[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

密着型フィルムのニューフェイス:「ラボピタ」

日々、化学実験をしていると、いろんなサンプルが出来てきます。普通はバイアルやフラスコに入れてフタをして保存しますが、密閉性を高めるためにパラフィルムを巻くラボ文化のところも多いでしょう。

キムワイプ同様、これ無しでは実験が考えられない!となる製品の一つだと思いますが、これもプロワイプのような代替品はないのでしょうか?

実はごく最近発売されました。

今回はその商品、「ラボピタ」をご紹介したいと思います。

 

ラボピタ vs パラフィルム スペック比較

ラボピタとは、2015年5月にニプロから発売されたパラフィン性フィルムです。

ニプロはご存じの通り、医療機器事業で信頼を得ている、古参の純国産会社です。パラフィルムは医療・バイオ系でもよく使う製品なので、そもそもはそちらの市場で対抗を意図して作られたのではないかと推測します。

両者を簡単に比較してみたのが以下の表です。

labopita_4
まず市販サイズに違いがあります。ラボピタには2cm幅の製品があり、試験管や小サイズのバイアルなどに適したサイズになっています。小さな器具を扱うことが多い和製ラボにとって、大変嬉しい仕様です。4インチのパラフィルムは大きすぎるため、どうカットして良いかが悩みどころだったのではないでしょうか。

また、手で簡単にカットできる作りにもなっており、5cm幅のものはミシン目付きでさらにカットしやすくなっています。離型紙がないので、紙ゴミがでないのも地味に良い点です。

単位面積(1メートル平方)で計算して定価比較してみると、値段はさほど変わらないことが分かります。代理店/仲介業者との交渉次第では、パラフィルムより安く仕入れることも十二分に可能だと思われます。

 

現場での試用結果と感想

筆者が実際に試用・比較実験してみたところ、カタログから読み取れる上記の点以外にも、数多くのメリットがあると感じました。

もっとも特筆すべきは耐薬品性(耐溶媒性)です。明らかにパラフィルムよりも優れており、少々の溶媒接触では強度が落ちません(もちろん長く晒すと溶けますが・・・)。有機溶媒ですぐ溶けてしまうパラフィルムの扱いにお困りの方も多かったことと思います。ラボピタはそこのストレスをだいぶ軽減してくれそうです。

labopita_3s
また耐熱性にも優れています。ドライヤーであぶってみただけではありますが、割と違いがあるようです。パラフィルムを巻いたまま容器を加熱して溶けてしまった!というケースも”現場あるある”だと思うのですが、ラボピタではそのような使い方も出来なくは無い?かもしれません(試してないですが・・・)。

labopita_2s

延性については両者差がありませんが、伸ばした後の接着力はラボピタに軍配が上がる印象です。その反面、場合によっては少し剥がしにくいかも?とも感じますが。

labopita_1s

耐水性、密閉性も比較してみましたが、両者に差はありませんでした。

長期使用による経年劣化耐光性の違いについては検討できていませんが、パラフィルムからしてそもそも長期保存用途に向くものではありません。そのつもりで考えておけばいいのではないかと思います。

 

まとめ

以上をまとめますと、ラボピタはパラフィルムがもつ「現場視点で困ったところ」を上手くくみ取り開発された製品であるという印象です。さすがに純国産製品ならではのきめ細かさが香りますね。

とりわけ耐薬品性があるので、化学系ラボではパラフィルムより快適に使えそうだという実感をもちました。

ひと巻きからバラで買えるようなので、皆さんのラボでも是非試してみてはいかがでしょう。

 

関連リンク

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 金属を使わない触媒的水素化
  2. 計算化学:基底関数って何?
  3. 2011年ノーベル化学賞予測―トムソン・ロイター版
  4. Callipeltosideの全合成と構造訂正
  5. HTML vs PDF ~化学者と電子書籍(ジャーナル)
  6. 信じられない!驚愕の天然物たち
  7. 息に含まれた0.0001%の成分で健康診断
  8. ケイ素半導体加工に使えるイガイな接着剤

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. バトフェナントロリン:Bathophenanthroline
  2. ハニートラップに対抗する薬が発見される?
  3. 分子モーター / Molecular Motor
  4. 2009年9月人気化学書籍ランキング
  5. 2005年5月分の気になる化学関連ニュース投票結果
  6. 「さびない鉄」産業界熱視線
  7. 有機EL、寿命3万時間 京セラ開発、18年春に量産開始
  8. ホウ素ーホウ素三重結合を評価する
  9. 野崎 一 Hitoshi Nozaki
  10. 【読者特典】第92回日本化学会付設展示会を楽しもう!PartII

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

シクロペンタジエニル錯体の合成に一筋の光か?

β-炭素脱離を用いるシクロペンタジエニル(Cp)錯体の新たな調製法が報告された。本法により反応系中で…

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP