮環構造を持つアルカロイド合成に大変有効[1]であることが分かっています。Overmanらはこのストラテジーを利用し、ストリキニーネ[2]を始めとする数々の難関天然物の合成に成功しています。

 

actinophylllic_3.gif

 

その後数工程の変換を得て、Actinophyllic Acidを合成することに成功しています。無駄な官能基変換を最小限にし、短工程で綺麗に作っている印象です。

 

関連論文

  1.  (a) Overman, L. E. Acc. Chem. Res. 1992, 25, 352. (b) Royer, J.; Bonin, M.; Micouin, L. Chem. Rev. 2004, 104, 2311. DOI: 10.1021/cr020083x
  2.  Knight, S. D.; Overman, L. E.; Pairaudeau, G. J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 9293.

 

関連リンク

cosine

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 【ケムステSlackに訊いて見た④】化学系学生の意外な就職先?
  2. 蒲郡市生命の海科学館で化学しようよ
  3. ハウアミンAのラージスケール合成
  4. Reaxys Prize 2013ファイナリスト45名発表!
  5. ワインのコルク臭の原因は?
  6. 1,2-還元と1,4-還元
  7. 転職を成功させる「人たらし」から学ぶ3つのポイント
  8. アカデミックから民間企業への転職について考えてみる

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. おまえら英語よりもタイピングやろうぜ ~中級編~
  2. 野依記念物質科学研究館
  3. C–NおよびC–O求電子剤間の還元的クロスカップリング
  4. 目指せ!! SciFinderマイスター
  5. 触媒的syn-ジクロロ化反応への挑戦
  6. Stadtfriedhof (ゲッチンゲン市立墓地)
  7. ジャン=マリー・レーン Jean-Marie Lehn
  8. 脱水素型クロスカップリング重合法の開発
  9. アリルオキシカルボニル保護基 Alloc Protecting Group
  10. 変異体鏡像Rasタンパクの化学全合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2008年5月
« 4月   6月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

注目情報

最新記事

がん治療用の放射性物質、国内で10年ぶり製造へ…輸入頼みから脱却

政府は、がんの治療や臓器の検査をする医療用の放射性物質の国内製造を近く再開する。およそ10年ぶりとな…

三洋化成の新分野への挑戦

三洋化成と長瀬産業は、AI 技術を応用した人工嗅覚で匂いを識別する「匂いセンサー」について共同で事業…

ケムステSlack、開設二周年!

Chem-Stationが立ち上げた化学系オープンコミュニティ、ケムステSlackを開設して早くも二…

過酸がC–H結合を切ってメチル基を提供する

光増感剤とニッケル触媒を用いたC(sp3)–Hメチル化が開発された。合成終盤でのメチル化に威力を発揮…

化学の祭典!国際化学オリンピック ”53rd IChO 2021 Japan” 開幕!

2021年7月「オリンピック/パラリンピック 東京2020大会」も無観客ではあるものの無事開幕されま…

O-脱メチル化・脱アルキル化剤 基礎編

メトキシ基→ヒドロキシ基への変換、割と苦戦しますよね。保護基と呼ぶには利便性が数歩足…

マイクロ波化学のカーボンニュートラルや循環型社会におけるアプリケーションや事業状況

当社のマイクロ波プラットフォーム技術および工業化知見を活用し、アクリル樹脂の分解に必要なエネルギーを…

NMRデータ処理にもサブスクの波? 新たなNMRデータ処理ソフトウェアが登場

NMRメーカーである日本電子のイギリス法人、JEOL UKが6月、WindowsとmacOSの両方で…

芳香環交換反応を利用したスルフィド合成法の開発: 悪臭問題に解決策

第 326回のスポットライトリサーチは、早稲田大学理工学術院 山口潤一郎研究室 …

ゼナン・バオ Zhenan Bao

ゼナン(Zhenan Bao, 1970年xx月xx日-)は、アメリカの有機材料科学者、カーボンナノ…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP