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香りの化学2 |
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「香りの化学1」で「香り」というものはどのようなものであるか?ということと、化学構造との関係を説明した。 では今回は、有機合成化学の分野である「合成香料」について歴史、合成法、利用などをあげてみよう。
▼ 合成香料の歴史
合成香料の歴史は、19世紀にじゃ香の香りに関する研究から始まった。じゃ香鹿から取れるじゃ香(ムスク)の香りは、性フェロモンの一種ではないかと考えられ、また人間でも特に女性がじゃ香の香りに敏感であることから、古来より、じゃ香は珍重された。
それでは本題に入ろう。 合成香料には非常に多くの種類があり、それらの合成法も多岐にわたるものである。 もちろんここではそれらのすべてをあげることはできないため、テルペン系合成香料、芳香族系合成香料、その他に分けて、1で化学構造を表したものを中心に要点を述べてみよう。
▼ テルペン系合成香料
テルペン(Telpenes)とは天然樹脂から単離される化合物の母体となる化合物で、簡単に言えば(C5H8)nの分子式を持つ鎖状および環状の炭化水素のことをいうが、母体のテルペン炭素と同じ炭素骨格を持つアルデヒド、ケトンその他の誘導体まで含めていうことも多い。このテルペン類の特徴は2-メチルブタン(2methylbutane)骨格を有するということである。 それでは1であげたヨノンを例として全合成してみよう。(図2)
図2 ヨノンの全合成例
まず、アセトンとアセチレンのエチニル化反応で3-メチル-1-ブチン-3-オールをつくり、半還元後Carroll反応を行ってキー物質のメチルヘプテノンを合成し、酢酸エステルに導いてから特殊な触媒で分解するなどの方法でシトラールとし、ついでアセトンを縮合させてブソイドヨノンを合成することができる。これを閉環すればαヨノンとβヨノンが得られる。αヨノンは「香りの化学1」に書いたように香料として用いられ、βヨノンはビタミンA、ビタミンE、カテロイドの合成原料として重要である。
▼ 芳香族系合成香料
芳香族化合物の香料界に占める割合はかなり大きい。 例として、2、3あげてみよう。 まず1で取り上げた、β-フェニルエチルアルコールは塩化ベンジルやベンゼンから次のように合成されている。(図3)
図3 フェニルエチルアルコールの合成
また、シンナミックアルコール(ケイ皮アルコール)という香料は優秀な香料であるのと同時にクロラムフェニコール等の医薬品の製造原料であるので、工業的に大量に生産されている。その製造方法としては、シンナミックアルデヒドをアルミニウムイソプロピラートでMeerwein-Pondorf還元する製法が一般的である。(図4)
図4 シンナミックアルコールの合成
▼ その他の合成香料
ジャスモンの合成(図5)
図5 ジャスモンの合成
ジャスモンの合成については工業的生産にはまだ問題があるようである。図5ではcis-ヘキセノールを原料として、塩化ビニルのGrignard反応、塩化パラジウムを用いる酸化反応などを組み合わせてcis-ジャスモンを合成した。この方法でヘプタン酸を出発原料にするとジヒドロジャスモン(図6)も得られる。
図6
天然に存在するcis-ジャスモンの合成にはいまだいくつかの問題点は残っているが、最近になって工業的に合成されている。しかし現在でも比較的合成が容易でcis-ジャスモンに近い香気をもつジヒドロジャスモンの合成も行われている。
このように、化学物質の構造が比較的簡単にわかる現在、さまざまなものが香料として合成・使用されている。これによって、本物のにおい(合成されたものも’本物’なので、どのように言うべきか・・?)は知らないというものも多く存在している。 有機って面白いよね!! (2000/8/12 by ブレビコミン)
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