[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

仕事の進め方を見直してみませんか?-SEの実例から

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”477411720X” locale=”JP” title=”SEのフシギな生態 失敗談から学ぶ成功のための30ヶ条”][amazonjs asin=”4344408004″ locale=”JP” title=”SEのフシギな職場―ダメ上司とダメ部下の陥りがちな罠28ヶ条 (幻冬舎文庫)”]

 今回はちょっと分野を変えて、「仕事の進め方に重要なこととは?」ということをわかりやすく説明している書籍をご紹介します。

Tshozoです。「弱き者、正義を語るなかれ」(by 会社の先輩)

今回は、ちょっと方向を変えてシステム・エンジニア(SE)の世界を扱っている書籍を紹介します。一見『化学と関係ねえ!』ですが、本書では仕事や研究を進める上で最も基本的な部分が非常にわかりやすく記述されています。実際に社会人となっても参考になっていますので、共有できたらと思う次第です。どうかお付き合いください。

まず、システムエンジニアとは何か。一義的には、「『顧客』の要求を満たすソフトウェア及びハードウェア(システム)を作り上げる技術者(及び管理者)」のことです。例を挙げると、会計処理、伝票処理、社内・学内イントラ、分子シミュレーションなどのソフトウェア・システムを作り上げる方々のことです。

そのシステムエンジニアの仕事の中身を紹介しているのが、下の「システムエンジニアの仕事をいかに効率的に回すか」にポイントを置いた『SEのフシギな生態』と、もう一つは「上司と部下の関係をどう捉えるべきか」にポイントを置いた『SEのフシギな職場』の2冊です。

kitami_01.PNG

 では、このシステムエンジニアの仕事のどこが化学系の仕事と似ているのか? それは仕事の進め方とその悲哀だと感じています。 極めてざっくりと書くと、システムエンジニアの仕事の流れは下記の4コマ(『SEの生態』より)のようなステップに分かれます。

kitami_03.PNG

 これ、何かに似てませんか? そうです、化学合成のステップとほぼ同じなのです。たとえば教授殿に言われて所定の合成物をつくるステップを考えましょう。

①生成物分子構造と(教授の)コンセプト明確化(要求定義に相当)

②合成ルート又はコンセプト実現手段設定(設計に相当)

③実合成(製造に相当)

④うまく合成できているか分析(試験に相当)

⑤報告(納品に相当)

特に③実合成(プログラム書き)で徹夜することが多い点、④うまく合成できてないとその解決(バグ取り)に徹夜して追われる点、④を解決出来なくて教授殿に持っていくと『腕が悪い』とか『能力が足らねえんだよ』とか『バカかおめえは死ね』とか言われることが多い点について、非常に似ていると個人的に感じています。

で、どちらもこのステップに従って如何に効率的にモノを創り、成果(システムor 論文)を出すかが要求されているわけです。そして年齢と共に要求量は増えていきますので

A.③④の徹夜・合成やり直し(バグ取り)をいかに抑えるか

B.協力者(先輩・同期・後輩)とどのように協力していくか

ということが自身の心身の健康のために決定的に重要になります。

もちろん最初のうちは初心者ということで当たって砕けろ、徹夜万歳、デスマーチ歓迎的な進め方でもOKです。しかし時間が経つにつれ、筆者のように「何でそんなに遅れてるんだ!」「何でまだそんなミスが多いんだ!」「何でそんなスケールの小さなことしか出来ないんだ!」という叱責を受けることになります。それを反省を踏まえて避けるためにも、上記A・Bの観点は常に持たねばならないのです。

この点で、Aについては下のようなマンガでまず何が大事なのかを描いています。

kitami_07.jpg

 プログラムスキル(合成技術に相当)が高ければ素早く仕事が片付けられるから重要、ではなく、目的に結びついたスキルでなければ意味が無い、ということを言っているわけです。やることリストに対し、目的に結びついているか(やるべきことか)を判断できれば、優先順位が付いてムダが無くなり、やり直しも発生しにくくなり、効率化にもつながるわけです。Whitesides教授の”Writing a Paper”のメソッドと同じで『「どういう狙いの論文を書くために、何をしなければならないのか」を骨子とし、目的を常に問いかけることが効率化につながる』と言えましょう。

あったりまえの事なのですが、これが出来ない。というか正直難しい。日々の忙しさにかまけて「やること」が「やるべきこと」かをきちんと判断せず進めることが多い自分には、立ち返る基本ともなっています。

