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化学者のつぶやき

サーモサイエンティフィック「Exactive Plus」: 誰でも簡単に精密質量を!

 

研究室に置いてあるGC-MSやLC-MSのような質量分析装置(mass spectrometer, MS)は大型機器室に置いてあるような大型MSと比べてコンパクトで使いやすいですが、未知化合物の組成式を精密質量から推定することは困難です。

装置のスペック上、整数質量から合成確認することがせいぜいです。研究生活ではNMR等では決定しきれない未知化合物が日々作りだされます。

「未知化合物の組成式を推定できれば研究が進むのに、GC-MSのデータでは組成がわからない!」

このような問題、ありませんか?

そんな問題を解決する装置「Exactive」がサーモフィッシャーサイエンティフィック社から販売されています。EXACTIVEが開発されるまで、「研究室に置けるサイズの高質量精度MSは存在しなかった」のです。そして、質量精度が高いMSは日々の研究に必要不可欠です。今回はこのExactiveについて紹介させていただきます。

*本記事は名古屋大学ITbMモレキュラーストラクチャーセンターのチーフコーディネーターに執筆をお願いさせていただいたものを、編集し公開しています。

これまでのMSと何が違う?

これまでの精密質量MSのイメージは、

「NMR等ですでに構造決定した化合物をきっちり精製して精密質量を測定する」

でした。つまり、構造未知な有機化合物とか、抽出してきた天然物のように検討もつかない化合物をMSで構造決定することは困難でした。

ところが、同社がExactiveの心臓部であるオービトラップテクノロジーを開発したことで

誰でも・簡単に・精密質量を・外部標準法で(ここも大切!)」測定することができるようになったのです。

exactive1.png 

 Exactiveは精密質量をとれる

精密質量がとれる装置は何故、化合物の構造決定ができるのか?

MSのデータはどうしてもばらつきます。整数質量での測定はだれでも簡単にできるのですが、精密質量測定となると、「測定室に依頼してデータをとってもらう」印象がまだ強いのではないでしょうか?

測定室の熟練したスタッフならば精密質量をズバリゲットできるかと思うとそうでもないです。装置の構造上、どうしてもばらつくのです。そのため、化合物の種類と装置に依りますが、測定室のスタッフも苦労して精密質量を測定しています。

ところが、オービトラップを搭載したExactiveは精密質量をばらつくこと無く測定できます。装置スペックでは3ppmの誤差と記載されていますが、3ppmずれる時にも規則性があるので、組成式の候補の中から絞り込むことができます。
exactive2.png

 

 

Exactiveの操作性

このように「スゴい装置」ですが使い方はいたって簡単です。こちらの研究所(名古屋大学ITbM)では、簡易マニュアルを作って運用していますが、それを見れば誰でも測定できています。

thermo5.png

 高分解能で複雑サンプルも分離する

分解能は、改良型の「Exactive Plus」で14万とTOF型装置より一桁高い分解能を有しています。従って、混合物でもピークを分離して検出することができますし、炭素(13C)や硫黄(34S)など、これまでひとつのピークとしてみていた同位体ピークも分子量や組成にもよりますが、ある程度分離もできるので、化合物の構造推定に役立ちます。そして高感度です。

exactive4.png

Exactiveのメンテナンス

MSは破壊分析なので、メンテナンスが大変!の印象がありますが、Exactiveはメンテナンスも容易です。サンプルによってもっとも汚れる部分は装置の入り口に相当するトランスファーチューブですが、装置をシャットダウンしなくても簡単に洗浄(超音波洗浄でOK!)できます。そして頑丈な作りなので微量サンプルでなければ神経質になることなく測定できます。

exactive5.png

装置まとめ(良い点)

・精密質量を外部標準法でとれるし精度がずば抜けてよい

・質量精度を数日など長期間維持できる

・分解能が高い

・感度が高い

・使いやすいソフトウエア

・簡単なメンテナンス

 

欠点はないの?

このように書きますと、この上ない装置に見えますが、欠点ももちろんあります。

 

・まず、高価です。ただでさえ高価なMSですが、それよりさらに高い。値引きは他社と比較してあまり期待できません。

・維持費がかかる。高価な部品がぎっしり詰まっています。故障しやすい基盤などは、科研費(基盤C)の1年分の予算が消える程高価です。部品代は外資系らしく大分高いです(その割に、保守契約は比較的まともな値段)。

・温度に敏感。 オービトラップをペルチェ素子で温度制御しています。したがって急激な温度変化には対応できず、そして高温になると測定ができなくなるのみならず、故障しやすいです。

 

このように高価なExactiveですが、述べましたように魅力満載の装置です。イオン源として、サンプルをかざすだけで測定ができるDART(エーエムアール株式会社が販売)も搭載できるなど、他社のオプション製品との相性も良いので、スペシャル用途にも対応しやすい柔軟なつくりです。

ご興味がある方、サーモフィッシャーサイエンティフィックにお問い合わせしてみてはいかがでしょうか?

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住所:〒221-0022 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3-9 C-2F

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院准教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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