[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

佐藤英祐 Eisuke SATO

[スポンサーリンク]

佐藤 英祐(さとう えいすけ, 199011)は、日本の有機合成化学者である。専門分野は有機合成化学、有機電解合成、天然物化学。岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域 助教。第60ケムステVシンポ講師。

経歴

2013 慶應義塾大学理工学部化学科 卒業
2015 慶應義塾大学大学院理工学研究科 修士課程修了
2018 慶應義塾大学大学院理工学研究科 博士課程修了 博士(理学)
2017– 日本学術振興会特別研究員DC2
2018– 日本学術振興会特別研究員PD (学位取得に伴う資格変更)
2018– Alexander von Humboldt財団 博士研究員 (Johannes Gutenberg University Mainz, Till Opatz教授)
2020– 岡山大学大学院自然科学研究科 助教
2021– 岡山大学学術研究院自然科学学域 助教 (組織改組)
2023– 岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域 助教 (組織改組, 現職)

受賞歴

2025 有機電子移動化学奨励賞
2021 有機合成化学協会 塩野義製薬研究企画賞
2018 日本化学会第98春季年会 学生講演賞

研究業績

. 有機電解合成法によるインドール化合物の骨格変換

有機電解合成法は電気の力を駆動力として酸化還元反応を実現し、環境低負荷な合成手法として注目を浴びている。中でも酸化還元反応を媒介する電解メディエーターを用いた間接電解法は、選択的な酸化還元を実現する手法として活用されてきた (総説:Francke, R.; Little, R. D. Chem. Soc. Rev. 2014, 43, 2492. Lin, S. et al. Chem. Soc. Rev. 2023, 52, 8106. Mitsudo, K. Suga, S. et al. Eur. J. Org. Chem. 2023, 26, e202300835.)。

このような背景のもと、佐藤らはインドール化合物の陽極酸化を用いた骨格変換についての研究に取り組んできた。例えば、テトラヒドロカルバゾールに対して、臭化物イオンの存在下で陽極酸化を行うと、脱水素型の芳香族化反応が進行してカルバゾールが得られることを見出した[1]。最近では、より複雑な分子骨格の構築を目指して、天然有機化合物の生合成に倣った酸化的な骨格変換にも取り組んでいる。図に示したような共通中間体に対して、ヨウ化物イオンをメディエーターとした陽極酸化を行うと、mavacurane型のインドールアルカロイド骨格が形成できたのに対し、フェロセンを用いるとakuammiline型の骨格形成が可能であった[2]

2. 電気の力を触媒として活用する化学反応の開発

電気の力を触媒として利用する反応は、一般的な酸化還元反応を引き起こす有機電解合成法と異なり、電解質溶液中に僅かに導入された電子 (あるいは正孔)が触媒として働く。このような電子移動触媒型の化学反応は、効率的な合成プロセスへの展開が期待されるばかりでなく、その反応メカニズムについても興味を持たれてきた。

佐藤らは、陰極還元を駆動力としたカルボニル化合物の変換反応に取り組み、シアノシリル化反応[3]やアルキニル化反応[4]、シアノメチル化反応[5]といった付加反応が、触媒量の通電で完結することを報告した。また、これらの反応の一部はフロー電解系へと展開された。

名言集

コメント&その他

関連動画

 

関連文献

[1] Sato, E.; Yukiue, A.; Mitsudo, K.; Suga, S. Org. Lett. 2023, 25, 5339. DOI: 10.1021/acs.orglett.3c01914.

[2] Sato, E.; Nakahama, T.; Nomura, Y.; Mitsudo, K.; Suga, S. Org. Lett. 2025, 27, 11818. DOI: 10.1021/acs.orglett.5c03645.

[3] Sato, E.; Fujii, M.; Tanaka, H.; Mitsudo, K.; Kondo, M.; Takizawa, S.; Sasai, H.; Washio, T.; Ishikawa, K.; Suga, S. J. Org. Chem. 2021, 86, 16035. DOI: 10.1021/acs.joc.1c01242.

[4] Sato, E.; Fujii, M.; Mitsudo, K.; Suga, S. ChemElectroChem 2024, 11, e202300499. DOI: 10.1002/celc.202300499.

[5] Sato, E.; Tani, A.; Miyao, T.; Kunimoto, S.; Takizawa, S.; Mitsudo, K.; Suga, S. Chem. Eur. J. 2025, 31, e202501257. DOI: 10.1002/chem.202501257.

関連書籍

関連リンク

Researchmap 佐藤英祐
岡山大学 合成プロセス化学研究室:菅研究室

Macy

投稿者の記事一覧

有機合成を専門とする教員。将来取り組む研究分野を探し求める「なんでも屋」。若いうちに色々なケミストリーに触れようと邁進中。

関連記事

  1. 国武 豊喜 Toyoki Kunitake
  2. 服部 倫弘 Tomohiro Hattori
  3. クリストフ・レーダー Christoph Rader
  4. サラ・E・リースマン Sarah E. Reisman
  5. ケムステ版・ノーベル化学賞候補者リスト【2017年版】
  6. ヨン・ピエール Jorn Piel
  7. 宮浦憲夫 Norio Miyaura
  8. 山本明夫 Akio Yamamoto

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第95回―「生物学・材料化学の問題を解決する化学ツールの開発」Ivan Dmochowski教授
  2. 海外の教授にメールを送る-使える英語表現と文例
  3. インドールの触媒的不斉ヒドロホウ素化反応の開発
  4. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑨:トラックボールの巻
  5. Ru触媒で異なるアルキン同士をantiで付加させる
  6. 有機合成化学の豆知識botを作ってみた
  7. 水-有機溶媒の二液相間電子伝達により進行する人工光合成反応
  8. リンだ!リンだ!ホスフィン触媒を用いたメチルアミノ化だ!
  9. 第169回―「両性分子を用いる有機合成法の開発」Andrei Yudin教授
  10. 2018年 (第34回)日本国際賞 受賞記念講演会のお知らせ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2026年4月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

付加重合でポリアミドを作る!?:多段階ラジカル異性化による新たなポリマー主鎖構築

第706回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(大内研究室)に所属されていた黒田啓太…

第33回光学活性化合物シンポジウム

第33回光学活性化合物シンポジウムのご案内光学活性化合物の合成および機能創出に関する研究で顕著な…

Carl Boschの人生 その13

Tshozoです。 少し唐突ですが最初に大事なお知らせを。世界トップの化学会社BASFがCarl…

ラングミュアの吸着等温式 Langmuir equation

ラングミュアの吸着等温式 (Langmuir equation) は、等価な吸着サイトが独立に振舞い…

【化学・食品業界向け】 蒸留による分離・濃縮をシンプルで省エネに ~無機分離膜が起こすイノベーション~

■概要ものづくりにおいて重要な分離操作。有機溶剤の混合物の分離リサイクル。水の分離(脱水…

濃硫酸の1000倍強い超酸の中でも蛍光を保ち続ける”超酸耐性BODIPY”

第705回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院総合化学院(反応有機化学研究室)博士後期課程2…

安田修祥・裕美子 若手化学者留学支援事業

大学院生時代の経験として、海外留学は本当に素晴らしいものです。かくいう私も、1か…

有機合成化学協会誌2026年5月号:特集号 有機合成化学の力で切り拓く次世代モダリティの地平

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年5月号がオンラインで公開されています。…

チームディレクター募集(理化学研究所研究室主宰者、無期雇用職)

募集研究室理化学研究所 環境資源科学研究センター募集の概要国立研究開発法人理化学研究所で…

<製品サンプル進呈>細胞増殖/毒性測定 はじめてを応援キャンペーン【同仁化学研究所】

Cell Counting Kit-8(CCK-8)は同仁化学研究所で開発され、世界中で細胞増殖や細…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP