[スポンサーリンク]

一般的な話題

研究助成情報サイト:コラボリー/Grants

[スポンサーリンク]

 

研究者にとって、研究費の獲得は自分の研究を継続するために大変重要なお仕事です。大金持ちのパトロンに研究資金をいただいています!、という状況があれば話は別ですが、そんな話はあるわけがなく、毎年科研費や企業や財団の助成金を申請するのが常でしょう。最近では山中伸弥教授がマラソンを通じてiPS細胞研究への募金をつのり話題となったクラウドファンディング(インターネットを通じて)などがありますが、まだまだ研究者が集めることができる研究費は微々たるものです。

ところで、皆様はどのように助成金の情報を仕入れているのでしょうか?大学機関に所属ならば、毎日来るメールからまたは大学内にある外部資金情報ウェブサイトでしょうか。しかし、山のように送られてくる日常メールの中に埋もれた自分に適した助成金情報を探すのは困難です。そもそもその情報、研究分野に関わらず送られてくるのでほぼ迷惑メールに入れたいぐらい。大学の資金情報ウェブサイトは学内締め切りが記載してあるのが利点ですが、肝心の助成金の情報は各HPをみてくださいとという状況。そもそも研究機関で独自の助成金情報サイトを管理/運営するのも色々な意味で大変だとも思います。

さて、ちょっと前置きが長くなりましたが、今回は研究者の方々に活用できる、助成金情報ウェブサイト「コラボリー/Grants」を紹介したいと思います。

 

コラボリー/Grantsとは?

siteHeaderLogo

 

ちょうど1年ほど前に公開された、研究者向けに助成金の公募情報を検索できるウェブサイトです。ロゴにあるようにいまだベータ版らしいですが、いまのところすべて無料で調べることが可能です。運営会社はジー・サーチ。富士通の子会社のようで、様々なデータベースを所有していてその活用の一環でこのようなサイトが開いているのではと推測します。現在登録されている助成金情報は3000件以上。おそらくこれ以上の助成金データベースはないと思われます。なにはともわれ、どんなことができるのかみてみましょう。

 

キーワード検索ができる

これはできてくれないと困りますが、トップページから簡単にキーワード検索ができます。詳細検索機能を使えばかなり細かく検索もできるようです。ひとまず、「有機化学」というキーワードで検索してみました。かなり検索結果のレスポンスは速いです。結果が上位のものをみてみると、「募集前」というものがでてきました。どうやら、毎年募集されているような助成金情報は募集前にも検索がかかるようになっているようです。これは便利。

2015-07-29_02-35-39

とりあえず「有機化学」というキーワードで検索してみた

 

詳細をみてみると、通常の助成金情報に加えて、採択者統計、つまり採択実績や採択総額などをみることが可能です。調べてみるとどうやら17万件以上の採択実績情報が登録されているようです。さらに、詳細をみてみると、採択者の情報までこのサイトで一元的にみることが可能でした。

 

2015-07-29_02-45-06

採択者情報もみることが可能

採択者名でも検索できる

採択者情報がみれるのならば、ある研究者の個人の採択者情報も検索できるのでは?と思い、検索してみました。具体的には、「詳細検索」ー「採択実績から探す」から自分の名前を入れてみました。すると…やっぱりでてきました。取得助成金、年度、取得額、タイトルが科研費の取得情報も含めて出力されています。ということは科研費の種目別でも検索できるので科研費データベースもいらないですね。こういうことができると、例えば同じ分野の○○さんはどんな助成金をとっているのかな?同じものに応募したいな。といった際に大変役に立ちます。

 

助成金取得者の研究者名でも検索可能

助成金取得者の研究者名でも検索可能

 

Myアラート、お気に入り登録できる

会員登録が必要となりますが(無料)、欲しいキーワード等で助成金情報を登録しておけば、条件に合致する公募情報や採用実績をメールでお知らせしてくれるようです。また、募集要項や、採用実績をブックマークに登録も可能で、検索結果やアラート結果をみてきになるものを登録できるといった機能も備えています。ちなみに会員登録も簡単です。

ブックマーク機能。試しにお気に入りにいれてみた。

ブックマーク機能。試しにお気に入りにいれてみた。

 

研究資金に関する情報も

同じコラボリーで、コラボリー/Beats!というのがあり、そちらの方では、助成サイドのストーリーや、サイエンスカフェ、研究者や助成団体へのインタビューなど、研究資金に関する情報が日常的に更新されているようです。こちらも、手が空いた時に見てみてはいかがでしょうか。

コラボリー/Beats!概要

コラボリー/Beats!概要

 

というわけで、今回は研究者に役立つ助成金検索サイトをお伝えしました。1年前から公開されているので知っている方もいると思いますが、機関の助成金情報で充分と考えて、使われていなかった方がいるのではないでしょうか(私はその一人です)。お時間のある時にちらっと覗いてみるだけでもいいと思いますよ。余談ですが、できれば大学がこのデータベースを採用してくれればいいのに…と思う今日この頃です。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4758120595″ locale=”JP” title=”科研費獲得の方法とコツ 改訂第4版〜実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略”][amazonjs asin=”4901496743″ locale=”JP” title=”採択される科研費申請ノウハウ―審査から見た申請書のポイント”]

 

外部リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 中学生の研究が米国の一流論文誌に掲載された
  2. 研究室の大掃除マニュアル
  3. 低温低圧・常温常圧窒素固定の反応開発 最新情報サマリー その1
  4. 不斉アリル位アルキル化反応を利用した有機合成
  5. クロスカップリング反応ーChemical Times特集より
  6. 第15回ケムステVシンポジウム「複合アニオン」を開催します!
  7. マテリアルズ・インフォマティクスの基本とMI推進
  8. イミノアルキンと共役ジエンの形式的[4+1]アニュレーションによ…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学企業のグローバル・トップ50が発表【2018年版】
  2. 多環式骨格を華麗に構築!(–)-Zygadenineの不斉全合成
  3. picoSpin世界最小NMRシステムの販売開始
  4. 【10月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:有機金属化合物 オルガチックスを用いたゾルゲル法とプロセス制御ノウハウ(2)
  5. カーボンナノベルト合成初成功の舞台裏 (1)
  6. フタロシアニン phthalocyanine
  7. 日本酸素記念館
  8. 光と励起子が混ざった準粒子 励起子ポラリトン
  9. マーシャル プロパルギル化 Marshall Propargylation
  10. 金子 弘昌 Hiromasa Kaneko

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP