[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

研究室での英語【Part1】

[スポンサーリンク]

   そろそろ率業シーズン。4月から研究留学される方も多いことでしょう。英語の得意な方はよいかもしれませんが、むしろ化学も英語も充実させるために海外で働きたい!、勉強したい!という方が大半だと思います。はじめて研究室に入り、研究を始める場面を想像してみてください。いままで研究をしてきたのだから、化学ならば話すことができると考えていると思います。たしかに、その通りです。ただし、意外に知っているはずなのにシラナイ単語や表現は多いもので、こまりはしませんが知っているとなにかと便利です。そんな単語、表現を集めてみました。

 英語がほとんど話ことができないけれども、つい、いや夢をもって海外に来てしまった学生もしくは研究者(特に実験化学)を対象にしておりますので、わかっている方はあしからず。

rotavap

 

2016-10-08_11-11-10

 基本中の基本。減圧することによって固体または液体を積極的に蒸発させる機能をもつ装置。さらに回転させて蒸発効率や突沸を防ぎます。日本では「エバポレーター」や略して「エバポ」などといっている方が多いと思います。しかし、海外ではほとんど通じません。この機械の本名はロータリーエバポレーター(Rotary evaporator)で略してロータバップ(Rotavap)となります。

Is anybody using that rotavap? 誰かそのロータバップを使っていますか?

It was dried over MgSO4, rotavaped and then the crude product was purified by column chromatography. 硫酸マグネシウムで乾燥させて溶媒を留去した後、粗生成物をカラムで精製した。

tweezers

2016-10-08_11-12-40

みてのとおりピンセットですよね。一見英語?っぽく聞こえますが、いくら英語っぽくいっても残念ながら全く通じません。英語名はツィザーズ(tweezers)です。

Can I bollow your tweezers?  Sure!  ピンセット借りていい? いいよー。

pipette

2016-10-08_11-15-00

使い捨て(Disposable)のピペット。本名はパスツールピペット(disposable pasteur pipette)。日本ではピペットではわからないので、パスツールと略している方は多いと思います。もちろん通じません。パスツールでもパストゥールでも。エライ先人の名前がついていようとそんなものはどうでもよいのです。もちろんピペットも通じません。パイペット(pipette)です。

hood

2016-10-08_11-18-04

日本ではドラフトですか?それともフードですか?残念ながらどちらも通じません。おそらく前者はまったくなんのことやら?という顔をされます。  後者は食べ物?(food)と間違えられます。カタカナで書くのもどうかと思いますが、正しくはフッド(hood)もしくはフュームフッド(fume hood)です。

stapler

2016-10-08_11-19-23

ホッチキス。論文を印刷したときに使いたくなるでしょう。ただ、あからさまに通じなそうな感じの単語ですね。残念です。由来はアメリカのホッチキス製造会社であるE.H.ホッチキス社(E.H.Hotchkiss)とアメリカ人の名前から来ているようですが、もちろんそんなものはしりません。ステープラー(Stapler)と呼びます。

ともっとも基本に近い5つの単語をまずあげてみましたが、みなさんすべてわかりましたでしょうか?カタカナ英語の乱用に加え化学自体、元々がドイツやフランス、スウェーデンなどのヨーロッパから来ているため、かなりの問題があります。逆にドイツ人やフランス人にはなぜか通じる単語も。まだまだたくさんありますが、今回はこの程度で。

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 創薬におけるPAINSとしての三環性テトラヒドロキノリン類
  2. 反応がうまくいかないときは冷やしてみてはいかが?
  3. 従来のペプチド合成法に替わるクリーンなペプチド合成法の確立を目指…
  4. ペプチドのらせんフォールディングを経る多孔性配位高分子の創製
  5. 磁石でくっつく新しい分子模型が出資募集中
  6. 【山口代表も登壇!!】10/19-11/18ケミカルマテリアルJ…
  7. 赤色発光する希土類錯体で植物成長促進の実証に成功
  8. 研究倫理を問う入試問題?

注目情報

ピックアップ記事

  1. ウギ反応 Ugi Reaction
  2. 「炭素-炭素結合を切って組み替える合成」テキサス大学オースティン校・Dong研より
  3. レギッツジアゾ転移 Regitz Diazo Transfer
  4. 室温固相反応で青色発光物質Cs₃Cu₂I₅の良質薄膜が生成とその機構の研究から特異な結晶構造の起源を解明
  5. 化学合成で「クモの糸」を作り出す
  6. 光レドックス触媒反応 フォトリアクター Penn PhD Photoreactor M2をデモしてみた
  7. 【追悼企画】水銀そして甘み、ガンへー合成化学、創薬化学への展開ー
  8. DOWとはどんな会社?-1
  9. 下嶋 敦 Shimojima Atsushi
  10. 300分の1を狙い撃つ~カチオン性ロジウム触媒による高選択的[2+2+2]付加環化反応の開発

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2008年2月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
2526272829  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP