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一般的な話題

有機合成化学協会誌2025年12月号:ホウ素二置換カルベン・不斉水素化・湾曲型両親媒性分子・プロセス化学におけるフロー合成・ヒドロシリル化

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有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年12月号がオンラインで公開されています。

5件の総合論文(うち1件はプロセス化学に関する企業からの報告)に加え、北村先生(九工大)の「感動の瞬間」が掲載されています。

会員の方は、それぞれの画像をクリックすると、J-STAGEを通じてすべて閲覧できます。

巻頭言:AIを越えて [オープンアクセス]

今月号の巻頭言は、東京工業大学 高田十志和 名誉教授による寄稿記事です。

寄稿内で論じられているように良い「アイデア」を出すことがこれから化学者に求められることのように思われます。

ホウ素二置換カルベン/カルベノイドの化学

澁谷勇希、楠本周平*野崎京子(*東京都立大学大学院理学研究科化学専攻)

炭素二価化学種であるカルベンは古くから知られる一方で、今もなお化学者に新しい話題を提供し続けている。著者らが開発した環状ホウ素二置換カルベン(ジボリルカルベン,3,4-ジアザ-2,5-ジボラシクロペンタン-1-イリデン)は、稀有なs0p2型電子配置をもっている。その構造や反応性に関する知見は、必見である。

独自のルテニウム錯体触媒を用いる不斉水素化反応とシアノ化反応の開拓

大熊 毅*(北海道大学大学院工学研究院応用化学部門

2024年度有機合成化学協会賞(学術的なもの)受賞

2024年度の有機合成化学協会賞を受賞した著者が、ライフワークとする触媒的不斉水素化・シアノ化についてまとめた、至極の総合論文です!20以上もの優れたルテニウム錯体触媒について、開発の経緯や触媒設計指針を知ることができます。触媒反応開発や不斉合成研究に携わる学生諸君や若手研究者の皆さん、必読ですよ!

湾曲型両親媒性分子からなる新型ミセルの設計と空間機能

橋本義久、田中裕也、吉沢道人*(東京科学大学総合研究院化学生命科学研究所)

2024年度有機合成化学協会企業冠賞 富士フイルム・機能性材料化学賞

従来の“ひも状”と異なる“湾曲型”両親媒性分子が水中で形成する「芳香環ミセル」の設計と構造、その空間機能について述べています。この芳香環ミセルは高い集合安定性と分子捕捉能を示し、多様な色素分子や金属錯体を効率的に内包可能です。また、疎水骨格の改変により、外部刺激による構造変化やキラル空間による光学活性の誘起など、革新的な空間機能を示します。これらの機能は分子ツールとしての応用展開が期待されます。

医薬品原薬製造プロセス開発におけるフロー合成技術の活用

臼谷弘次*(小野薬品工業株式会社CMC・生産本部合成研究部)

フロー合成技術を活用した医薬品のスケールアップ研究に関する総合論文です。フロー合成技術の特徴および利点を巧みに利用し、複数の開発品目における実生産に向けた課題解決に関する実例が紹介されています。特に、スケールアップの過程における具体的な技術的工夫や、検討に使用した反応装置について詳述されており、非常に興味深い内容となっています。

新規ヒドロシリル化触媒の開発および高機能有機ケイ素材料合成への応用

中島裕美子*(東京科学大学物質理工学院応用化学系)

2024年度有機合成化学協会賞(技術的なもの)受賞

ヒドロシリル化反応は、学術的にも工業的にも重要な反応です。従来は白金触媒によりヒドロシリル化は行われていますが、省資源の観点や、基質の適用範囲の観点から、白金を代替しうる触媒の開発が、工業的な観点からも求められております。本総合論文では、著者らが最近開発したニッケルやロジウム、ルテニウム触媒について、その開発経緯とともに紹介されております。

Review de Debut

今月号のReview de Debutは1件です。オープンアクセスです。

・三脚型配位子を有するアルキンメタセシス触媒の開発と天然物合成への応用 (北海道大学大学院薬学研究院)島川 典

感動の瞬間:出会いは突然に—グアニジノジアゾニウム塩との出会い [オープンアクセス]

今月号の感動の瞬間は、九州工業大学大学院工学研究院 北村 充 教授による寄稿記事です。

反応剤開発の魅力とロマンが詰まった感動の瞬間です。

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズをご参照ください。

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大学教員→企業研究者。自分の知らない化学に触れ、学び、楽しみ続けたいです。

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