またBにおいても、上のポイントを織り込みつつ何が重要か、を示してくれています。

kitami_05.jpg

 こちらでは「組織(研究室に相当)の中で自分が何をなすべきか」ということをに理解していることが重要、としています。そりゃ最初は何でもかんでも自分でやらなきゃいかんでしょうが、それをずーっと続けてしまうと年齢を重ねた結果、下のようになってしまいかねません(このコマのみちょっと傾いておりますがご了承ください)。

kitami_08.PNG

 これは研究室に限らず会社でも実際によくみられることです。これを防ぐには、「上司(先輩)として下を育てる」という立場に合った仕事をせねばならんということで、またそれが自分の上司からも求められるようになっていきます。このように自分がどういう立場で何を行動し、何を聞き、何を言うべき立場であるかを今一度見直すことは、何歳になっても肝に銘じねばならん大事なことなのです。

ここに記載した以外にも、色々な重要なことが本当にわかりやすく本書には記載されています。学生の方々にも、また新入社員の方々にも是非目を通していただき、ご自分の研鑽につなげていただければ幸甚です。

ということで今回はここまで。きたみ先生は他にも「新卒はツライよ!」というフレッシュマン必見の名著も描かれておりますので、是非ご覧ください。

最後に一番好きな4コマを。

kitami_06.jpg

Avatar photo

Tshozo

投稿者の記事一覧

メーカ開発経験者(電気)。56歳。コンピュータを電算機と呼ぶ程度の老人。クラウジウスの論文から化学の世界に入る。ショーペンハウアーが嫌い。

関連記事

  1. 生物に打ち勝つ人工合成?アルカロイド骨格多様化合成法の開発
  2. 青色LEDで駆動する銅触媒クロスカップリング反応
  3. 化学者のためのエレクトロニクス入門① ~電子回路の歴史編~
  4. 低分子化合物の新しい合成法 コンビナトリアル生合成 生合成遺伝子…
  5. 2016年JACS Most Read Articles Top…
  6. ポンコツ博士の海外奮闘録③ 〜博士,車を買う~
  7. 円偏光スピンLEDの創製
  8. 誰もが憧れる天空の化学研究室

注目情報

ピックアップ記事

  1. お望みの立体構造のジアミン、作ります。
  2. Reaxys PhD Prize 2020募集中!
  3. クラリベイト・アナリティクスが「引用栄誉賞2018」を発表
  4. ダイアモンドの双子:「神話」上の物質を手のひらに
  5. 中嶋直敏 Nakashima Naotoshi
  6. コーンフォース転位 Cornforth Rearrangement
  7. 1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロリド:1,3-Bis(2,4,6-trimethylphenyl)imidazolinium Chloride
  8. イグノーベル化学賞2018「汚れ洗浄剤としてヒトの唾液はどれほど有効か?」
  9. 反応がうまくいかないときは冷やしてみてはいかが?
  10. リアル『ドライ・ライト』? ナノチューブを用いた新しい蓄熱分子の設計-前編

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年11月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

アンモニウム構造によりラジカル種の発生位置を完全に制御!

第710回のスポットライトリサーチは、関西学院大学理工学研究科 村上研究室の榊原 陽太(さかきばら …

化学つれづれ草【ある研究者の回想】

概要物理化学者で量子機能材料を専門とする著者によるエッセイ集.化学者としての研究,教育,人生…

第60回有機反応若手の会

開催概要有機反応若手の会は、有機化学分野で研究を行う全国の大学院生を中心とした若手研究者が集い、…

ノーベル賞受賞者と語り合う5日間!「第18回HOPEミーティング」参加者募集!

申し込みはこちら概要主催:独立行政法人 日本学術振興会(JSPS)開催地:神奈川…

光触媒による高効率なCO2還元の実現―まさかの光を弱く当てることが重要だった―

第709回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 理学院(前田研究室)博士後期課程2年の仲田竜一 …

「π-πスタッキング」という言葉が生む誤解【芳香環の相互作用を見直す: 前編】

芳香環が平行に並んで近接しているとき、その構造を「π–π スタッキング」と表されることがよくあります…

一重項酸素によるC(sp2)−P結合切断を用いた長波長光によるリン化合物のアンケージング

第 708 回のスポットライトリサーチは、同志社女子大学 薬学部 医療薬学科 5…

マテリアルズ・インフォマティクスにおける画像解析の活用ガイド

開催概要材料開発において、電子顕微鏡やX線トモグラフィーを用いて材料の微細構造を観察するために画…

世界初のPROTAC医薬、ついに承認 ―「タンパク質を阻害する」から「分解する」時代へ

2026年5月、創薬化学の歴史に残る大きな出来事が起きました。米国 FDA は、…

有機蛍光とは異なる新しい有機りん光の分子設計指針の発見

第707回のスポットライトリサーチは、電気通信大学 情報理工学研究科(牧昌次郎研究室)の林希久也 助…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP