[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

フェネストレンの新規合成法

?fenestrene.gif

?

Synthesis of [4.6.4.6]Fenestradienes and [4.6.4.6]Fenestrenes Based on an 8π?6π-Cyclization-Oxidation Cascade?? Hulot, C;? Blond, G; Suffert, J;
J. Am. Chem. Soc., 2008, 130,?5046-5047.DOI: 10.1021/ja800691c

?

?

フェネストラン(femestrane)とは下記のような4級炭素を中心として4つの環が集まった構造をしている分子の総称で、4員環が4つのものを[4,4,4,4]fenestrane、4員環1つ、5員環2つ,6員環1つで構成されているフェネストランを[4,5,5,6]fenestraneといいます。簡単に有機化学美術館にクローバー分子・フェネストランとして解説があるのでそちらを見るとよいでしょう。今回フランス、ルイパスツール大学のSuffert教授らはこの以下のようなフェネストラン型分子をある化合物から1段階で効率的に合成しました。

?

fenestrene1.gif

以前報告していたジオール化合物から6段階で合成した、以下のような共役したエンイン化合物のアルキンの選択的還元のため種々の触媒を作用させました。Lindlar触媒、Zn(0)/CuBr, NiCl2/NaBH4,?Ni(OAc)2・4H2O-BERを用いましたがうまくいきませんでした。さらに検討を行ったところ、1973年に報告されていたP-2 Ni (Ni(OAc)2・4H2O)と1当量の水素化ホウ素ナトリウム1当量の?EDAと3.5当量のエタノールを加えることでアルキンの還元が進行し、以下のような[4,6,4,6]fenestradieneが得られました。これは、下に示すように8π電子環状反応が進行し、シクロオクタトリエンが生成した後に、6π電子環状反応が進行することで得られたと考察されています。?

 

?

fenestrene2.gif

?

? さらに合成した[4.6.4.6]fenestradieneに酸素もしくはmCPBAを作用させることで、エポキシ化反応、引き続く分子内水酸基によるSN2’型の反応が進行し、[4.6.4.6]fenestreneを合成することができました。

?

fenestrene3.gif

?

?この新しいフェネストラン型化合物の合成法は、新たなフェネストランの創製に利用できることが期待されています。

?

  • 関連リンク

クローバー分子・フェネストラン(有機化学美術館)

The following two tabs change content below.
webmaster
Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院准教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ご注文は海外大学院ですか?〜選考編〜
  2. 今年は共有結合100周年ールイスの構造式の物語
  3. (+)-11,11′-Dideoxyverticil…
  4. 人生、宇宙、命名の答え
  5. 究極のエネルギーキャリアきたる?!
  6. リチウムにビリリとしびれた芳香環
  7. 地方の光る化学企業 ~根上工業殿~
  8. 計算化学者は見下されているのか? Part 1

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学研究ライフハック: Evernoteで論文PDFを一元管理!
  2. 印象に残った天然物合成1
  3. (+)-フロンドシンBの超短工程合成
  4. フタロシアニン phthalocyanine
  5. 米メルク、シェリング・プラウを4兆円で買収
  6. オリンピセン (olympicene)
  7. 抗生物質の誘導体が神経難病に有効 名大グループ確認
  8. 東京理科大学みらい研究室にお邪魔してきました
  9. 米メルク、業績低迷長期化へ
  10. ホウ素から糖に手渡される宅配便

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

シクロペンタジエニル錯体の合成に一筋の光か?

β-炭素脱離を用いるシクロペンタジエニル(Cp)錯体の新たな調製法が報告された。本法により反応系中で…

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP