⏱ 30秒サマリー
- 何をする反応か — アルコキシド/フェノキシドをハロゲン化アルキルやスルホン酸エステルに SN2 で反応させ、C–O 結合をつくってエーテルを得る反応。エーテル合成のもっとも基本的な手法である。
何ができるか — 非対称エーテル(R–O–R’)が一段階で得られる。フェノールのアルキル化、ベンジル/PMB/MOM などの保護基導入、アリールグリシジルエーテルの構築まで、適用範囲はきわめて広い。
いつ使うか — 求電子剤側が第一級(またはメチル・アリル・ベンジル)で、基質が強塩基に耐えるとき。この条件を満たすなら、安価・大スケール向きで最初に選ぶべき手法。満たさないときは光延反応や金属触媒 C–O カップリングへ切り替える。
概要
ウィリアムソンエーテル合成(Williamson ether synthesis)は、アルコキシドイオン(またはフェノキシドイオン)が求核剤として働き、ハロゲン化アルキル等の求電子剤に対して SN2 型の求核置換を起こしてエーテルを与える反応である。Williamson は1850年に Philosophical Magazine 誌上で「エーテル化の理論」としてこの変換を報告し[1]、翌年 Liebigs Annalen[2]、1852年に Quarterly Journal of the Chemical Society [3] で詳述した。当時の目的は「エーテルの分子式がどのようなものか」という構造論争の決着にあり、現在のような合成法としての位置づけは後年に確立したものである。170年以上を経た現在でも、工業スケールの原薬製造から保護基操作まで、C–O 結合形成の第一選択であり続けている。アルコキシド化学の古典的総説[21]や、グリーンケミストリーの観点からエーテル合成法を横断的に評価した総説[22]も参照されたい。
反応機構
(1) アルコキシドの生成
アルコールまたはフェノールを塩基で脱プロトン化し、求核剤であるアルコキシド/フェノキシドを発生させる。ここで選ぶ塩基は、基質の酸性度で決まる。
- フェノール(pKa ≒ 10、水中): K2CO3 や Cs2CO3 で十分。
- 脂肪族アルコール(pKa ≒ 16–18): NaH、KOtBu、あるいは金属ナトリウム。
- 立体的に混んだアルコールや酸性度の低い基質: NaH/DMF、もしくは KH。
対カチオンの選択基準は「単なる好み」ではなく、Cs2CO3 が実務的には多用される。このいわゆる「セシウム効果」の原因は、Dijkstra・Kruizinga・Kellogg による古典的な検討で (i) 双極性非プロトン性溶媒への Cs 塩の高い溶解度、(ii) Cs⁺ の溶媒和が大きくイオン対形成が小さいため、アニオンがほぼ解離した「裸」の状態で存在すること、の2点に帰属されている[6]。すなわち反応種はイオン対ではなく解離したアニオンであり、これが大環状化やマクロ環エーテル形成で希釈効果と相乗する。
(2) SN2 置換
アルコキシドの酸素が、脱離基の背面から求電子炭素を攻撃し、C–O 結合形成と C–X 結合開裂が協奏的に進行する。したがって求電子炭素が不斉中心である場合、立体反転(Walden 反転)が起こる。この立体化学的帰結はウィリアムソン法の設計上の利点でもあり、制約でもある。
遷移状態は求電子炭素まわりが混み合うため、置換度の上昇は直接的に速度低下をもたらす。特に第三級アルキル基・ネオペンチル基には事実上適用不可である。
(3) 競合する E2 脱離
アルコキシドは求核剤であると同時に強塩基でもある。求電子剤側が第二級・第三級になるほど、β水素の引き抜きによる E2 脱離が優位になる。第三級ハロゲン化アルキルでは通常、脱離生成物(アルケン)のみが得られる。立体的に嵩高いアルコキシド(KOtBu など)を使うと、この傾向はさらに強まる。
(4) O-アルキル化か C-アルキル化か
フェノキシドやエノラートのように、酸素と炭素の両方が求核点になりうるアンビデント求核剤では、O-アルキル化と C-アルキル化が競合する。
この選択性は長らく HSAB 則(硬い求電子剤は硬い酸素を、柔らかい求電子剤は柔らかい炭素を攻撃する)で説明されてきたが、この説明は現在では支持されていない。Mayr・Breugst・Ofial は2011年の総説で、アンビデント反応性を HSAB で論じることの理論的・実験的問題点を整理し、Marcus 理論に基づく内部再配向エネルギーと溶媒和の寄与で説明すべきであると結論した[4]。日本語の教科書・解説記事では依然として HSAB による説明が残っていることが多いため、注意されたい。
実務的な指針は、次のように整理される。
- 非プロトン性極性溶媒+解離しやすい対カチオン(Cs⁺, K⁺ + クラウンエーテル)→ O-アルキル化有利。フェノキシドの酸素が裸に近いほど、電荷が集中した酸素上での反応が速い[5]。
- プロトン性溶媒(水、アルコール)→ 酸素が水素結合で覆われ、相対的に C-アルキル化が増える。
- 求電子剤が硬いか柔らかいかという分類よりも、溶媒と対イオンの効果のほうが大きい[5]。
(5) SNAr との違い ── 脱離基序列が逆転する
| ウィリアムソン(SN2, sp3炭素) | SNAr(sp2芳香族炭素) | |
|---|---|---|
| 脱離基の反応性 | I > Br > Cl ≫ F | F > Cl > Br > I |
| 律速段階で切れる結合 | C–X 結合が遷移状態で切れる | C–X 結合の開裂は律速に大きく寄与しない |
| 支配因子 | C–X 結合解離エネルギー、脱離基の安定性 | ハロゲンの電気陰性度による ipso 炭素の活性化 |
| 必要な条件 | 求電子炭素が sp3・低置換 | 芳香環に強い電子求引基(o/p-NO2 等)またはヘテロ環N |
F が最良の脱離基になるのは、フッ素の高い電気陰性度が ipso 炭素を強く分極させて求核攻撃を加速する一方、C–F 結合の開裂が律速段階の主要な障壁になっていないためと説明される。
さらに、SNAr の機構像そのものが近年書き換えられている。Jacobsen らは 12C/13C の速度論的同位体効果と計算により、多くの SNAr が Meisenheimer 中間体を経ず協奏的(concerted SNAr, cSNAr)に進行することを示した[7]。Murphy らの総説[8]および段階的/協奏的の境界に関する計算研究[9]により、「SNAr=必ず付加–脱離の二段階」という従来の描像は、現在では基質依存の連続体として理解されるようになっている。ODOS の関連記事(芳香族求核置換反応)と併せて参照されたい。
(6) 主な副反応
- E2 脱離によるアルケン生成(第二級・第三級求電子剤、嵩高いアルコキシド)
- α位のエピマー化/ラセミ化 — アルコキシドの塩基性により、酸性プロトンをもつ立体中心が失われる
- エステル・ラクトンのアルコキシド交換/開環 — アルコキシドは求核剤なのでエステルを攻撃しうる
- C-アルキル化(フェノキシド、エノラート)
- 過剰アルキル化・二量化 — ジオールやビスフェノールで部分選択性が必要な場合
- Smiles 転位(O→N, O→C のアリール移動)— o-ニトロアリールエーテルやスルホンアミド共存系で顕在化しうる
- エピクロロヒドリンを用いる場合の経路分岐 — 塩化物の直接置換と、エポキシド開環を経る経路の2つがあり、生成物の立体化学が変わりうる。
特徴・適用範囲・類似反応との比較
強み
- 圧倒的な汎用性と実績。 170年以上使われ続け、原薬プロセスから保護基操作まで適用例が蓄積している。前例が豊富であること自体が実務的価値をもつ。
- 試薬が安価。 NaH、K2CO3、ハロゲン化アルキルはいずれも汎用品であり、貴金属触媒も特殊配位子も不要。大スケールに向く。
- 立体化学が予測できる。 SN2 なので求電子炭素は必ず反転する。光学活性スルホナートを用いれば立体を設計できる。
- フェノールのアルキル化はとくに容易。 フェノールの酸性度が高いため、K2CO3/アセトン還流程度の穏和な条件で進む。医薬品合成で最頻出の使い方。
- 保護基化学の基盤。 ベンジル (Bn)、p-メトキシベンジル (PMB)、メトキシメチル (MOM)、アリル (Allyl) など、主要なエーテル型保護基の導入はいずれもこの反応である。
弱み・注意点
- 第三級求電子剤は使えない。 E2 脱離のみが起こる。第二級でも収率が落ちる。
- 強塩基性条件が必要。 エステル、ラクトン、エノール化性ケトン、エピマー化しやすい立体中心、塩基に弱い保護基とは相性が悪い。
- 求核剤・求電子剤の「割り当て」を間違えると設計ごと失敗する。 どちらの断片をアルコキシドにするかは、収率を左右する最重要の設計判断である。
- アンビデント求核剤では O/C 選択性の制御が必要。
- ハロゲン化物由来の塩が化学量論量で副生する。 廃棄物負荷が大きく、プロセス化学では嫌われる。弱アルキル化剤(ジアルキルカーボネート)を用いる触媒的変法[10,17]や不均一系固体塩基[11]、無溶媒メカノケミカル条件[12]が、この点への回答として提案されている。
- アリール–アルキルではなくアリール–アリールエーテルはつくれない。 SN2 が使えないため、ウルマンエーテル合成や Buchwald–Hartwig反応 などの金属触媒法が必要になる。
類似反応との比較
| 手法 | 得意な場面 | 制約 |
|---|---|---|
| ウィリアムソン(SN2) | 第一級ハロゲン化物/スルホナート+アルコキシド・フェノキシド。安価・大スケール | 第二級で脱離競合、第三級は不可。強塩基性 |
| SNAr | 電子不足芳香環(o/p-NO2、ピリジン・キナゾリン等のヘテロ環)へのアリールエーテル化 | 活性化基が必須。脱離基序列は F > Cl > Br > I |
| ウルマンエーテル合成(Cu) | 非活性アリールハライド+フェノール。ジアリールエーテル | 古典条件は高温・化学量論 Cu。現代はジアミン/アミノ酸配位子で緩和 |
| Buchwald–Hartwig C–O(Pd) | 立体的に混んだ基質、広い官能基許容性 | Pd コスト、配位子の最適化が必要 |
| Chan–Lam(Cu/ボロン酸) | 室温・空気下で進むアリールエーテル化 | 収率の振れ幅が大きい |
| 光延反応 | 第二級アルコールを立体反転しながら、中性条件で。酸性度の高い求核剤(フェノール、イミド)と好相性 | 化学量論の Ph3P=O・ヒドラジン副生物。アルコール側の酸性度要件(概ね pKa < 13) |
| アセタール還元によるエーテル合成 | カルボニル+アルコールから直接 | 酸性条件 |
| 光レドックス SN1 型エーテル化[13] | C–H から直接カルボカチオンを発生させ、1°/2°/3° アルコールと結合。塩基性条件に耐えない基質、医薬骨格の後期官能基化 | スケール・コスト・光源設備 |
| アルコキシラジカル経路[14] | ラジカル的 C–O 形成 | 同上 |
| Ni 触媒/光レドックス C–O カップリング[19,20] | 電子豊富アリールを含む C–ヘテロ原子結合形成 | 同上 |
選定指針: 光延反応はウィリアムソン法の「代替」ではなく補完である。①立体反転が必要か、②強塩基性が許されるか、③求核剤の pKa はいくつか ── この3点で選ぶ。第一級かつ塩基に耐えるならウィリアムソン、第二級で立体を制御したいなら光延、どちらも無理なら光レドックスや金属触媒法、と考えるとよい。
反応例
サルポグレラート中間体[23, 27]
2-[2-(3-メトキシフェニル)エチル]フェノールを NaH/DMF 中でエピクロロヒドリンと反応させ、アリールグリシジルエーテルを得る。得られたエポキシドをジメチルアミンで開環し、続いてコハク酸モノエステル化すると 5-HT2 受容体拮抗薬サルポグレラート(アンプラーグ)に到達する。
ゲフィチニブ[24]
4-(3-クロロ-4-フルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン-6-オールの 6 位フェノール性水酸基を、4-(3-クロロプロピル)モルホリンでアルキル化すると、EGFR チロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブ(イレッサ)が得られる。原薬プロセスにおける C–O 結合形成としてもっとも典型的な形であり、改良プロトコルも報告されている[26]。フェノール側をアルキル化する設計(モルホリン側を求核剤にしない)は、第三級アミンの N-アルキル化を避けるうえで必然的な選択である。
ピオグリタゾン中間体[25]
2-(5-エチルピリジン-2-イル)エタノールを NaH/DMF 中で 1-フルオロ-4-ニトロベンゼンと反応させ、ニトロフェニルエーテルを得る。生成物は還元・Meerwein アリール化・チアゾリジンジオン形成を経て、糖尿病治療薬ピオグリタゾン(アクトス)に至る。ニトロ基で活性化されている芳香環相手のSNAr機構で進む典型例であり、フッ化物が脱離基として最良に働く。
近年の潮流:塩基を使わないウィリアムソン
強塩基性条件に耐えない基質に対しては、光レドックス触媒により C–H 結合から直接カルボカチオンを発生させ、アルコールと結合させる手法が報告されている[13]。著者らはこれを「ウィリアムソンエーテル反応への SN1 的アプローチ」と位置づけており、第一級から第三級までのアルコールに適用でき、医薬骨格の後期官能基化にも展開されている。ウィリアムソン法の適用外領域を正面から埋めにいった研究として参照価値が高い。
実験手順
標準手順A:フェノールのアルキル化(K2CO3/極性非プロトン性溶媒)
もっとも穏和で、まず試すべき条件。K2CO3 で進まない場合は Cs2CO3 へ変更する。溶解度と解離度の両方が上がる[6]。
- フェノール(1.0 当量)と無水 K2CO3(1.5–3.0 当量)を DMF、アセトニトリル、アセトン、または 2-ブタノンに懸濁させる。
- ハロゲン化アルキル(1.1–1.5 当量)を加える。反応が遅い場合は触媒量の KI/NaI を添加し、系内で Finkelstein 反応によりヨウ化物へ変換する。
- 50–80 ℃ で撹拌し、TLC/HPLC で追跡する。反応時間は典型的には数時間〜一晩。
- 室温まで冷却し、水を加えて反応を停止、酢酸エチルで抽出する。過剰のフェノールを除くため、有機層を希薄水酸化ナトリウム水溶液で洗浄する後処理が有効。
- DMF を使った場合は水洗を繰り返して除去し、乾燥・濃縮後、シリカゲルカラムまたは晶析で精製する。
標準手順B:脂肪族アルコールのアルキル化(NaH/DMF または THF)
- 反応容器を無水・不活性ガス下とし、NaH(60% 油性分散体、1.1–1.5 当量)を無水 DMF または THF に懸濁させる。用時にヘキサンで洗って鉱油を除くと当量精度が上がる。
- 0 ℃ に冷却し、アルコール(1.0 当量)の溶液をゆっくり滴下する。水素の発生が収まるまで 15–30 分撹拌する。
- ハロゲン化アルキルまたはスルホン酸エステル(1.1–2.0 当量)を加え、0 ℃ から室温へ昇温する。反応が遅い場合のみ加熱する。
- 0 ℃ で水、次いで飽和塩化アンモニウム水溶液を注意深く加えて停止する(未反応 NaH があると発熱・発火の危険がある)。
- 抽出・乾燥・濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製する。
変法C:相間移動触媒(PTC)条件
水系を使えるため後処理が容易で、スケールアップに向く。
- フェノールを高濃度(例えば 50%)の水酸化ナトリウム水溶液と、トルエンなどの有機溶媒からなる二相系に加える。
- 四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムブロミド、Aliquat 336 等)を触媒量加える。
- ハロゲン化アルキルを加え、激しく撹拌する。相間移動触媒がフェノキシドを有機相へ運ぶことで反応が進行する[18]。
- 分液し、有機層を水洗して精製する。
変法D:SNAr 条件(電子不足芳香環へのアリールエーテル化)
- アルコールまたはフェノール(1.0 当量)を無水 DMF または DMSO に溶かし、NaH または K2CO3/Cs2CO3 を加えてアルコキシドを発生させる。
- 活性化ハロゲン化アリール(フルオロニトロベンゼン、クロロピリミジン、クロロキナゾリン等)を加える。
- 室温〜100 ℃ で撹拌する。フッ化物が最良の脱離基である点に注意(塩化物しか手に入らない場合は昇温が必要になることが多い)。
- 水を加えて析出させるか、抽出して精製する。
実験のコツ・テクニック
- 「どちらをアルコキシドにするか」を最初に決める。混んだ側をアルコキシドに、空いた側(第一級)をハロゲン化物・スルホナートに割り当てる。逆に組んだために E2 脱離だけが起こる、というのはこの反応でもっとも多い失敗である。
- 反応が遅いときはまず脱離基を変える。 塩化物 → ヨウ化物(触媒量の NaI による系内 Finkelstein)、あるいはメシラート・トシラート・トリフラートへ。昇温より先に試す価値がある。
- 昇温より塩基・溶媒の変更を先に検討する。 昇温は E2 脱離とエピマー化の両方を加速する。K2CO3 → Cs2CO3、アセトニトリル → DMF/DMSO、クラウンエーテル(18-crown-6)の添加のほうが、副反応を増やさずに速度を上げられることが多い。
- NaH の取り扱い。 油性分散体は当量がぶれやすい。低温で加え、水素の発生が止まってから求電子剤を入れる。クエンチは必ず 0 ℃ で、水を少量ずつ。DMF と NaH の組み合わせはスケールアップ時に発熱暴走のリスクが知られており、大量スケールでは他の塩基への置き換えを検討する。
- フェノキシドの O/C 選択性は溶媒と対イオンで制御する。 O-アルキル化を優先したいなら、非プロトン性極性溶媒+Cs⁺(またはクラウンエーテル)でアニオンを解離させる[4,5]。プロトン性溶媒は C-アルキル化を増やす方向に働く。HSAB 則による説明に頼らないこと[4]。
- 糖質の位置選択的アルキル化には強塩基を避ける選択肢がある。 Ag(I) 酸化物を用いる中性条件下の O-ベンジル化[15]や、触媒量の Fe(III)/Ag2O 系[16]が報告されており、NaH/BnBr で分解する基質に有効と考えられる。
- エピマー化が疑われるときは低温・短時間・弱塩基へ。 α位に酸性プロトンをもつ基質では、アルコキシドの塩基性が立体を壊す。K2CO3 のような弱塩基で済むならそちらを選ぶ。
- 廃棄物とスケールを意識するなら塩を出さない変法を。 ジアルキルカーボネートを弱アルキル化剤として用いる触媒的ウィリアムソン[10]、グリセリン誘導体での不均一系固体塩基条件[11]、ボールミルによる無溶媒条件[12] が報告されている。ハロゲン化物由来の塩が出ない点がプロセス化学的な利点である。
- エピクロロヒドリンを使うときは順序に注意。 フェノキシドを先に生成させてからエピクロロヒドリンを加えるほうが、エポキシド開環の副反応を抑えやすい。
参考文献
【原著】
- Williamson, A. W. “XLV. Theory of ætherification” Philos. Mag. 1850, 37, 350–356. DOI: 10.1080/14786445008646627
- Williamson, A. W. “Ueber die Theorie der Aetherbildung” Justus Liebigs Ann. Chem. 1851, 77, 37–49. DOI: 10.1002/jlac.18510770104
- Williamson, A. W. “XXII.—On etherification” Q. J. Chem. Soc. 1852, 4, 229–239. DOI: 10.1039/QJ8520400229
【機構・理論】
- Mayr, H.; Breugst, M.; Ofial, A. R. “Farewell to the HSAB Treatment of Ambident Reactivity” Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 6470–6505. DOI: 10.1002/anie.201007100 (アンビデント反応性を HSAB で説明することの問題点を整理した総説)
- Nogueira, I. C.; Pliego, J. R. “Counter-ion and solvent effects in the C- and O-alkylation of the phenoxide ion with allyl chloride” J. Phys. Org. Chem. 2019, 32, e3947. DOI: 10.1002/poc.3947
- Dijkstra, G.; Kruizinga, W. H.; Kellogg, R. M. “An Assessment of the Causes of the ‘Cesium Effect'” J. Org. Chem. 1987, 52, 4230–4234. DOI: 10.1021/jo00228a015
- Kwan, E. E.; Zeng, Y.; Besser, H. A.; Jacobsen, E. N. “Concerted nucleophilic aromatic substitutions” Nat. Chem. 2018, 10, 917–923. DOI: 10.1038/s41557-018-0079-7
- Rohrbach, S.; Smith, A. J.; Pang, J. H.; Poole, D. L.; Tuttle, T.; Chiba, S.; Murphy, J. A. “Concerted Nucleophilic Aromatic Substitution Reactions” Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58, 16368–16388. DOI: 10.1002/anie.201902216
- Rohrbach, S.; Murphy, J. A.; Tuttle, T. “Computational Study on the Boundary Between the Concerted and Stepwise Mechanism of Bimolecular SNAr Reactions” J. Am. Chem. Soc. 2020, 142, 14871–14876. DOI: 10.1021/jacs.0c01975
【変法・改良法】
- Fuhrmann, E.; Talbiersky, J. “Synthesis of Alkyl Aryl Ethers by Catalytic Williamson Ether Synthesis with Weak Alkylation Agents” Org. Process Res. Dev. 2005, 9, 206–211. DOI: 10.1021/op050001h
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- Selva, M.; Benedet, V.; Fabris, M. “Selective catalytic etherification of glycerol formal and solketal with dialkyl carbonates and K2CO3” Green Chem. 2012, 14, 188–200. DOI: 10.1039/C1GC15796E
- Hill, J. W.; Corredor, J. “An Ether Synthesis Using Phase Transfer Catalysis” J. Chem. Educ. 1980, 57, 822. DOI: 10.1021/ed057p822
【類似反応・代替法】
- Ni, S.; Halder, R.; Ahmadli, D.; Reijerse, E. J.; Cornella, J.; Ritter, T. “C–heteroatom coupling with electron-rich aryls enabled by nickel catalysis and light” Nat. Catal. 2024, 7, 733–741. DOI: 10.1038/s41929-024-01160-1
- Beck, L. R.; Xie, K. A.; Lainhart, B. C.; Sherwood, T. C.; Welin, E. R.; Joe, C. L.; Rovis, T. “Dual Nickel/Photoredox-Catalyzed Aryl Etherification Enabled by an Oxidative Near-Infrared-to-Blue Triplet–Triplet Annihilation Upconversion System” ACS Catal. 2024, 14, 18515–18522. DOI: 10.1021/acscatal.4c06084
【総説】
- Dermer, O. C. “Metallic Salts of Alcohols and Alcohol Analogs” Chem. Rev. 1934, 14, 385–430. DOI: 10.1021/cr60049a002
- Sutter, M.; Da Silva, E.; Duguet, N.; Raoul, Y.; Métay, E.; Lemaire, M. “Glycerol Ether Synthesis: A Bench Test for Green Chemistry Concepts and Technologies” Chem. Rev. 2015, 115, 8609–8651. DOI: 10.1021/cr5004002
【応用例】
- J. R. Prous, ed. Drugs Fut. 1992, 17, 1093.
- J. R. Prous, ed. Drugs Fut. 2002, 27, 339.
- J. R. Prous, ed. Drugs Fut. 1990, 15, 1080.
- Kumar, P.; Mazlee, M. T. F.; Abdul Wahab, M. K.; Belwal, C. K.; Kumar, R.; Sajid, S. “Improved protocol for synthesis of N-(3-chloro-4-fluorophenyl)-7-methoxy-6-(3-morpholin-4-ylpropoxy)quinazolin-4-amine (gefitinib)” Chem. Pap. 2019, 73, 39–46. DOI: 10.1007/s11696-018-0564-x
- CN101279899A「2-[2-(3-メトキシフェニル)エチル]フェノールの製造方法」
関連反応
- 求核置換反応 Nucleophilic Substitution
- 芳香族求核置換反応 Nucleophilic Aromatic Substitution
- ウルマンエーテル合成 Ullmann Ether Synthesis
- 求核剤担持型脱離基 Nucleophile-Assisting Leaving Groups (NALGs)
- メーヤワイン試薬 Meerwein Reagent
- 鋳型合成 Templated Synthesis
- アセタール還元によるエーテル合成 Ether Synthesis by Reduction of Acetal
- ウルマンカップリング Ullmann Coupling
- バックワルド・ハートウィグ クロスカップリング Buchwald-Hartwig Cross Coupling
- 光延反応 Mitsunobu Reaction
- p-メトキシベンジル保護基 p-Methoxybenzyl (PMB) Protective Group
- ベンジル保護基 Benzyl (Bn) Protective Group
- トリチル系保護基 Trityl Protective Group
外部リンク
- ウィリアムソン合成 (Wikipedia 日本語)
- アレキサンダー・ウィリアムソン (Wikipedia 日本語)
- Williamson ether synthesis (Wikipedia)
- Alexander William Williamson (Wikipedia)
- Ether (Wikipedia)
- Williamson Synthesis (organic-chemistry.org)
- Williamson ether synthesis (TCI 名反応)
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