[スポンサーリンク]

ケムステニュース

「発明の対価」8億円求め提訴=塩野義製薬に元社員-大阪地裁

[スポンサーリンク]

ロスバスタチンカルシウム


製薬大手、塩野義製薬(大阪市)の元社員渡辺正道さん(59)=大津市=が6日、「高脂血症治療薬クレストールの主成分発明に見合う対価が支払われていない」として、同社を相手に約8億7000万円を求める訴えを大阪地裁に起こした。
訴状などによると、渡辺さんは1966年から2003年まで同社に研究員などとして勤務。91年、他の従業員3人と共同でクレストールの主成分「ロスバスタチンカルシウム」を発明した。
塩野義は同成分を含む物質に関する特許を申請し、97年に取得。塩野義から特許の独占的実施権の許諾を得た英アストラゼネカ社が製品開発を進め、日本と欧米でクレストールを発売した。塩野義は04年から06年前半までに計約203億円に上る特許権使用料収入を得たという(引用:
時事通信社)。

 

クレストール(CRESTOR)は高脂血症治療薬です。高脂血症治療薬といえば最も有名なものはファイザーのリピトールですが、そのリピトールと分子構造も非常に類似しています。下の構造式を見ていただければわかると思いますが、リピトールのピロールがピリミジンに、アミド部位がスルホンアミドになっているだけです。リピトールと同様に天然物でなく人工的な合成によって作られています。

 

Rosuvastatin Calcium

今回の訴訟はクレストールを開発した渡辺さんが起こしたものですが、特許取得料として計1万5千円しかもらっていなかったそうです。その後、社内の改定により2005年に約1500万円の報奨金が当てられるはずでしたが、それでは発明の対価としては少ないとして訴訟を起こしました。

 

1500万円。3人での特許ですので、それぞれ1500万円とはいわなくともそれなりにもらえるはずです。意外と多いと思いますが、どうでしょう?

 

確かに研究者としては応援したい気分にはなりますが、製薬会社で安定した収入を得て、研究を継続できたことを考えると、そのぐらいなのでは?と思ってしまいます。ただ、後々の研究者のモチベーションを挙げるためにもがんばってほしいという気持ちもあります。どっちなんだ?と思われるかもしれませんが、実際状況がわからないだけに難しいです・・・。

 

関連書籍

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 旭化成ファインケム、新規キラルリガンド「CBHA」の工業化技術を…
  2. 日本化学会、論文無料公開へ新方式
  3. モザイクワクチン HIVから人類を守る救世主となるか
  4. 武田薬品工業、米バイオベンチャー買収へ 280億円で
  5. 杏林製薬 耳鳴り治療薬「ネラメキサン」の開発継続
  6. 2006年度ノーベル化学賞-スタンフォード大コンバーク教授に授与…
  7. ITを駆使して新薬開発のスピードアップを図る米国製薬業界
  8. 2008年ウルフ賞受賞者発表

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 生物活性分子のケミカルバイオロジー
  2. 第15回光学活性シンポジウム
  3. 化学者のためのエレクトロニクス講座~めっきの原理編~
  4. ピレスロイド系殺虫剤のはなし
  5. 植物たちの静かな戦い
  6. 秋の味覚「ぎんなん」に含まれる化合物
  7. DNA origami入門 ―基礎から学ぶDNAナノ構造体の設計技法―
  8. 住友化学、Dow Chemical社から高分子有機EL用材料事業を買収
  9. 水島 公一 Koichi Mizushima
  10. ブラッテラキノン /blattellaquinone

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年3月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

先端事例から深掘りする、マテリアルズ・インフォマティクスと計算科学の融合

開催日:2023/12/20 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

最新の電子顕微鏡法によりポリエチレン分子鎖の向きを可視化することに成功

第583回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 陣内研究室の狩野見 …

\脱炭素・サーキュラーエコノミーの実現/  マイクロ波を用いたケミカルリサイクル・金属製錬プロセスのご紹介

※本セミナーは、技術者および事業担当者向けです。脱炭素化と省エネに貢献するモノづくり技術の一つと…

【書籍】女性が科学の扉を開くとき:偏見と差別に対峙した六〇年 NSF(米国国立科学財団)長官を務めた科学者が語る

概要米国の女性科学者たちは科学界のジェンダーギャップにどのように向き合い,変えてきたのか ……

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2025卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

細胞代謝学術セミナー全3回 主催:同仁化学研究所

細胞代謝研究をテーマに第一線でご活躍されている先生方をお招きし、同仁化学研究所主催の学術セミナーを全…

マテリアルズ・インフォマティクスにおける回帰手法の基礎

開催日:2023/12/06 申込みはこちら■開催概要マテリアルズ・インフォマティクスを…

プロトン共役電子移動を用いた半導体キャリア密度の精密制御

第582回のスポットライトリサーチは、物質・材料研究機構(NIMS) ナノアーキテクトニクス材料研究…

有機合成化学協会誌2023年11月号:英文特別号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2023年11月号がオンライン公開されています。…

高懸濁試料のろ過に最適なGFXシリンジフィルターを試してみた

久々の、試してみたシリーズ。今回試したのはアドビオン・インターチム・サイエンティフィ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP