[スポンサーリンク]

一般的な話題

【解ければ化学者】ビタミン C はどれ?

[スポンサーリンク]

突然ですが、問題です!

第一問

 抗酸化作用を持ち、老化防止に効果があると言われているビタミンCの構造はどれ?

第二問

砂糖の主成分であるスクロースの構造はどれ?

 

 

さっそく正解と解説に移っても良いのですが、問題のすぐ下に答えを乗せてしまうと間違って答えを見てしまう恐れがあるので、少し間を挟みます。なお、ジグザクした化学構造式の見方について、本記事の最後で解説しておりますので、この記事を読んで「分子の構造を眺めてみるのは面白いな」と思った方は、ぜひ最後の解説を読んでいただけると、理解が深まるかと思います。構造式の見方の要点だけを説明すると、ジグザグ表記の中では折れ曲がった部分や先端の部分が炭素原子 C が存在し、炭素に結合した水素原子は描かれていません。

 

 

 

では、正解発表です。

第一問

 抗酸化作用を持ち、老化防止に効果があると言われているビタミンCの構造はどれ?

正解は、構造の中に OH という部分構造を多く含む 1 でした。料理番組で、「ブロッコリーなどを茹でて調理すると、ビタミン C が失われる」といった説明を聞いたことはありませんか? この事実が、この問題を解くための鍵です。つまりビタミン C は水溶性ビタミンなのです。選択肢の中から水に溶けやすそうな選択肢を選べば正解になりました。

ではどのように水に溶けやすい分子を見分ければよいのでしょうか。実はとっても簡単です。構造の中に OH 基を多く含む分子は、水に溶けやすいのです。その理由をざっくりとかみ砕いて説明すると、水の化学式が H2O であり、OH を多く持つ分子を仲間と認識するからです。

逆に、炭素や水素だけで構成されているような分子は水に溶けにくく、その代わりに油に溶けます。たとえば、他の選択肢である 2 および 3 はビタミン A とビタミン E ですが、どちらも脂溶性ビタミンに分類されています。なぜなら、OH のような水に溶ける部分構造をほとんど持たないからです。

第二問

砂糖の主成分であるスクロースの構造はどれ?

第1問で水に溶ける分子を見分けれらるようになった賢明な読者のみなさんには、この問題の解説は不要ですね。砂糖は水に溶けるので、構造の中に OH 基を含む 2 が正解でした。ちなみに 1 は柑橘類に含まれ、レモンの匂いの成分であるリモネンで、3 はオリーブ油の主成分であるオレイン酸でした。どちらも主に炭素と水素から構成されており、水に溶けにくいです。

終わりに: 分子の構造を知るのは面白い

というわけで、身の回りの化学物質の分子の性質から構造を推定するクイズを出題いたしました。普段からケムステを読んでいる皆さんにとっては簡単すぎましたか? そうでない初めましてのみなさんは、お楽しみいただけたでしょうか。難しすぎたでしょうか。

化学の専門家でもない限り、化学の構造式は難解な図にしか見えないかもしれません。しかし、化学の簡単なルールさえ知っていれば、構造式を詠み、その化学物質の性質を予想することができます。また機会があれば、このような化学クイズを出題し、化学式の詠み方を紹介したいと思います。

補足: 線構造式の見方

ジグザクの化学構造式は、線構造式と呼ばれます。線構造式は、複雑な分子の構造を書く際に情報を省略しつつも、分子の性質についての本質的な部分を残した表記方法になっています。お酒のアルコール成分であるエタノールを例に説明しましょう。エタノールの構造を丁寧に省略せずに記したものと、これをジグザグ表記に省略したものを下に示します。

省略せずに書いた式は、9つの原子が丁寧に描かれているのですが、逆に全ての原子を認識するのに時間がかかってしまいます。一方、ジグザグの式では、2つの原子 (O と H) しか示されていません。一見すると不親切なのですが、情報量が少ないぶん、一瞬で全体を認識できます。ジグザグ表記から、もとの完全な構造式を知るためには次のように考えます。

まずジグザグ表記の中では、折れ曲がった部分や先端の部分が炭素原子 C に対応します。ただし、炭素原子は結合の手を 4 本もつはずなので、折れ曲がった部分と先端の部分を C に書き換えただけでは不完全です。炭素の手が 4 本になるように、水素原子を足してやれば、省略しない構造式に復元できるのです。エタノールは原子の数が9つだけなので、ジグザグ表記に省略する恩恵は少ないですが、原子数が数十となってくると、いちいち全ての原子を書くのが大変になるため、ジグザグの構造式が威力を発揮します。

お詫び

記事公開直後に掲載しておりましたビタミン A の構造に一部誤りがありました。訂正してお詫びいたします。(平成30年12月25日)

関連記事

関連書籍

やぶ

やぶ

投稿者の記事一覧

PhD候補生の候補生として無機材料を研究しています。Chem-Station を見て育った学生として、このコミュニティをより盛り上げていきたいです。高専出身。Twitter はじめました (下の Twitter のバナーでリンクがつながります)。ケムステ記事にはならないような些細なことを不定期につぶやきます。

関連記事

  1. 既存の農薬で乾燥耐性のある植物を育てる
  2. 金属を使わない触媒的水素化
  3. 天然物生合成経路および酵素反応機構の解析 –有機合成から生化学へ…
  4. 分子の聖杯カリックスアレーンが生命へとつながる
  5. ケミカル・ライトの作り方
  6. 耐薬品性デジタルマノメーター:バキューブランド VACUU・VI…
  7. 有機合成化学協会誌2019年12月号:サルコフィトノライド・アミ…
  8. 世界初!反転層型ダイヤMOSFETの動作実証に成功

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学の力で迷路を解く!
  2. 界面活性剤 / surface-active agent, surfactant
  3. ルイス酸添加で可視光レドックス触媒の機構をスイッチする
  4. キセノン (xenon; Xe)
  5. 武田薬品、週1回投与の骨粗鬆症治療薬「ベネット錠17.5mg」を発売
  6. テルペンを酸化的に”飾り付ける”
  7. ChemDrawの使い方【作図編②:触媒サイクル】
  8. 「電子の動きを観る」ーマックスプランク研究所・ミュンヘン大学・Krausz研より
  9. バイエルスドルフという会社 ~NIVEA、8×4の生みの親~
  10. 信越化学1四半期決算…自動車や電気向け好調で増収増益

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

注目情報

注目情報

最新記事

高機能性金属錯体が拓く触媒科学:革新的分子変換反応の創出をめざして

(さらに…)…

フィブロイン Fibroin

フィブロイン(Fibroin)は、繭糸(シルク)の主成分であり、繊維状タンパク質の一種である。…

「もはや有機ではない有機材料化学:フルオロカーボンに可溶な材料の創製」– MIT・Swager研より

ケムステ海外研究記の第36回はマサチューセッツ工科大学(MIT)化学科のPhD課程に在籍されている吉…

八木 政行 Masayuki Yagi

八木 政行(やぎ まさゆき、Yagi Masayuki、1968年 -)は、日本の化学者である (写…

有機化学を俯瞰する –古代ギリシャ哲学から分子説の誕生まで–【前編】

本連載では、生命体を特別視する "生気説" が覆されたことにより、有機合成化学の幕が開いたことについ…

第92回―「金属錯体を結合形成触媒へ応用する」Rory Waterman教授

第92回の海外化学者インタビューは、ロリー・ウォーターマン教授です。バーモント大学化学科に在籍し、有…

第五回ケムステVシンポジウム「最先端ケムバイオ」を開催します!

コロナウイルスの自粛も全国で解かれ、日本国内はだいぶ復帰に近づいてました(希望的観測)。しかし今年度…

ボロン酸エステルをモノ・ジフルオロメチル基に変える

ボロン酸エステルを原料としたモノ、ジフルオロメチル化反応が開発された。立体特異的に進行する本反応では…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP